第六十章 星雲脱出大作戦!修理もドタバタ
幻影の民の試練を突破したアストラたち。しかしノヴァ・リュミエール号は星雲内で損傷し、航行不能の状態。脱出のためには、修理と航路確保を同時にこなさなければならない。もちろん、いつも通りのドタバタは避けられない――。
「ふぅ……迷宮突破はできたけど、船はボロボロだね」
リーナが煙を上げる艦内を見渡す。床には工具や装置、散乱した花火の残骸が転がる。
「修理は僕がやる!いや、僕の発明で直せるはず!」カイが元気よく工具を取り出す。
「だからって、爆発させるのはやめて!」アストラは頭を抱える。
マリナは計器を確認し、冷静に作戦を立てた。
「まず、動力系統の応急修理。次に推進系統を復旧。それから光学迷路用のセンサー調整」
「……って、なんで順番まで説明されてるのぉぉ!」アストラが悲鳴をあげる。
船体の外を見ると、星雲の霧はまだ濃く、進路を誤れば再び未知の渦に巻き込まれる可能性が高い。
「カイ、光学センサーを頼む!」
「お任せ!光の壁も迷路も、僕の花火で照らして突破だ!」
しかし、カイがセットした花火四号が誤作動。
ドォォォンッ!!
船内が爆発音と共に揺れ、アストラとリーナは床に転げ落ちる。
「ぎゃあぁぁ!また爆発!?」
「落ち着け、ただの光源だ」カイは笑顔。
「……その笑顔が怖いんだよ!」
マリナは鋭く指示を飛ばす。
「アストラ、推進系統を手動で!リーナ、通信系統の保護!カイは光源担当!」
「了解……って全部僕がやるの!?」アストラは頭を抱えた。
外部作業用のスーツを着込み、アストラは船外に出る。
星雲の霧は幻想的で美しいが、未知の微粒子が飛び交い、視界は不安定。
「キャプテン、無理しないで!」リーナが艦内から叫ぶ。
船体の補修は、想像以上に困難を極めた。
ねじはどこかに飛んで行き、工具は滑って床に落ち、光学センサーのレンズには霧が付着。
「くそぉぉ、どうしていつもこうなるんだ!」アストラは涙目で格闘。
カイは懲りずに花火を点火し、霧を照らして光路を確保。
「ほら、見えるぞ!」
「それが危険光源って言うんだよ!」
やっとのことで船体修理が完了し、推進系統も復旧。
マリナが操縦席に座り、航路を計算する。
「よし、光学迷路を突破できる。出口は……あそこ!」
アストラは深呼吸して操縦桿を握った。
「うわぁぁぁぁ!僕、また操作するの!?」
リーナは深呼吸して励ます。
「大丈夫、キャプテン!私たちも一緒にやる!」
ノヴァ・リュミエール号は星雲の出口へ向かい、霧の迷宮を抜ける。
カイは光源として最後の花火を点火。霧が鮮やかに照らされ、出口への道が浮かび上がる。
「やった!これで脱出できる!」
「だが油断するな」マリナが警告する。
「影の艦隊も銀河警察も、まだ近くにいる可能性がある」
アストラは頭を抱え、涙目で叫ぶ。
「もう、僕の休暇はどこに行ったのぉぉぉ!」
それでも、船は無事に星雲を抜け、未知の宙域へと姿を現した。
輝く星々の間で、ノヴァ・リュミエール号は再び航海を続ける。
「次こそ……休暇……?」アストラがぼそり。
「休暇より、次の冒険の方が早く来るわね」マリナが笑う。
「まあ、ドタバタがあるから楽しいんだけどね!」カイは笑顔で拳を握った。
こうして、アストラ一行は星雲脱出大作戦を成し遂げた――もちろんドタバタ満載で。
星雲内での修理と脱出を成功させたアストラたち。しかし、銀河警察の誤解も影の艦隊の影も去ったわけではない。次なる冒険はさらに予測不能。ノヴァ・リュミエール号の航海はまだまだ続く――。




