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4章7

 女皇陛下の死体を操るヘッドギア、ネクロドールシステム目がけて《フレアソード》を振り下ろしたが、オブジェクトデバイスの加護で細胞強度が増した腕でガードされてしまう。それでもかえでは足に踏ん張りを入れて切り込んでいく。ギシギシと鈍い金属音が鳴らし、そのまま片腕を切断する勢いで押し返していく。だが一瞬相手が力を弱めたことでバランスを崩され、隙ができた。

『脳内シナプスヨリ最適ナ技ヲ選出、『爆裂光弾フレアブラスト』発動』

 スペルゲン粒子を素早くかき集め、光の波弾を放ち楓の隙を突く。

「ぐわっ!?」

 ボーリング玉をぶつけられたような鈍い痛みを自覚した時には壁に叩きつけられ、容赦無しに次の痛覚が楓の体を駆け巡った。

 何とか意識を保って体をよろめかせながらも立ち上がる。だが内的なダメージがジワジワと効いてきて、楓は急な吐き気に襲われ口から血の塊が吐き出してしまう。

「楓、もうこれ以上戦闘の継続は無理ウパ、楓の体も限界ウパよ」

 ルンバが心配な表情で楓を見上げ、戦闘の断念を提案する。

「それでも……闘わなきゃ! ここで私が食い止めないと、黒鉄くろがね君達の戦況を混乱させかねないわ。私が倒れたら、きっとシステムが次の標的を黒鉄君に定めて戦闘に介入する。だから、ここで私が負ける訳にはいかないのよ!!」

「……なら、一撃必殺のあの技(```)でさっさと終わらせるウパ。上手くいけば、あのふざけたヘッドギアを破棄できるかもしれないウパ」

「…………」

 楓は苦い表情を浮かべ、戸惑いを覚える。

 楓が持つ技の中で最強最大の威力を誇る一撃必殺の技。故に、技の反動が大きくリスクが高い。発動するなら、一撃で仕留めなければならない最後の切り札。失敗すれば間違いなく『死』という最大級の絶望が待っている。

『ターゲットノ戦闘威力低下ヲ確認、ダメージ量甚大ト推測。コレヨリターゲットヲ排除シマス。現状ニ最モ最適ナ技ワ検索中……検索完了』

「どうやら躊躇ちゆうちよする時間も与えてくれないのね。まったく……少しはレディーをいたわることを知りなさいよね」

 苦し紛れの笑みを浮かべながら楓は《フレアソード》の刃を収め、瞼を瞑り最強技の詠唱を唱え始めた。

「集いし光が大いなる奇跡を呼び起こす。今幸運の輝きとなりて、世界を照らせ!!」

 大質量のスペルゲン粒子が刃を収めた《フレアソード》の先端に引き寄せられ、やがて台風のような強風が巻き起こる。集結したスペルゲンの光は純白で神々しい輝きを増していき、毎秒ごとに大きさも肥大化していく。それに連動してホロモニターのエネルギーケージが溜まっていく。膨大なエネルギーが溜まっていく一方で、楓の腕にビリビリと電撃を浴びたような痺れが伝わり、握力を根こそぎ奪われそうになる。

(耐えて私の体! 女皇陛下のためにも、黒鉄君達の迷惑にならないためにも、絶対に負けられないのよ!!)

 ピー! とエネルギーがフルチャージされたことを知らせるアラームが鳴る。

絶対的究極の輝きアブソリユートシヤイニング!!」

 瞬間、《フレアソード》の先端より純白で強烈な光が放たれる。

『エネルギーフルチャージ完了。『絶対的究極の輝き』発動』

「同じ技!?」

 同じ輝き、同じ一撃必殺の技が激突する。膨大なエネルギー同士のぶつかり合いが建物全体を揺らす。

「ぐぬぬぬぬ……負けない、負けちゃいけないのよぉ——————!!!!!!」

 泣いても笑ってもこれで勝敗が決まる。楓は今ある力の全てを《フレアソード》の柄を握る腕へと注ぎ込んだ。

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