第百四十章 影の艦隊戦
虚無宙域を抜けた先に広がるのは、無数の影の艦影。
それは鏡写しのようにアストラたちの存在をなぞる黒き艦隊だった。
数で圧倒される状況の中、アストラたちは決して退かず、光を掲げて戦う覚悟を固める。
“影”との最初の艦隊戦が始まろうとしていた。
◆影の艦隊、展開す
「……冗談だろ」カイが絶句する。
前方、後方、上下左右――視界の全てを覆うように影の艦艇が出現していた。
艦の形状はどれも既視感のあるシルエット。まるで銀河中の艦を模して作られたかのようだ。
「数えきれないわね……最低でも数百はいる」リーナが歯を噛む。
「しかも、こちらの動きをトレースして動いてる……」マリナが冷静に観測を続ける。
「ぷくるる……(ひええ……おれ、隠れたい……)」プクルはアストラの椅子の下に潜り込んだ。
アストラは拳を握る。
「怖気づいてる暇はない。突破しなければ……俺たちはここに飲み込まれるだけだ」
◆最初の衝突
影の艦が一斉に攻撃を開始した。
しかし飛んできたのは光線やミサイルではなく――闇色の“波”だった。
「エネルギーじゃない……これは、記憶を侵す波動!」リーナが叫ぶ。
「頭がぐらぐらする……!」カイが倒れ込む。
「みんな、意識を持って!」アストラの声が響く。
その瞬間、マリナが操作した防御フィールドが展開し、波の一部を散らした。
「完全には防げないけど、これで多少は耐えられる!」
◆光で抗う
「よし、反撃だ!」
アストラの指示で主砲が発射される。
白銀の閃光が虚無を切り裂き、影艦の一つを吹き飛ばした。
だが次の瞬間、同じ影艦が再び姿を現した。
「消えたと思ったら……再生した!?」カイが青ざめる。
「違う、あれは……コピーの生成。倒した瞬間に、こちらの攻撃パターンを学習して再現してるのよ!」リーナの声が震える。
「じゃあ、無意味なのかよ!」
「いいえ、意味はある。やつらは“光を試す”って言った。なら、撃ち続けることこそ答えになる!」アストラが叫ぶ。
◆仲間の連携
「ぷくるる!(ぼくの出番!)」
プクルが持ち込んでいた小型ドローンを一斉に展開し、影艦の背後に回り込ませた。
「影のセンサーは前面に偏ってるみたい!プクル、ナイス!」マリナが叫ぶ。
「よし、俺が陽動する!撃ってこい!」カイが操縦桿を握り、ノヴァ・リュミエール号を影の群れに突っ込ませた。
その大胆さに、アストラは笑みを浮かべる。
「無茶だが……頼もしい!」
仲間の連携で、影艦の一角が大きく崩れる。
◆戦いの余韻
しかし倒しても、倒しても影は再生を繰り返す。
息を切らせながら、マリナが呟く。
「終わりがない……これじゃ持たないわ」
アストラは虚空の艦隊を見据えた。
「終わりは必ずある。奴らの中心に、きっと核があるはずだ」
その時、遠方にひときわ大きな影の艦が姿を現した。
全艦の影を束ねるような圧倒的存在感を放っている。
「見つけたな……!」
アストラの瞳が光を宿した。
影との最初の大規模戦闘は、再生と模倣を繰り返す艦隊との消耗戦だった。
だがアストラはついに、その“核”となる巨艦の存在を見抜く。




