とあるマネージャーの日記
某タレント事務所所属のVTuberグループ、『STORM』。
二年前にデビューした彼女たち五人は、精力的なプロモーション施策やメンバーそれぞれが持つ魅力によって世に知られ、現在人気沸騰中。
国内のみならず海外までその名を轟かせており、先日動画サイトで行われた3Dライブは驚異の同接10万人を記録した。
――――私はそんな彼女たちを担当しているマネージャーである。
不遜ながら言わせてもらうと、自慢のアイドルたちだ。
五人ともとても良い子たちで、プライベートでもしょっちゅう一緒に出かけるほど仲がいい。
また、人気に胡座をかかず非常に謙虚。『今の自分たちがあるのは支えてくれるスタッフさんやファンのおかげだ』と、いつも口を揃えて言っている。
もっと頑張りたい、応援してもらったぶんたくさんお返しをしたい――それが彼女らに共通する活動のモチベーションなんだそうだ。
間違いなく順風満帆。そしてこれからも発展を続け、その名の通りVTuber業界に嵐を巻き起こしていくであろうSTORMだが――現在私は、重大な問題を抱えている。
こうして日記に綴っているのも、この問題を誰にも明かせないからだ。
何かに吐き出していないと頭がおかしくなりそうだからだ。
有り体に言ってしまうと、STORMは今、空中分解の危機を迎えている。
どうしてこんなことになってしまったのか。
頭を抱えても答えてくれるものは誰もいない。原因があるとすれば、全員が魅力的だったことだろうか。
……そろそろ前置きは良いだろう。
これから、先日メンバーから受けた相談を記すと共に、問題を整理していきたいと思う。
整理したところで、という感じではあるのだけれど。