祝宴の旨味
遺跡群
前回の続き
モヘンジョ=ダロにハラッパーと言った遺跡都市を経由し大河を遡上する。
日本をはじめ亜細亜からの交易品は全てなくなり、異国情緒のある品で船倉は満載になった。
そしてイスラマバードを南に見、依頼者の目的地であるカシミール地方のガンダーラに到着する。
男は船を降りどこかに消えた。
商人
これで目的達成っちゅー事でええんかな?
水や食品の補給をしていると男が戻って来た。
女神様が二日後に妹の結婚式を盛大に行う、迎えを寄越すので参加して欲しいとの事だった。
頷いて見せると男は上機嫌で去って行った。
女神様
どうも、遠方から結婚式に来てくれた事実が非常に有難いらしいね。
船は見とくから、みんなで行ってあげなよ。
商人
ほな、お言葉に甘えてみんなで行って来ます。
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そして二日後の朝に迎えの者が来た。
出来る限り身なりを整えて、手ぶらと言うのも憚られたので食料庫から未開封の梅干しの入った壺を持って行く。
依頼の男をはじめ、親族達は遥か彼方の極東の島国から祝いに来てくれた事に感謝をし、喜んでくれた。
お祝いの席に着くと食事が運ばれて来る。
非発酵の平パンのロティとこの地でのめでたい席には必須のハリーム、フムスが大皿に大量に載せられ、ソレがドンと置かれた。
そしてタンドリーチキンやシシカバブや魚のティッカに野菜のパコラ「スパイシーな天婦羅の一種」に小籠包や餃子の元になった料理の「モモ」に世界三大炊き込みご飯のビリヤニ、ファラフェル「豆のペーストとクミンをドーナツ型のコロッケにした物」が並んだ。
周りを見るとロティを千切って右手でハリームやフムスを付けて食べるようだ。
商人
「ハリーム」言うんやな
どれ・・・う、うまっ!何やこれっ
「ハリームとは肉、小麦、豆類などを形が無くなるまで長時間煮込んだ、濃厚なシチューとカレーの中間のような料理で、アラビア料理、イラン料理、パキスタン料理、インド料理ではめでたい席にはよく出ます。
個人的には世界で一番美味しいカレーだと思います。
フムスは中東諸国で広く食べられているひよこ豆のペーストで肉や魚、野菜やパンに付けるディップタイプの食べ物でこれもめでたい席にはよくでます。」
商人
参ったなぁ、もう食べ物では驚かんと思てたんやけどなぁ・・ホンマに世界は広いわぁ
他の日本人達も言葉を忘れて舌鼓を打っていた。
刺激と旨味が恐縮されたハリーム、あっさりとしていてそれでいて涼を感じつつ味をリセットしてくれるフムス「ホンムスとも」。
インド圏特有の旨味のあるシシカバブにタンドリー、ティッカの焼物に蒸し物のモモに揚げ物のパコラ・・
香辛料の中に旨味が有り、香辛料の組み合わせで味が変わると言う事実に日本人達は驚いた。
料理長がボソッと言う
旨味って鰹節「イノシン酸の事」や昆布「アミノ酸やグルタミン酸の事」だけや無いんやな
そう言いながらクミンパウダーの効いたファラフェルをパリンと食べる。
感動の祝宴は深夜まで続くのであった。
ハリームとビリヤニのイチ押し店
https://biriyani.shop/items/604a0ea7935fcc2b8a37aa82
不定期UPです。
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