第百三十四章 謎の依頼人と宇宙レストラン騒動
銀河泥棒事件を“寝不足の奇跡”で解決したノヴァ・リュミエール号。
休養を命じられたクルーは、ようやく眠れると安堵した……はずだった。
だが彼らの前に現れたのは、素性不明の「依頼人」。
提示されたのは報酬でも危険任務でもなく――「一緒に食事を」という奇妙な招待状。
その先に待ち受けていたのは、豪華宇宙レストランでの……まさかのドタバタ大騒動だった!
◆謎の招待
「キャプテン・アストラ殿、ぜひ私と食事を」
低い声で告げたのは、フードを深くかぶった人物。性別も年齢も分からない。
「……え? 依頼って、それだけ?」アストラは拍子抜けする。
「命がけの任務じゃないのか?」カイは首をかしげる。
「むしろ命がけかもしれない」リーナが真顔で呟き、プクルが小さく震える。
結局、警察上層部から「調査も兼ねて参加せよ」と命じられ、渋々レストランへ向かうことに。
◆豪華宇宙レストラン
到着したのは、銀河屈指の高級宇宙レストラン《オーロラ・ガーデン》。
床は水晶のように光り、壁には人工の星空が映し出され、ホールには数十種のエイリアン客が優雅に食事をしていた。
「……場違いすぎないか、俺たち」アストラが肩をすくめる。
「服が……寝不足パジャマだし」カイがぼやく。
「私の分析では、この空間で最も浮いているのはあなたたち二人」リーナが冷静に切り捨てた。
◆謎の依頼人との再会
テーブルに着くと、依頼人が再び現れた。
「さて……今日は存分に味わっていただきたい」
その声は低く重々しいが、料理のメニュー表を手渡す姿は妙に親切だった。
「えっと……依頼って、やっぱり食事だけなんですか?」アストラは恐る恐る尋ねる。
「そうだ。ただし、ここで起こる“全て”を目に焼き付けてほしい」
「ぷくるるぅ?」(何それ?)
プクルの疑問をよそに、次々と料理が運ばれてくる。
◆料理大暴走
最初の料理――銀河スープがテーブルに置かれた瞬間。
「わっ、熱っつぅぅ!」カイがスプーンを入れた途端、スープが泡立ち、小型クラゲのような光る食材が飛び跳ねて彼の顔にべったり。
「ひゃあああ!? 目が! 目がぁ!」
「カイ、落ち着け! それ、食用だから!」マリナが必死に抑える。
続いて、リーナが頼んだ“冷凍彗星サラダ”は、予想以上に冷たく、フォークが凍結して抜けなくなる始末。
「……これは物理的拷問」リーナが真顔で凍ったフォークを見つめる。
そして極めつけは――プクル専用の“ぷるぷるゼリー盛り”。
「ぷくるるぅ♪」
喜んで飛び込んだ瞬間、ゼリーが爆発的に膨張し、テーブル全体を覆い尽くした。
「ぎゃああああ! 俺の服がゼリーまみれぇぇ!」アストラが絶叫する。
◆皿洗い任務?
混乱の責任を取らされ、クルー全員がレストラン裏のキッチンで“臨時皿洗い”を命じられることに。
「俺たち、なんで泥棒追跡から皿洗いになってんだ……?」
「これも任務の一環」マリナは平然。
「……皿が……無限にある……」リーナは無表情で絶望をつぶやく。
「ぷくるるぅ……(もう食べたい)」
そこへ現れた依頼人。
「実に面白い……やはり君たちだ」
「いや、何が!? 俺たち何もしてない!」アストラは叫ぶ。
依頼人は意味深に笑い、こう告げた。
「混沌を生みながらも結果を導く……君たちにしかできぬ役割がある」
◆去り際の影
皿洗いを終え、店を出る頃にはクルー全員がヘトヘト。
「結局、あの依頼人は何者だったんだ……?」
「ただの変人……かもしれない」リーナが肩をすくめる。
だが依頼人の姿はすでに消えていた。
テーブルにはただ一枚のカードだけが残されていた。
――【影の艦隊】。
「……やっぱりただの食事じゃなかったのか」アストラは険しい表情を浮かべる。
銀河レストランでのドタバタ騒動は、笑いと混乱にまみれたものとなった。
だがその裏で、“影の艦隊”の名が静かに姿を現す。
謎の依頼人の正体は? そして彼らの目的とは……?




