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第53話 奴隷の戦闘


 沖に向かうモモの横。

 三角形の背びれが海面を走った。


「ヒオリあれって」

「ええ、ゴロウ殿が言っておられたサメという魚で間違いないでしょう」

「でもどうして!ブイはまだ先なのに!」

「某にもわかりません。ですが助けないと!」


 横から迫るサメに気付かずモモは泳ぐ。それを助けようとヒオリが物凄い勢いで泳ぎ出だした。

 しかし到底間に合わない。


 ティアニーは詠唱を始める。


「風妖精の導、蒼埜を駆ける疾風、大気の理を持って射貫け――」


 詠唱が終わると同時な大きなサメが海面に顔を出しモモに襲い掛かる。

 それに気付いたモモは両腕で顔を覆い「うわぁー!」と悲鳴を上げた。


 刹那、第一位階風魔法を完成ティアニーが叫ぶ!


「エアロシュートッ!!」


 ティアニーが放った風の弾丸はサメの背に直撃し肉を抉る。

 モモに向かって突進していたサメの軌道がズレた。サメはモモの体を掠り海に沈む。


「ティアニー殿、凄い!」

「まだいるわ!」

「某にお任せを!」


 サメはもう一匹いてモモの周りを周回している。

 再びモモを襲うサメにヒオリが飛びかかり拳を打ちつける!


「せあッ!」


 横からの打撃に体勢を崩したサメは海に潜った。


 ティアニーも追い付き、三人は一箇所に固まる。


「ごめん……、あたし弱くて。二人とも戦えるなんて凄いよ」

「そんなこと気にしなくていいから。モモは私の後に隠れていなさい」

「某も全力でお守りいたします!」


 そんな三人の周りに無数の背びれが海面から姿を現す。

 三人の周りを泳ぎ回るサメの群れ。


 それらが一斉に襲い掛かってきた!


 ティアニーが風魔法を放ち、ヒオリが殴る!


「くっ、もう魔力が……切れたわ……」

「大丈夫、あとは某がなんとかします」

「ヒオリ、か、肩から血が!」

「問題ありません。かすり傷ですよ」


 追い払ってもサメは増える一方。

 ティアニーが魔法でサメのエラを刻み、大量出血したのが原因だ。奴等は血の匂いに集まる。


「ダメね。サメが増えているわ……」

「ははは……これは難義ですな」

「くぅ〜、こんなのどうすれば……ゴロウさん、助けて……ッ!」


◇◇◇


 ウィスタシアにヴォグマン流の罰を与える寸前、俺は海に違和感を感じた。


 この懐かしい感覚。

 戦時中、幾度か体験している。

 強者と対峙する時の緊張感だ。


 尻叩きで疎かになっていた探知魔法に集中する。すると俺の奴隷達がサメに襲われていた。ただ、違和感の正体はサメではないな。


 瞬間、俺は3人の元へ転移した。


「ゴロウさん!!?」

「ゴロウ殿!」

「遅いわよッ!」


 3人をグラビティで浮かせ俺達は空へ昇る。


「うぁ!飛んでる」

「お、落ちないわよね?」


 モモとティアニーが俺に抱き着いた。


「風が心地よいですな」


 ヒオリはこわくないようだ。ヒオリの肩に切り傷があって少し出血しているな。

 俺は回復魔法で傷を治す。


「治っていく……ゴロウ殿……ありがとうございます」


「すまん……こわい思いをさせたな」



 空から海を見るとこの子達がいた場所の周辺に大量のサメや大型魚が回遊している。


 いや、あそこだけじゃないぞ。この浜辺全体だ。


 水深が1メートルから2メートル程しかない浅瀬に大量の大型魚が入り込んでいる。こんなことは今までになかった。


 俺が感じた違和感の正体は深い海底にいる。


 海底にいる怪物から逃げているのか?数メートルある獰猛な大型魚が……。

 これではまるで捕食者から逃げる雑魚ではないか……。


 俺は探知魔法を発動させ、海底を探る。

 直ぐに怪物の正体がわかった。



 北海の覇王ノースオーシャンドラゴン!それが1体や2体じゃないぞ!


 深い海底スレスレを群れで泳いでいて30体はいる……。何故こんな南の海域に?


「あっ!」


「どうしたのよ?」

「ゴロウさん?」


 探知魔法に気付かれた!


 浮いてくるぞ!









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