表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星間乱舞!キャプテン・アストラの大英雄譚 銀河の黎明(ぎんがのれいめい)  作者: たむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

154/163

第百五十七章 見えない敵の正体

見えないものは、恐ろしい。

だが――

見えないままでは、戦うこともできない。

エコー・ベルトで遭遇した“曖昧な存在”。

それは敵なのか、現象なのか、

あるいは――別の何かなのか。

記憶を繋ぎ続けた先に、

ついに“輪郭”が浮かび上がる。

◆パターン


「また来るぞ」


アストラの一言で、

艦橋の空気が引き締まる。


前方、右舷、後方。

これまでバラバラだった出現が、

少しずつ“規則性”を帯びてきていた。


リーナが分析を進める。

「出現間隔……

微妙に短くなってる」


「つまり、

近づいてきてるってことか?」

カイが眉をひそめる。


「もしくは――

こちらに“寄せてきている”」


マリナの言葉に、

誰も軽口を叩けなかった。


◆ドタバタ強化観測


「よし、作戦アップデートだ!」

カイが勢いよく立ち上がる。


「今度は叫ぶだけじゃなくて、

動きも記憶する!」


「無茶言うな」

リーナが即ツッコミを入れる。


「でも、

“感じた方向”とか

“速度っぽいもの”なら共有できる」


マリナが少し考え、頷く。

「……ありね」


プクルが元気に回る。

「ぷくる!(ぐるぐるみる!)」


◆同時出現


「来た!」


今度は全員が同時に声を上げた。


前方に揺らぎ。

右舷に影。

後方に歪み。


「速い!」カイ。

「形が……変わってる」リーナ。

「いや、“形が固定されていない”」マリナ。


アストラが低く言う。

「……一つじゃない」


◆重なり


影は、

複数存在していた。


だがそれは、

独立した存在ではない。


「重なってる……?」

リーナが呟く。


「いや、違う」

アストラが否定する。


「同じものが、

違う位置に“同時にいる”」


「は?」

カイが固まる。


◆仮説の更新


マリナがゆっくり言う。

「この宙域は、

情報を固定しない」


「つまり――

“位置”も固定されない可能性がある」


リーナが理解する。

「だから、

一つの存在が複数に見える」


「観測するたびに、

別の場所に現れる」


プクルが震える。

「ぷくる……(ひとつなのにいっぱい)」


◆正体


アストラは、

全ての情報を頭の中で繋ぎ合わせる。


記録が残らない。

位置が固定されない。

観測ごとに変わる存在。


「……分かった」


全員が彼を見る。


「これは敵じゃない」


「“現象”でもない」


「じゃあ何だよ?」

カイが叫ぶ。


アストラは、静かに言った。


「“未確定の存在”だ」


◆未確定


「存在しているが、

確定していない」


「だから、

観測するたびに形が変わる」


リーナが息を呑む。

「量子的な……いや、

もっと大きなスケールでの曖昧性」


マリナが続ける。

「この宙域自体が、

“確定を拒んでいる”」


カイが頭を抱える。

「意味分からんけど、

ヤバいってことだけは分かる」


◆接触


その時、

影の一つが――


ゆっくりと、

艦へと近づいてきた。


「来るぞ……!」


だが、

攻撃の気配はない。


ただ、

“存在を押し付ける”ような圧力。


プクルが震える。

「ぷくる……(みられてる)」


◆選択


アストラは、

迷わなかった。


「逃げない」


「観測を続ける」


「ここで引けば、

この宙域の正体は永遠に分からない」


リーナが頷く。

「データは残らない。

でも、

私たちは覚えている」


マリナが静かに言う。

「それが、唯一の武器ね」


カイが深呼吸する。

「よし……

覚えてやるよ、全部」


◆輪郭


影が、

ゆっくりと形を持ち始める。


それは――


艦のようでもあり、

生物のようでもあり、

ただの歪みのようでもあった。


だが確かに、

“何か”としてそこにいた。


アストラは、

その姿を目に焼き付ける。


「……見えた」

見えない存在は、

記憶によって輪郭を得る。


エコー・ベルトの“未確定存在”は、

ついにその姿を現し始めた。


だがそれは、

敵とも味方とも言えない存在。


ノヴァ・リュミエール号は、

未知の領域へとさらに踏み込む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ