第百四十一章「影の巨艦、出現」
数百に及ぶ影の艦隊の中心に、圧倒的な存在感を放つ一隻の巨艦が姿を現した。
それは星々の光を呑み込み、虚無そのものが形をとったような艦。
アストラたちは、この巨艦こそ影の艦隊の核と直感する――。
◆影を束ねる巨艦
「……でっか……」カイが言葉を失う。
視界一杯に映し出された巨艦は、都市ひとつがすっぽり収まるほどの規模を誇っていた。
表面には無数の“眼”のような光点があり、見られるだけで心を抉られるような感覚が走る。
「解析不能……。あれは物質なのか、それとも意識体の投影なのか……」マリナの声は震えていた。
「ぷくるる……(ぼく、もう心臓が飛び出そう……)」プクルは耳を押さえ、震えている。
アストラは唇を結んだ。
「間違いない。あれが核だ」
◆謎の干渉
突如、艦内の照明が明滅した。
通信系にノイズが走り、艦の各所に謎の声が響き渡る。
《光を掲げる者たちよ……ここに至ったか》
「直接、頭の中に……?」リーナが眉をひそめる。
その声は巨艦そのものから放たれているようだった。
《我らは影。試すもの。模すもの。そして選ぶもの》
「選ぶ……? 何をだ?」アストラが問い返す。
《おまえたちの“絆”が、真実か虚構か》
巨艦の光点が一斉に瞬き、影艦たちが一斉に襲いかかってきた。
◆苦戦と閃き
影艦の攻撃は、先ほどよりもさらに苛烈だった。
カイの操艦もリーナの砲撃も次々と模倣され、まるで自分自身と戦っているような錯覚に陥る。
「ダメだ……数も質も桁違い!」カイが叫ぶ。
「でも諦めない! 絶対に!」リーナが必死に砲撃を繰り出す。
その時、プクルがドローン群を展開しながら叫んだ。
「ぷくるる!(みんな、力を合わせて! 単独じゃなくて、同時に!)」
アストラははっと気づく。
「そうか……影は“個”を模倣する。でも“全員の心を重ねた動き”は模倣できない!」
◆総力の一撃
アストラの号令で、クルー全員が同時に力を合わせた。
砲撃、操艦、ドローン、解析――それぞれが単なる役割を超え、ひとつの光となって放たれる。
光の奔流は影艦を薙ぎ払い、巨艦の“眼”の一部を撃ち抜いた。
虚無にひび割れが走り、轟音と共に影の艦隊が一瞬動きを止める。
「効いた……! やっぱりこれだ!」カイが歓喜の声を上げる。
だが同時に、巨艦の奥底からさらに禍々しい波動が溢れ出した。
《まだ……終わらぬ》
ついに姿を現した影の艦隊の核――影の巨艦。
クルーたちの絆を束ねた一撃が一矢報いたが、巨艦はなおも健在で、さらなる脅威を解き放とうとしていた。




