終章1
「――たく、後味が悪い!」
英士は不機嫌そうに石ころを転がしていた。
「後の始末は大人に任せて、子供はさっさと家に帰りたまえ」と地方分権の英雄二人に言われたので、未成年の一同は深夜の街道を歩いていた。
「こんな幸せそうな家族写真、死んだ後に出んのは反則だろーが!」
「まあ、あの髭男も、蜂の巣にされたババアも、同じ使い捨てのパシリだったってことだ」
「暢気だな龍平」
「そりゃー、俺とその写真の家族とは何の関わりもねえし、あの髭オヤジに同情する気もねえからな。それに、そういうことを一々気にしてたらやってらんねーぜ」
「……だな」
英士は写真をビリビリと破いて放り捨て、風の刃で空気中のチリにした。
一段落したところで「え・い・じー❤」と後から愛衣が甘えん坊のように抱き付いてきた。
「約束通り、帰ったら私と眞と英士の三人で3Pしましょう☆」
「ならば英士と俺、どっちが早く愛衣のお腹に赤子を宿せるか勝負だ」
ゴチィーン!! と英士のゴットハンドが眞と愛衣の頭に降り注いだ。
「どうやら、これをお披露目する機械が来たみたいだな!」
「あ、あの、英士さん……?」
ホプキンス以上に邪悪な笑みを浮かべた英士は、携帯端末をいじり何かをオブジェクト化させた。
「げ、それは!」
眞と愛衣にとってはお馴染みの最凶の悪魔だった。
「紹介しよう、これからお前達変態兄妹をお世話するスーパーセキュリティボール君だ」
オブジェクト化された時には既にスーパーセキュリティボール君は青白い稲妻を発していて、ゆっくりと兄妹間の壁を越えようとした二人に狙いを定めていた。
コミカルな光景が広がっている一方で、楓はただ下を向いたまま暗い表情を浮かべていた。




