表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春の紙飛行機  作者:
7/7

5.5話


5話のエピローグ的な何か。




 「不整脈が気になる」という幼馴染の相談を終えた夜、笹山一樹は自分の部屋でインターネットを楽しんでいた。

 ヘッドフォンってこんなに高いの!? と驚きつつ諭吉を差し出して購入した今ではすっかりお気に入りの赤いヘッドフォンを耳にあて、音楽を流しながらのネットサーフィンは彼の趣味の一つだった。


「ふんふんふーん」

 時折、下手くそだとよく言われる鼻歌を混じらせてみる。マウスを動かして新しいページを表示させたところで、ふと先程自分が言い放った言葉を思い出した。


『お前のパソコンで『こい』って打ち込んで変換すると、魚の『鯉』になりそうだもんな』


「……」

 紙飛行機を折ることが青春とぬかす幼馴染にそう言ったが、果たして自分はどうなのだろうか。


「れ、恋愛マスターだしなぁ、俺」

 ただし自称である。


「よし」

 一樹は深く一度頷いて、ワードを起動した。ワードに実際に文字を打ち、変換してやるのだ。短いアニメーションが表示されたあと、真っ白なテキストが浮かび上がる。

 ……カタカタカタとキーボードを素早く打ち込んで、


「こ、い……と」

 あとは変換キーを押して漢字になるのを見守るだけである。しかし、どうも変換キーを押すのにためらいを覚えてしまう。


「……恋愛マスターは恋することが宿命ッ!」

 我ながら意味不明な決め台詞であったが、とにかく変換キーを勢いよく押した。


『鯉_』


「……ですよねー」

 恋愛マスターとはどこに行ったのか。

 一樹は自分を嘲笑いながら、パソコンの電源を落とす。


 うぃぃぃん、という音と共に画面が闇色に染まっていく。

 その間、目覚まし時計に目をやると、時刻は日付も変わって0時を回っていた。


「もう寝るか……」

 このことは絶対にアイツに黙っていなければ。そんなことを思って、パソコンの画面が完全に消えると、電気を消してベットに潜り込むのであった。


 


 ――社会の課題を忘れて先生にこっぴどく怒られるのは、もう少し先のことである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ