第四十八章 銀河動物園パニック!逃げ出した珍獣たち
豪華客船での休暇が大乱闘に終わったアストラ一行。だが彼らは懲りずに次の娯楽へ挑戦する。訪れたのは、銀河中の珍しい動物を集めた巨大テーマパーク〈銀河動物園〉。珍獣たちに囲まれ、ようやく癒やしのひとときを――と思いきや、動物たちが一斉に檻から脱走!?アストラ一行は動物園を救うため、再びドタバタ劇を繰り広げる!
「キャプテン、今度こそ事件はないでしょうね?」
リーナが疑いの目を向ける。
「大丈夫!動物園だぞ?平和の象徴じゃないか!」アストラは胸を張った。
「逆に一番フラグっぽい」マリナが冷ややかに言う。
〈銀河動物園〉は宇宙に浮かぶ巨大コロニーで、各惑星の珍獣が飼育されていた。無重力水槽で泳ぐ光るクラゲ、歌う鳥型生命体、岩を食べるカメ型生物……見ているだけで飽きない。
「うわぁ、かわいい!」
リーナは小型の毛玉獣に抱きつき、目を輝かせる。
「ふむ、進化の過程を考えると非常に興味深い……」カイは真剣に観察を始める。
「私はもう、事件が起きるまで待つ体勢でいるわ」マリナはベンチに座って休憩モード。
そんな中、アストラが檻の前で感動の声をあげた。
「見ろよ!銀河最大の珍獣〈ギャラクシー・ビースト〉だ!」
全身が虹色に輝き、目からレーザーを出す超希少生物。
「危険だから近づかないでくださいって書いてあるわよ!」リーナが慌てて止める。
だがその瞬間、園内にサイレンが鳴り響いた。
『非常事態!全ゲート封鎖!珍獣たちが脱走しました!』
「やっぱりかー!!」クルー全員が揃って叫んだ。
次々と檻を破って飛び出す動物たち。鳴き声、羽音、足音が混じり、園内は大混乱に。観客たちが逃げ惑い、スタッフも制御不能。
「キャプテン!どうします!?」
「もちろん、捕まえるに決まってる!」アストラは拳を握る。
「え、私たちが!?」リーナは半泣き。
こうして、即席「珍獣捕獲作戦」が始まった。
カイは岩食いカメを追いかけて研究ノートを片手に走り回り、うっかり自分の靴までかじられる。
「ぎゃー!僕の実験靴が!」
「今それ研究してる場合じゃないでしょ!」リーナが怒鳴る。
マリナは空を飛ぶ鳥型生命体を網で捕まえるが、逆に群れに囲まれて連行されそうになる。
「キャプテン!私が攫われる!」
「ちょっと待て!そんな動物園アトラクション聞いたことない!」
一方、アストラは巨大サル型生物に背中へ無理やり乗せられ、まるで動物ショーの花形扱い。
「うおお!?誰か止めてくれー!」
観客からは「キャプテン・アストラのライドショーだ!」と拍手が飛ぶ。
極めつけは、あの〈ギャラクシー・ビースト〉。虹色の体で園内を駆け回り、目からレーザーを乱射。檻を直そうとしたスタッフが右往左往していた。
「キャプテン!あれを止めないと園ごと吹き飛ぶわ!」リーナが叫ぶ。
「わ、わかってるけど……強そう!」アストラは青ざめる。
しかしそこでマリナが冷静に観察し、ぽつりと呟いた。
「……あれ、遊びたいだけね」
「え?」
「目がキラキラしてる。追いかけっこを楽しんでるだけよ」
そこでアストラは決断する。
「よし、全力で遊んでやる!」
こうして、〈ギャラクシー・ビースト〉との追いかけっこ大作戦が始まった。園内を走り回り、無重力プールに飛び込み、ジェットコースターのレールまで突っ走る。観客は完全に「スペシャルショー」と勘違いし、拍手喝采。
最終的に、リーナが眠り薬入りの餌をうまく使い、ビーストを鎮めることに成功した。アストラはゼーハー息を切らせながら、その巨大な頭をなでる。
「……はぁ……まさか……休暇が……動物園レスキューになるとは……」
園内はようやく落ち着き、園長が涙を流しながら感謝を述べた。
「キャプテン・アストラ一行!あなた方は動物園の救世主です!」
「いえ……ただ、遊んでただけで……」
こうして、またしても“英雄”として称えられてしまったアストラたち。だが本人たちは、ぐったりと芝生に寝転がり、声を揃えて呟いた。
「……休暇ってなんだろう……」
珍獣たちとの大追走劇を繰り広げ、銀河動物園を救ったアストラ一行。今回も大騒動に巻き込まれながら、結果的にヒーローとして扱われてしまう。
次回は――なんと「銀河警察本部」へ呼び出し!?お礼かと思いきや、待っていたのは新たなドタバタ任務だった!




