思えば遠くに来たもんだ
帰路
数日続いた結婚式も終わりを告げ、日本人達は最後に市を訪れた。
思えば香辛料探索の旅は遥か彼方のガンダーラまで来てしまった。
商人は売れる物は全て売り、インド文化圏で使用出来る貨幣を全て放出させて買い付けた。
最後の大取引としてカシミール地方の代名詞でもある特産品のカシミヤ山羊から取れる毛糸をはじめセーター、マフラー、ショール、コート等の加工品に遠方から運び込まれたウール製品にトルコ帽にペルシャ絨毯と詰めるだけ船に詰め込む
船の個室や客室は蔵となった。
一部、船員の寝室まで詰め込んだが甲板まで荷物だらけになった。
商人
うっひゃー!ここまで派手に買うたんは初めてやな
最後に使い切れなかった小銭を船員達に「最後や、パーッとやって来なはれ!」と言って分けて渡すとみんな蜘蛛の子を散らす様に散って行った。
船上で一人でボーッと遥か彼方にある山々を見る。
女神様
あれ、世界で一番高い山だよ
商人
え?あの大っきいのでっか?
女神様
いや、あれは二番目に高いK2って山、その向こうに小ちゃく見えてるヤツ
商人
へー、富士山より大っきいやなぁ
女神様
どっちも富士山二個分よりあるよ
商人
二個分よりって・・ゴツいなぁ・・
・
・
女神様・・・おおきに、ほんまにおおきに
いつの間にか商人は手を合わせ静かに涙を流していた。
女神様
え?急に何w
商人
流石に女神様抜きでこんな所まで来られへんし、こんだけ遠方で歴史に残る様な大商いが出来たんは女神様有ってのもんです。ひょっとして商いの神様も兼任してまっか?
女神様
料理神だって言ってんじゃん。
商いは「稲荷」とか「恵比寿」、「八栗の聖天」とかの管轄
まだ終わってねーし、帰るまでが遠足だからね。
商人
そやね!ほうですねw
いやー、ここまで奇跡と感動の連続で後は帰るだけっちゅー事で、しんみりしてもうたw
そうこう話し込んでると船員達が土産を手に戻って来出す。
女神様
へー、みんな酔っ払って来ると思ってたw
商人
ほう!勝負に出たなぁ、みんな、やるなぁ
流石はここまで遠洋航海を商船で来た船員達である。
確実に利のある品を手にしていた。
どうやら先ほどの小遣いプラス全財産をはたいた様だ。
ガンダーラ美術の彫刻・湾曲した刀剣で半月刀のシミター・中東の白い民族衣装のアバーヤやトーブ、カンドゥーラ等・ワニやアルマジロ剥製、そして船長がとんでもない物を持ってきた。
商人
嘘やろ、それはあかんて、船長!
船長
絶対儲かるって!頼んますって、お願いやから乗せてや!
全員が笑う中、最後に船長と生きたヒトコブラクダを乗せて出航準備が始まるのであった。
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