第八話 さあ、未熟者を笑おう
その一報が商管室のレイスから、ミース物流取扱社へ届いた時、ルッドは思わず手を強く握ってしまった。会心の結果だったのだ。喜ばずしてどうしろというのだ
「ソルトライク商工総会の……事務員が、組織を裏切って……情報をノースシー流通取扱社に流そうとした。それを………察知した総領館商管室が、事前に彼らを…捕え、ソルトライク商工総会の………内部情報を得ることに成功した…………という顛末だったか。それが……どうかしたのか?」
こちらの様子に怪訝な表情をするダヴィラス。彼の仕事は一通り終わったため、今は事務仕事を任している。
「ソルトライク商工総会とノースシー流通管理会。この二つの組織にとって、既に埒外の人間になった人達が、二つの組織に影響を与える形で捕まってくれたことが良いことなんですよ」
捕えられた人間は、組織を裏切って情報を流そうとした以上、商業関係の安定化を標榜している商管室が抱える案件となるだろう。その持っている情報が、国が目当てにしているソルトライク商工総会の情報というのがまた、彼らを動かす強烈な餌になるはずだ。
「………というか、そう仕向けたんだろう? 確か……俺がソルトライク商工総会の裏切り者を脅すのに平行して、商管室の…………なんて言ったか………」
「レイス・ウルド・ライズさん」
「そう……あの男装の。彼女に、そういう裏切り者がいるぞと………教えた」
つまり、裏切り者はノースシー流通管理会へ逃げ込む前に、商管室に捕えられたのは、その行動を報告した者がいるからであるが、それをやったのは自分だということ。
「そうですね。タイミングが一番重要でしたから。こっちにとって都合が良い状況になってくれて良かったですよ。ノースシー流通管理会の方へ完全に逃げ込まれていたら、厄介でした」
もしそうなれば、二つの組織のパワーバランスが崩れてしまう可能性だってあっただろう。例の裏切り者たちが持つ情報にも寄るだろうが、些かいただけない状況である。
「これでレイスさんへの借りというか、彼女からの依頼は果たしたことになります。ああいう人達が持ってる情報って、結構スキャンダラスでしょう? 裏切り者を引き渡したことになるのは僕達ですから、まあ、これで契約完了ってことになると思います」
「なら、俺達の仕事はこれで終わりか?」
ダヴィラスの言葉に首を横に振る。漸く舞台が整ったのだ。むしろここからが本番だ。
「恐らく商管室は、得た情報を使って、ソルトライク商工総会の力を削ぐ形で動くはずです。でなければ、潰しに掛かるか」
「それは頂けないというわけだな」
頷く。情報を売り渡してはさようならでは、ソルトライク商工総会を裏切った者達と同じではないか。
「商管室も、ソルトライク商工総会も、ノースシー流通管理会にしても、そこそこに大きな組織だからね。動きが相応に鈍い。そこにチャンスがあると思うんです。僕らは、思い立ったらすぐに動けるじゃないですか」
裏切り者が捕まったという変化に対して、ルッド達だけが動ける空白の時間が存在するのである。ルッドはそれを狙って最後の行動に出る。
「商管室がソルトライク商高総会の裏切り者を捕まえたという情報を、ノースシー流通管理会へ持って行きます。社長もレイナラさんも予定がありますから、僕が直接行くつもりですけど、ダヴィラスさんはどうします?」
「ついていく………さ。隣で見ていないと、ちょっと動きが理解できそうに………ないからな」
ダヴィラスが笑う。傍から見れば邪悪な笑みを浮かべている様に見えるだろうが、ルッドにはそれが、苦笑であることを知っていた。
「…………その話が真実だったとして。あなたはどうしてそれを伝えに私の元へ?」
ノースシー流通管理会の会長、カルシュナ・ストラーズは、ルッド達が会いたいと望んだ時点で、すぐに応接の用意をしてくれた。
それほど時間を取ってもらったわけではないのだが、それでも直接話を伝えられるというのは僥倖であろう。
「現段階で、もっともこの情報を活かせるだろう方が、あなたしか思い浮かびませんでした」
ルッドが差し出すのは、ソルトライク商工総会の裏切り者が、商管室に捕えられたという情報と、まだ商管室が本格的に動いていないという情報の二つだった。
「確かに、私ならその情報を活かせるでしょう。余計な火の粉が跳ばぬ様にしたり、向こうの組織にトドメを刺すことだって可能です。だが、私が聞きたいのはそこじゃあない」
応接室のソファーにお互い座り、じっとこちらを見てくるカルシュナ。視線はルッドの左側に座っているダヴィラスにも向けられていた。
彼の強面にもこれと言った興味を示していない様子のカルシュナには、度胸というものが存在していることが分かる。
「情報を渡して、何を狙っているか。聞きたいのはそれですよね? 予定もあるでしょうし、率直に言わせて頂きます。今、このチャンスを利用して、ソルトライク商会から二つに分かれてしまった組織を、一つにしませんか?」
「組織を………一つに?」
カルシュナがじっとこちらを見てくる。値踏みしているのだろう。先ほどまでの言葉を吐いた人間が、いったいどれだけの男であるかを
(相手の言葉が真実か、嘘か、価値あるかそうでないかを、その言葉だけで判断することはできない。だから、その言葉を口にした人間の器を探るんだ。例え出任せや嘘の類であろうとも、信じるに足る人間かどうかを)
自分は、どう見えるのだろうか。どれだけの器が自分にあるのか。自らの価値というものは、案外自分ではわからぬもので、他者に判断して貰うしかない。ただし、自分を高く見せようとする努力を忘れてはならない。
「文字通り、ソルトライク商工会を元に戻すって話をしているわけじゃあありません。そんなことは不可能だし、意味がない。僕が提案しているのは、新たな組織という形で、安定した大きな組織を作ってくれないかということです」
「…………確かに、あなた方の様な流通関係の小組織となれば、大陸中の流通路を管理する大組織があった方が、何かと都合が良いのでしょうね。ソルトライク商工会も、そういう要望があったからこそ、誕生したと言える」
頷いているカルシュナ。一考の価値はあると判断してくれたらしい。だが、話はこれからなのである。
「ソルトライク商工総会の方が行なっても構わないという話ではありません。二つの組織の内、ここ、ノースシー流通管理会が行うことが望ましいはずです」
「向こうは、名前が似通ってるからか………。つまらない問題かもしれないが、一般人から見ればそれが重要でしょうな。出来上がるのが新しい組織に見えるというのが重要だ」
流通網を管理していく以上、ある程度、国との関係性も維持する必要がある。ザナード・ソルトライクというカリスマを失った状態である以上、ラージリヴァ国と敵対関係を続けるほどの余力が無いからだ。
前組織の様にはいかない。そうして前組織の名を残す組織というのは、国との確執をそのまま残す結果になるだろう。それでは駄目だ。
「時間はあまりありません。商管室が動きだせば、商工総会の方がかなりのダメージを受けるでしょう。そうなれば人の流れがこちらに移り、組織統一となるかもしれませんが、火の粉がこちらまで及ぶ。あくまで商管室が介入するより前に、統一の取り決めを行っておく必要があります」
想定できぬ人の動きというのは、そのまま組織の負担となり、ノースシー流通管理会も共倒れになってしまう可能性もある。
ソルトライク商工総会への商管室の介入が既に決定事項である以上、それによって及ぶ被害を想定し、来たる結果を軟着陸させる形で進める必要があるだろう。
だからこそ、今、この瞬間から始めなければならないのだ。二つの組織の統一を。
「相手の弱みに付け込むことになる」
「ソルトライク商工総会がガタガタになってから統一するよりかは、幾らか正道です。このままじゃあ駄目になるから、今の内に一つになってみないかという提案は、非常に建設的だとは思いませんか?」
罪悪感など抱く必要などない。現在の状況はノースシー流通管理会の与り知らぬところで起こっていた事なのだから。ただ、目の前の状況に対応すれば良いと感じる。
「…………あまり、舐めないで貰いたいと思う部分があります」
すっと、カルシュナの目が細くなる。若干の敵意と興味を同居させた鋭い目線。値踏みする時のそれとはまた違う。相手を対等の人間だと認め、かつ、戦う相手なのかもしれないと判断した目だ。
「君の提案は魅力的な部分がある。それは認めましょう。ただし、だからと言って全面的に信じるというわけにはいかない。信用云々の話ではないことは………わかるはずですがね」
動く状況に対して、もっとも利益を得るのは、その状況を動かしている人間だ。いまのルッドを他人が見れば、そういう人間に見えることだろう。実際は、ルッドとて大きな動きの中で、なんとかその流れに贖っているだけなのだが、それでも、傲慢な人間に見えてしまうのかもしれない。
カルシュナはそのことに不快感を覚えている様だ。
「詐欺師か何かに見えますか? それは分かります。突然やってきて、大して親交も無いというのに、こんな話を持ちかける。怪しく見えないわけが無い。ただ、癪に障ってるのは僕も同じなんですよ」
さあ、自分の価値を示そう。ルッド・カラサという人間は、手を組むにふさわしい人間であることを、目の前の人間に伝えるのだ。
「ソルトライク商工会と仲良くしようとした矢先にこんな事態だ。なんとかこうやって、流通関係の立て直しを図るために、この流通管理会とも関係を持とうとしました。だが、それだって何時まで持つか分かったもんじゃあない」
本当に悔しそうな表情を浮かべて見せるルッド。混乱する状況に苛立ちを持っているという感情を言葉に込めていた。
「ストラーズさんも悔しく無いんですか? 誰が仕組んだのか、それとも自然の流れのままにだったのかは知りませんが、どう考えたって貧乏くじを引いたのは、僕らの様な商人で、理不尽だ」
怒りを交えた言葉を紡ぐ。上手く相手を騙し切れるだろうか。
「…………商人としては、共感できる台詞だ。あなたが何かに必死であるというのも分かる。しかし…………」
まだ迷っている。カルシュナ・ストラーズの心境はそんなところだろうか。なんとかその悩みを晴らすことができぬものか。
「今、あなたが悩んでいること。当ててみましょうか?」
「何?」
「組織がまた一つになるということは、ソルトライク商工会と同規模の組織がまた生まれるということ。そうして、その組織のトップに立つのは、その話を纏めることになるであろうあなただ。あなたは、それが自分にできるかどうか迷っている」
カルシュナ・ストラーズとの会話は短いものであるが、どことなく、彼が自らの能力に自信を持っていない事だけはわかった。
ルッドから見れば、それなりに大きな組織を維持できている以上、能力はある方に見えるのであるが、そこは彼もザナード・ソルトライクの元部下である。自分とザナードを比べて、能力不足というのを痛感しているのだろう。そんなものは存在しないと言うのに。
「…………確かにその通りです。今、ここに存在する組織を維持するだけで精いっぱいだというのに、そこへ来て、さらに多くの人間を抱える必要が出て来る。ただ商人同士という仲であるだけであるあなたに、こういう事を言うのはアレですが、やれる自信などないというのが実情でしてね」
「そんなことはない。あなたには十分力があるはずだ。これから必要になってくるそれは、ザナード・ソルトライク氏が持っていた物とは大きく違うのだから」
まったくもって詐欺師の口調だと自分で思う。自信を無くしている相手に向かって、光明を差し向ける。ルッドが進んで欲しい方向へと。だが、進むかどうかを決めるのはカルシュナ自身であるはずだから、まだフェアな交渉だろうと考えている。
「これから、再び一つになる組織に必要なのは、ザナード・ソルトライクの様な組織を強大化させるための能力じゃあありません。必要なのは維持し、管理をする能力のはず。あなたにはそれがあるように僕には見えます」
「今ですら、精一杯だ」
「なら、このまま放置して、多くの人間を路頭に迷わせますか? 言い切りますよ? 国はソルトライク商工総会の弱みをチャンスだと考えて、必ず潰しに掛かってくる。あなた達の元、仲間だった人達に」
今度は目の前の人間が重要視している人々を人質に取る。なんとも悪い人間のやり方だとルッドは思う。自分は正義の味方などでは決してないし、良いか悪いかで言えば悪い方だろう。だが、恰好が悪いことだけはしないつもりだった。
「………私に、すべてを背負えと?」
「そうしていただけなければ、僕も困ります」
「あなたはそのことを伝えるためだけに私に?」
「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」
「敵なのか………味方なのか………」
「商人。ルッド・カラサと申します」
言葉のすれ違いが続く。両者共にわざとだ。相手が何か口を滑らしてくれれば儲けものだと考える、意味があまり無い会話。
一種の儀式なのだろうと思う。これから、自身がどういう心情を持って動いていくかを確認するための。
「…………時間があまりありませんね。新しい予定ができてしまった」
「なら、僕らは早々にここを立ち去ります。その予定を是非とも早く実行していただきたいですからね」
最後は笑顔で応答する。この笑顔が本心からか。それとも単なる作りによるものなのか。ルッド自身にもわからなかった。
「そうして次が最後の仕上げって感じですね」
「ま、まだ………あるのか?」
疲れた様子のダヴィラスを片目に収めた後、ルッドは先を急ぐ。今はノースシー流通管理会の事務所を出て、ミース物流取扱社へ帰る道中だ。
ダヴィラスに関しては話を聞いていただけなのだから、それほど疲労する仕事では無かっただろうに。
「最後はレイスさんへの報告が残っているでしょう?」
「ソルトライク商工総会の……裏切り者について………情報を引き渡した時点で、向こうとのやり取りは終了…………じゃなかったのか? そのために………レイナラを向かわせて……いただろう」
ダヴィラスの言う通り、レイナラには商管室への報告を主に行なってもらっていた。女性同士というのもあり、交友関係がある振りをしての接触を繰り返し、細かに情報の遣り取りをしていたのだ。
「商管室へ目に見える形での成果を渡しましたが、あの室長さんには、こっちが何をしようとしているかを、ある程度、明かそうと考えています」
「大丈夫………なのか? 些か、向こうを裏切っている動きをしているだろう。俺達は…………」
「そういう関係であることを知らせに行くんです。どちらかがどちらかに依存する関係じゃあない。ただ、互いを利用し合う関係であることを相手に見せなければ、彼女と良い関係を築けないと………まあ、思ってるわけです」
「良く………わからん話だな。いつ何時裏切るか分からないぞと伝えることが………良い関係に繋がるのか?」
ダヴィラスの疑問はもっともなものだ。普通の交友関係において、そんな奴と付き合いたいなどと思う人間はいない。ただし、商売であるならば別だ。
「僕らは商人です。商人は利益を優先するものなんですよ。利益のためならば、簡単に他人を裏切ってしまえる。あのソルトライク商工総会の人達みたいにね? そんな人間が誠意を見せるとしたら、どういう場合に裏切るかを伝える事しか無いんですよ」
そうして、レイスという女性も、それを承知でルッド達を受け入れるだろうと考えている。だって、そうで無くては権力者などできないはずだから。
「で………話した後はどうするんだ?」
「そうですね。どうすれば起きた結果から最大限の利益をお互いが得られるか。そんな事の取り決めをします。どうします、ダヴィラスさん。こっちには付いてきますか?」
「いや…………なんとなくでしかないが………起こっている……いや、あんたが起こそうとしていることは分かった………俺はそれで良い。居たって置き物にしかならないだろうし………な」
なにやら満足している様子のダヴィラスを見るものの、まだ自身の仕事が終わっていないのだから、ちっとも気の抜けないルッドだった。
結果だけを語るならば、ラージリヴァ国の流通を管理している二大組織は一つに戻ったと言える。ノースシー流通管理会の元に統一されたそれであるが、一般人から見た切っ掛けは、ソルトライク商工総会のスキャンダルであったと映るだろう。
「ソルトライク商工総会の会長………ナスドル・ソルトライクは………ザナード・ソルトライクの子にあらず? まあ………確かにスキャンダルに………映るか」
なんでも、ナスドル・ソルトライクにはその出生前後に混乱があったらしく、実子では無いのではないか? という形のスキャンダルだ。
ダヴィラスはそれが書かれた広報紙を、ミース物流取扱社の資料室で眺めていた。この広報紙が配られたのは数日前の事であり、その後、スキャンダルでガタついたソルトライク商工総会を、ノースシー流通管理会が吸収する形で、なんとか組織そのものの維持ができたというのが最新の状況だ。
「あのソルトライク商工総会を裏切ろうとしていた人達。丁度良い具合のネタを持ってたわけですね。ちょっともったいないことをしたかな?」
ダヴィラスの後ろから、ルッドが現れる。今回の仕掛け人であるこの少年………いや、もう男と表現したいくらいの腹黒であるが、一応はダヴィラスの雇用主だ。
「今の………形の方が、上手い具合にいったと………思うんだがな」
スキャンダルでソルトライク商工総会がぐら付いたのは確かだが、その直後に起こったノースシー流通管理会との併合のおかげで、混乱は最小限で落ち着いたと言える。
ノースシー流通管理会が、併合ではあるがソルトライク商工総会の組織体を出来る限り維持するとの譲歩を行ったためだ。まるで事前にその様な取り決めでもあったかの如く。
「二つの組織が上手い具合に一つになったというのは狙い通りなんですがね。その後、一つになった組織が順調にやっていけるかについては、僕にはどうしようも無いから、心残りは無いんですが………」
「後悔があるのは…………商管室について……か」
要は商管室の室長との交渉が上手く行かなかったということだろうか。
「利益をね? もっと得られる機会があったと思うんですよ。レイスさんにそれを提案したんですが、彼女にはできる事に限りがあるからと却下されました」
「何をさせたかったんだ?」
「商管室もソルトライク商工総会のスキャンダルについて事前に知ることができる状況にあったんですから、二つの組織が事前に併合を進める話し合いに、参加することができたはずなんですよね」
というか、商管室にソルトライク商工総会のスキャンダルが流れたという情報があればこそ、二つの組織は併合に踏み切ったはずだ。
目の前にはそれを画策した男がいるのだから間違いない。
「その………商管室が参加していれば………どうなっていたんだ?」
「僕が提案したのは、二つの組織の併合に商管室が協力するって筋書ですね」
「ほう………邪魔で無く………協力か」
意外に思った。今回の筋書では、商管室はあくまで二つの組織を糾弾する側では無かったのか。
「手打ちの演出って奴ですよ。ソルトライク商工会から始まったゴタゴタに対して、ここで全部一旦区切ろうって奴です。今の状況じゃあ、あくまでソルトライク商工会から派生した二つの組織の問題が解決しただけで………国との険悪性は残ったままだ」
そこで商管室が二つの組織と協力し合うことで、現在、ラージリヴァ国で起こっている混乱を多少なりとも治めようとの狙いがあったのだろうか。
「だが…結局無理………だったのか………」
「レイスさん自身は乗り気だったみたいなんですけどね。どうにも人手や人脈がまだ足りませんでした」
まだまだ未熟だ。そんな風に笑うルッドを見て、ダヴィラスは、こいつはきっと大物になるのだろうという確信に満ちた感想を抱くのだった。