アフリカ原産
外商
前回の続き
セイロン島の港に入港する。
紀元後1世紀以降には、ローマ帝国と中国を結ぶインド洋交易圏での季節風貿易が活発になり、中継貿易を行う港市国家として栄えてきただけあって多種多様の船と人々が見られた。
その中でも日本の千石船は目を引いた。
自然と周りに各船や港の船大工達が集まって物珍しそうに見ている。
さらに髷を結った独特の船員達の頭が注目の的となった。
商人は上陸手続きを港湾役人と進めようとしてここで問題にぶつかる。
言葉も筆談も通じない・・漢字文化圏も過ぎて日本語も通じない。
港湾役人も何種類かの言葉で言ってるがわからない。
商人
あかん、どないしよ
途中、ハポン?やヤポン?と聞こえた。
商人
ん?ハポン、ヤポン・・日本の事か?
慌てて頷くと役人は何か書面に記載して二、三何かを言うと去って行った。
商人
無事に入港手続きが終わったって事か?
そこで女神様の声が何処ともなく聞こえて来る。
「どっからきた?その髪型は聞いた事があるな・・日本か?商いできたのか?って聞いてたよ」
商人
あ、そうなんでっか
無事に終わって良かった。
女神様
ここからは通訳するね。
商人
ああ、助かります。
交易所のある市場通りを歩くと宝石と香辛料の種類の多さに目を奪われる。
ここで女神様からのワンポイントアドバイスを頂く
「ポルトガル・オランダが持ち込んだぶどう酒やオリーブ油、珊瑚、ガラス器、武具・アラブが持ちもんだトルコ絨毯、アフガニスタン産のトルコ石やラピスラズリ・インドからの胡椒などの香辛料、真珠、象牙、綿布・中国産の生糸、絹や陶器・・それら以外が買いかな?あ、シナモンは安いからここで仕入れちゃって、後はアフリカから来てる乳香、ダイヤモンドとここでよく取れるサファイヤとルビーが狙い目だね。」
商人
他に気になった品は帰りに買えばええっちゅー事でんな、そろそろ、日本以外の物は捌いていかなあかんなぁ・・
女神様
そう言う感じでOK、そろそろ目的地が近いからね。
ここで大半の物をシナモン、乳香、ダイヤモンド、サファイヤ、ルビーと他に象やワニの木彫り等に物々交換する。
シナモンが恐ろしく安く船倉はパンパンになり、甲板までシナモンが並んでいた。
残ってた日本や他の産物も甲板に出して次の寄港地の交易に備える。
商人
よっしゃ、思うたよりええ商い出来たんちゃうかな?
積み終わり船を降りて一息、つこうとした所に声を掛けられる「ジャンボ!」大きなアフリカ系の黒人男性が片手を上げて笑っていた。
商人は見上げて圧倒された。
うおー、黒ーてデッカイなぁ!
女神様曰く、商売ついでに趣味で絵を描いているので髪型と服装を見せてくれとの事だった。了承するとニコニコしながら紙に描き出した。
暫くして絵が書き上がると見せてくれたが顔無しの人物像で有った。
女神様
お礼がしたいから来いって
彼の船は三角帆の中型船だった。
船内に招かれると何やら芳醇な香りのする飲み物を持って来てくれた。
それが入った木のカップにヤギのミルクと砂糖をタップリと入れた物を商人に勧める。
商人は口付けると香りは更に深くなり、ミルクの円やかさと砂糖の甘味が絶妙であった。
「う、美味いなぁ・・なんやこれ、めっちゃええ匂いするし」
その正体はカフェオレであった。
商人
珈琲に山羊の乳と砂糖か・・日本やったら贅沢品やな、ちゅーか山羊の乳は飲まんな
飲み終わりお辞儀をし謝意を伝えると黒人は「アサンテサナ!」と笑顔で送り出してくれた。
商人
これはどっかで珈琲買わなあかんなぁ、薄め(アメリカン)で出したらカレーに合うで!
そして、商人は船に戻ると新たにカフェオレを大福帳の美味しいもの図鑑に挿絵と共に記載するのであった。
不定期UPです。
誤字脱字等は小まめに訂正して行きます。
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スリランカの歴史
https://www.y-history.net/appendix/wh0201-061_1.html




