インダス川
港湾都市
前回の続き
運搬依頼を受けた商人達は、一路インダス川を目指す。
翌日の朝にはインダス川の入り口の港湾都市カラチ「※現在のパキスタン」に寄港する。
朝食を取り、水等の補給の合間に商人は港町を見て回っていると何とも言えない良い匂いに誘われ、裏通りの一軒の店先に誘われた。
不思議な光景に目が釘付けになる。
調理人が巨大な肉の塊を棒に縦に刺し火の横でクルクルとゆっくり回していた。
商人
うっわー、でっかい肉の塊や!
「ホンマにデカいなぁ、ええ匂いするし・・」
背後からの声にビックリし振り返ると料理長が立っていた。
商人
あれ?いつの間に・・
料理長
いやぁ、どっか向かってるんが見えたんで追っ掛けてきましたわw
買うんでっしゃろ?と満面の笑みで言う
商人
まあ、しゃーないなぁ
2本指を見せて銀貨を一枚渡すと銅貨が何枚か帰ってきた。
女神様の声が脳内に聞こえてくる。
「それ、中東料理のドネル(回る)ケバブ(肉)ってヤツだよ」
待ってる間にシシケバーブと言うインド地方の料理の発展型と言う説明を受ける。
また、硬い肉を柔らかく食べる為の技法だとも教えてくれた。
料理人が巨大なナイフで肉を削ぎ落として、ピタパンと言うパンに詰め、野菜を乗せてエスケンデルソースをかけて手渡してきた。
料理長と同時にパクつく
商人と料理長は同時に「うまっ!」と声をあげる。
商人
鶏肉やな、これを丼に乗せたら売れるな
料理長
え?これ、日の本でも食べれる様にするんでっか?
商人
あ、でも下味が分からんなぁ・・
女神様曰く下味の一つのヨーグルトが日本ではムズいとの事であった。
商人
うーん、そうそう上手いことはいかんかぁ・・
女神様
そこは創意工夫で良いんじゃない?
商人
創意工夫かぁ・・なるほど、これは創意工夫次第ではおもろい結果になるかも知れん
港に戻りながら女神様にヨーグルトのレクチャーをしてもらいつつ、料理長と代替え品を考察する。
料理長
ヨーグルトっちゅうんは、味付け以外にも「まろやかさ、パサつき防止」の役割もありそう出んな
商人
「まろやかさやパサつき防止」か・・うーん、代替えやと油やな
脂っこく、匂いのきつい獣脂は論外やな
料理長
ちゅう事は胡麻油や亜麻仁油とか?
商人
いや、胡麻油やと匂いが強過ぎて合わんのちゃうかなぁ?亜麻仁油は高過ぎるし加熱料理には合わんしな・・
女神様
無理に下味に拘る必要無くない?
料理長
下地にせんと仕上げにするって事でっか?
商人
仕上げ・・ん!?
それや!来た!来たでこれ
女神様
おっ、なんか気付いた感じ?
商人は思い当たる事を熱弁しつつ、いつの間にやら足は船に戻り熱意と共に船はインダス川を登って行くのであった。
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