表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星間乱舞!キャプテン・アストラの大英雄譚 銀河の黎明(ぎんがのれいめい)  作者: たむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/79

第五十三章 影の艦隊、動き出す

辺境宙域で奇妙な無法者“スクラップ団”と遭遇したアストラ一行。花火ショーによって勝利(?)を収めたものの、その光の信号は広範囲に拡散していた。そしてついに――噂に聞いた「影の艦隊」が動きを見せる。果たして彼らは敵か、それともただの伝説か。銀河の暗黒に潜む脅威が、ゆっくりと姿を現し始めていた。

「キャプテン……やっぱり、あの花火はまずかったわ」

リーナが真剣な表情で報告した。

「広域センサーに反応が出てる。未知の艦影がこちらに向かってるわ」


「未知の艦影……?」アストラは喉を鳴らした。

「やっぱりかぁ……僕、こうなる気がしてたよ」マリナが深いため息をつく。

「でも、敵かどうかまだ分からないでしょ?」カイが呑気に言った。

「いや、こんな真っ暗な宙域にわざわざ近づいてくる時点で怪しいでしょ!」リーナが即ツッコミ。


数分後――視界いっぱいに、漆黒の艦隊が現れた。


「うわ……」

アストラも思わず息をのむ。


それは通常の軍艦とは違っていた。艦体は光を吸い込むように黒く、星々の光に溶け込んで輪郭さえ曖昧。まるで“宇宙そのものが形をとった”ような異様さだった。


「影の艦隊……」リーナの声はかすれていた。


やがて通信が入る。画面に映ったのは、仮面で顔を隠した人物。

『……銀河同盟の犬どもめ。我らの静寂を乱すな』


「えっと……犬って、僕らのこと?」アストラが恐る恐る聞く。

「いやいや、僕らまだ同盟に雇われたばかりで――」

「キャプテン、そこじゃないでしょ!」リーナが全力でツッコむ。


仮面の人物は冷たい声で続けた。

『花火など愚劣な光を撒き散らし……存在を知られたくば即刻立ち去れ。さもなくば、この宙域を貴様らの墓場とする』


「ひ、ひぃっ……!」リーナが小さく悲鳴を上げる。

だがマリナは腕を組み、冷静に画面を見つめていた。

「――花火を愚劣と言ったわね。私はあれ、美しいと思ったけど」

「マリナ!挑発しないで!」アストラが慌てて止める。


だが時すでに遅し。影の艦隊の艦首砲門が一斉に光を帯びた。


「うわぁぁ!やっぱり戦闘モードだ!」

「キャプテン、どうするのよ!」リーナが叫ぶ。


「えっと……えっと……」アストラは頭を抱える。

するとカイがにやりと笑った。

「実は“切り札”を作っておいたんだ」

「なにそれ!?また妙な装置?」

「名付けて“花火二号・超拡散モード”!」


「やめてぇぇぇ!」リーナの絶叫もむなしく、花火二号が発射される。


バシュッ!――宇宙全体を覆うほどの光の粒が四方に散り、鮮やかな閃光が広がった。

影の艦隊の艦体がその光を浴びると……奇妙なことが起きた。


黒い艦体の一部が、一瞬だけ透けて見えたのだ。


「キャプテン!あれ……艦が“光”に弱い!」リーナが叫んだ。

「ほんとだ!まるで影が消えるみたいに……!」


しかし影の艦隊も黙ってはいない。

『愚か者どもめ……その光、長くは続かぬ!』


艦隊の砲火が一斉に襲いかかる。

ノヴァ・リュミエール号は必死に回避するが、衝撃で船体が揺れる。


「きゃあぁぁ!」

「キャプテン、シールド残量50%です!」リーナの声が響く。


アストラはぐっと拳を握った。

「みんな、ここは踏ん張るしかない!僕らのドタバタが、銀河を救うんだ!」

「そんなスローガンでいいの!?」マリナの冷静なツッコミ。


花火二号の残弾はあと一発。

「キャプテン……どうする?」カイが尋ねる。

アストラは短く息を吸い込み、決断した。


「撃て!これで道を開くんだ!」


最後の花火が炸裂し、宇宙を虹色に染め上げる。影の艦隊の艦影は光に溶け、軌跡を残して後退していった。


『……次はないぞ。銀河の愚者ども』


通信が途絶え、影の艦隊は静かに姿を消した。


――静寂。


だが確かに、銀河の闇に潜む存在が“実在”することが明らかになった瞬間だった。


アストラは大きく息を吐き、ソファに倒れ込む。

「……もうほんとやだ……平穏が欲しい……」

「キャプテン、これからが本番よ」マリナが冷たく笑った。

「……うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」


こうして、影の艦隊の脅威はついに表舞台へ。

アストラ一行の冒険は、ますます混沌とした銀河の渦へと呑み込まれていくのだった。

ついに“影の艦隊”が動き出した!その存在は単なる噂ではなく、銀河を脅かす現実の脅威だった。

だが彼らが“光”に弱いことを偶然にも発見したアストラ一行。ドタバタの中に、ほんの少しだけ希望の手がかりが見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ