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第47話 奴隷に子作りを教える



 異世界に戻った俺達はゴロウズラボの事務所で皆と食事を食べた。今日は冷やし中華にした。


 ゴロウズラボ、ゴロウズ電力、ゴロウズ機械工業は日本の某物流会社が使っていた超大型倉庫内にまとめて入っている


 この物件も旅館をいただいた解体業者から貰った。解体予定だった古い倉庫をこの世界に持ち込んで直して使っている。



 食事の後は皆で砂浜へ行く。

 今日の午後は海が干潮になるので皆で潮干狩りをすることにした。


「砂を掘ると二枚貝が出てくるからバケツに入れてくれよ。今夜のおかずにするぞ。服は帰ったら洗うから好きなだけ汚していいからな」


「「「「「 はーい! 」」」」」


 季節は5月初旬――、この時期この砂浜でハマグリ(もどき)がとれる。

 青みがかった色の貝殻で正確にはハマグリとは品種が違うから(もどき)と呼んでいる。

 しかし、味はハマグリそのもの。

 バター醤油で焼いて食べると滅茶苦茶美味い。



 皆、海に膝まで浸けて夢中になってとっている。

 8歳のココノと9歳のフォン、タマはお尻まで水浸しだ。


「たくさんいますわね~!」

「ええ、ゴロゴロいます。歩くだけで足に当たるので、そこを掘れば……」

「見てヒルデビア、こんなに大きな貝がとれましたわ」

「凄い、とても大きいですね」

「わわわわたしも、おっきいのとれましたぁ!」

「あら、わたくしのより大きい。凄いじゃないですか、レモニカ」



「お姉ちゃん、そっちに魚いったよ!捕まえて!」

「どれ……こっちか……す、すまん。取り逃がした」

「もう!どこにいったのかな……」


「アッチが捕まえる!」


 バシャッ!


「にひひひ!とったよぉーーー!」


 フォンが海にダイブして魚を捕まえたようだ。持ち上げて空に翳している。


「わぁー、フォンちゃんすご~い♡」

「ああ、見事なものだな。何と言う魚だろうな……後でゴロウに料理してもらおう」


 型の良いマゴチ(もどき)だな。

 今夜あれで刺身を作るか。これが美味いんだ。


「こんな貝が食べれるのかしら?」

「某の国ではよく食べていましたよ。酒で蒸した料理がそれはもう美味で、早く食べたいですな」


 俺は皆が楽しそうに潮干狩りをする姿を浜辺に座って眺めている。


 この砂浜では全て(もどき)だがカレイ、マゴチ、キスを釣ることができる。


 発電所に大波が押し寄せないように沖に巨大堤防があって、そこからルアーを投げると青物、タイ、ハタ、スズキなんかが釣れる。


 それと、少し離れた場所にある磯では、素潜りでサザエ、アワビ、ウニ等がとれる。

 夜中、暗視魔法で潜れば伊勢海老もとれる。


 ここは無人島で俺以外、海産物を採取する者がいない。

 故に魚影は濃いしスレていないから誰でも簡単にとることができる。


 子供でも簡単に釣ったり、海に潜ってとれるから今度連れて行ってあげよう。

 まだ寒いし海に潜るのは7月になってからだな。


 そんなことを考えていると、ココノがバケツを持ってきて俺に中身を見せる。


「ゴロウ!ココノんいっぱいとったの」


 ハマグリがたくさん入っていた。


「こんなにいっぱいとったの!?ココノは凄いなー。もう終わりにするか?」


「まだとるの!」


「いっぱいとっても異次元倉庫で保管出来るから、たくさんとってくれよ」


「うん!」


 ココノは鼻息を荒らげて海へ戻っていった。凄いやる気だ。


 ココノの代わりにウィスタシアが俺のところに来て隣に座る。

 俺達は並んで海を見る。


「いっぱいとれたか?」


「まぁな……。なぁゴロウ……」


「ん?」


「今日……ラウラと二人でどこへ行ったんだ?」


 ウィスタシアを見ると拗ねた顔で海を見ていた。


「皆の服を買いに行ったんだよ。ラウラに試着してもらって服を選んだ。あの子は進路決まってるから工場を見学する必要はないと判断した」


「私だって決まっている」


 あれ?……なんか機嫌悪いぞ。


「お前、やっぱり小さい子が好きなんだろう?」


「いや、何度も言うが俺はロリコンじゃない。断じて。絶対に」


 さっきロリコンバクシンオーって馬で万馬券当てたけどロリコンじゃないんだ!


「ふーん、信用できないな。ならば年下と年上どっちが好き?」


「どっちも好きだな」


「不埒者め……。ふん、いいんだ。……だって私はお前とは結婚できない」


「……種族のことを言っているのか?」


「そうだ。お前とは種族が違うからな」


 この世界では基本的に同種族間でしか子供はできない。猫と犬では子供ができないのと同じだな。

 まぁただ、子供ができないというだけでセックスはできる。その辺の構造は一緒なのだ。


 ただし、この法則には一つだけ例外はある。

 ゴブリンだ。

 ヤツらは雄しかおらず他種族の雌に子孫を産ませる。


「それなら問題ないぞ」


「私は問題なのだ。ヴァンパイア族はただでさえ人口が少ない。ヴォグマンの一族として私もいずれ子を産まなくてはいけない」


「ウィスタシア、俺の体は原初の魔王アウダムだと言ったよな」


「ああ」


「アウダムはゴブリンだ。一匹のゴブリンが数多の魔物を殺し喰らい存在進化して生まれたのがアウダム。彼が生まれた時代、この世界に知性ある生物はいなかった。いたのは魔物か動物だけ」


 魔核を持つ生物を魔物といい、持たない生物を動物という。


「どういうことだ?」


「知性ある種族、つまり人は全てアウダムの子孫ってことだよ」


 人族、獣族、エルフ、ヴァンパイア、魔族、その他にも人に分類される種族は多数。それらは全て存在進化した知性ある一匹のゴブリンから生まれた。

 原初の魔王アウダム。


「アウダムからヴァンパイアの始祖エルナ・ヴァレンタインが生まれたんだ。俺とウィスタシアがその……子作りすれば、君は普通に妊娠して子供を産める……」


「……」


 俺なに言ってんだ……!冷静に考えたら滅茶苦茶恥ずかしいこと言ってるぞ……!!


 ウィスタシアを見ると、色白の顔が見る見る赤く染まっていく。


「わ、私……もう少し貝拾ってくるっ!」


「えっ?あ!うん、頑張って……」


 彼女は逃げるように海へ入っていった。

 それからボーっと沖を見ている。



 ハマグリ、拾ってないじゃないか……!?




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