君のような味がした
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
飲もう、飲もうと思って今日になりました。
皐月上旬、外は初夏の装いで、暑さが駄目な僕にとっては日傘が必須な天候だった。
はてさてどうするか。何時もの様にドグラ・マグラで珈琲とチーズケーキを嗜みながら執筆を進めるか。それともネタ集めに専念して、別の場所を探すか。考えるのに時間は掛からなかった。
僕は日傘を手に取ると、その場を後にした。
一歩でも外に出ると、外はやはり暑かった。日傘で陰を作って居ないと、すぐにでも肌を痛めてしまいそうな程。地球温暖化だか何だか知らないけれど、手加減して欲しいね。
そんな事を考えて、赤煉瓦で囲われた穴を潜る。地下へと続く階段を降りると、そこは別世界。
長細い空間の中に、カウンター席、横には焦げ茶のテーブルが数台並んでいた。ぼんやりと灯った柔らかな橙は、微睡む程に優しくて、思わず眠ってしまいそうだった。
僕は空いているカウンター席に腰かけて、用意されたメニューを捲る。
はてさて何を頼もうか。彼女の世界を変えた珈琲? それとも紅茶? そんな風にからかいながらパラパラ捲っていると、一つの写真が目に入る。
陶器のカップに柔らかそうな平たいクリーム。その上にチョコレートが網目状描かれている。基本的に僕は甘党。常に鼈甲飴を持ち歩く程にベタベタの甘党。だからこそ、ついつい心が惹かれてしまう。気が付いた時には注文を済ませていた。
僕は他の客にバレないように鼻を動かす。ほんのりと漂う煙草の香り。勢いよく吸い込んだら噎せてしまう程。でもあの子は、気にせず吸い込むんだろうな。
そんな事を考えているうちに、お目当てのものが差し出された。写真通りの甘そうな一品。上のクリームを下に沈める様にしてスプーンを回すと、柔らかなショコラに色が変わっていく。我慢出来ずに口を付ける。
あっつ……。一度口を離してカップと向き合う。上のクリームが蓋の代わりになっている様で、熱が逃げない。極度の熱さは味を惑わせる。少し冷ますか。
そんなこんなで数分後。懲りる事無く口を付けては熱の洗礼を受けた。痺れる様な熱さに漸く舌が慣れてきた頃、漸く味が分かった。
甘さに媚びないような仄かなココア。けれども鼻から抜ける時に柔らかさを感じる。冷めている様で実は優しい女性の様だった。もう少し冷ましてから飲めば、もう少し楽しめたかも知れない。いやはや失敗。
そんな経験を反省しながら地上へと上がると、一人の女性と出会った。誰に対しても媚びないような鋭い眼光が僕を捉える。
「やぁ、お嬢さん」
「なんだ。アンタが此処に来るなんて珍しい。今終わったの?」
声も無駄を削ぎ落としたようにクールだった。けれども口調は何処か優しい。
「うん。生チョコレート珈琲を嗜んだんだ」
君のような味だった。
話すと長くなりますので、結果だけ。
此奴は吸血鬼という生き物です。
だからこのタイトルは、結構えげつなく、
『君みたいな血の味がしたよ(*^^*)』
という意味です。ブラッジョークがえぐい。
何時もの様に息を吸い込んで噎せ、ずーっと気になっていた、生チョコレート珈琲を飲んだんですよ。
何故飲まなかったか。ケーキが食べたかったから。
でも本気で金欠なので、甘さと苦さが一つになったコスパ最高なものを選びました。
熱過ぎると味覚が働かないんですね。
最初、何飲んでるのか分かりせんでした。
でも冷まして飲んで行くと、味が分かりました。
ほろ苦い甘さです。
ビターチョコを飲み物にしたような味です。
鼻から抜けるココアの味を感じて、暫く浸っていました。
※この時点で半分しか残ってません。
カップに残ったナッツが柔らかくて、何とも優しい気持ちになりました。
甘党な彼奴が好きそうだと思って嗜みました。
(ドグラ・マグラの珈琲は来る事に味が変わります。時間経過でも変わります。兎に角複雑怪奇。それを楽しむ為に彼奴は頼みます。
いいね!! 今日は苦い!! とか言いながら飲んでます)