〜騎士さん その1〜
ファンタジー要素多めの内容となっております。
時代背景、設定はオリジナル要素多めです。
~~騎士さん その①~~
俺にとってその日は最悪だった。
魔王討伐の命を受けた勇者達と共に旅立った日から半年が経過した頃、次の街へ向かう森の中で遭遇した大型の毒蛇に遭遇し必死の思いで討伐していた。
誰よりも先頭に立ち、噛み付かれないように大蛇の攻撃を盾で受け、隙を作ろうとした。
「魔女さん!アイツの動きを止められないか!?」
大蛇の苛烈な攻撃に耐えかねて助けを求める。
「ちょっと待ってなさい!」
そう檄を飛ばしながら魔女さんは勇者の剣に両手をかざし炎を纏わせていた。
「勇者!これでいけるハズだから援護は私がする!」
そう言ってから大蛇に向き直ると「ファイヤーボール!」と叫び杖の先端から火球を放つ。
大蛇はその巨体をくねらせながら放たれた火球を躱すと、自身の脅威になると認識した魔女に襲いかかる。
「きゃあっ!」
向かってくるとは思っていなかった大蛇の攻撃に間一髪回避したが足がもつれて転倒する。
「くそっ!」
騎士、もとい俺はすぐさま魔女さんと大蛇との間に割って入る。
「騎士さん!」
後方では魔女さんの助けに入った神官さんが錫杖を掲げて聖句を紡ぐ。
「主よ、敬虔なる使徒よ。我等を護りたもう者に祝福を与え給え」
一呼吸の内にそう言い終えると錫杖が輝き出し、一筋の閃光が放たれ、騎士に降り注ぐ。
足や腕に活力が入り、身体の奥底から気力が湧いてきた。
神官さんは[加護]と呼んでいたが、この場を切り抜けられるなら何だろうと有り難い助力である。
「うおおおおおおっ!」
盾を構え全身を隠すように前面に突き出し、大蛇に突撃する。
そんな騎士を大蛇は一息に飲み込まんと大口を開けて待ち構えた。
しかしーーー、
「おりゃあああああ!」
一閃。炎の煌めきと共に勇者が大蛇の脳天に剣を突き立てる。
背後から、しかも視覚外からの攻撃に全く対応出来ず大蛇が苦悶の叫びを上げて暴れまわる。
そこに追い打ちをかけるように騎士の全力の体当たりが直撃する。
鈍い音を立てて大蛇の下顎に当たると脳天に刺さっていた剣が更に深く突き刺さり貫通すると、さしもの大蛇も致命傷であったのだろう、暴れまわっていたのが大人しくなり全身を痙攣させ絶命した。
更新日時は未定です。
追放物に対するアンチテーゼが含まれております。