真似事
SOUL’d OUT
前回からの続き
目まぐるしく人々が押し寄せる。
安くて上手くて珍しいの三拍子が揃い、新しい物と縁起担ぎ好きの江戸っ子のハートをキャッチした。
人々が噂をしながら店外に並ぶ
「おいおい、聞いたかい?何でも南蛮渡来の料理って噂だ」
「おいらが聞いた話しじゃ天竺料理って噂だ」
「天竺って御釈迦様が住んでるって所かい?」
「ほう、御釈迦様かい、こいつは肖りてぇってもんだ!」
平田
うーん、まあ時代が違うけど良いかぁ
強ち、間違って居ないので平田は特に訂正もしなかった。
最後の女性客が鶏かれぃ飯を所望したが「かれぃ飯」が終わり、「鶏かつ定食か鶏かつパンはさみ」のみとなり、定食が入り、並んでたお客に謝りながら女神様考案の一文割引券を配り、暖簾を中に片付けた。
夕方前には完売した。
侍
正に戦さ場の如きの忙しさであったのぅ
町人
しかし、おもしれぃ程、売れたなぁ
商人
ここまで売れたら、ほんま、おもろいなぁ
平田
さあ、私は洗い物をするんで、仕込みを頼みますよ。
侍
お師さん、同じ量で行くのであるか?
3、4倍の量でも良いと思うがのう
平田
倍にしましょう、あまり欲張っても行けません。
商人
よっしゃ、ほな張り切って仕込みに入りましょ
仕込みが終わり、みんなで洗い物の吹き上げをしていると声が聞こえた。
「御免!・・御免!」
平田
もう、閉店で御座います。
中年の身振りの立派な侍が立っていた。
中年侍
いや、こちらに父上が世話になっていると聞き及んでな。
侍
あ、お前か
中年侍
「お前か」では御座らん、もう十日も留守にして何をやってるかと思えば料理人の真似事など・・家臣共が心配しております、屋敷に戻りますぞ!
侍
いや、ワシは戻らんぞ。
中年侍
父上!何を申されるか、侍が料理人の真似事など出来る筈も無いではないですか!
全く、政務をほったらかして・・御公儀の耳に入ったらお家の一大事ですぞ!
侍
真似事かどうか、明日、もう一度、昼時に来れば分かる。
今日はもう店じまいじゃ、帰った、帰った。
そう言うと中年侍を追い出してしまった。
平田
あの、良かったのですか?
侍
良いも何も、ワシは隠居の身
それに帰ってはTV観ながら一杯やれんではないかw
ブランデー、あれは良い物じゃ
商人
ブランデー派でっか?
私はウイスキーのロックがガツンときて、ええ感じです。
町人
ああ、お二人ともわかってねぇなぁ、風呂上がりのキンキンに冷えたビールとポテチ!
これでさぁ!
平田
ああ、女神様プロデュースの酒とつまみと娯楽にすっかり虜ですね。
〔て言うか何で俺の部屋にはラジオだけ?TV置いてくれよ〕
侍
よし、拭き取りも終わった事であるな?
町人
って事ぁ
商人
賄い食て、風呂入って酒や!
平田
取り敢えず、新メニューにしようと思ってるの作りますね。
3人は新メニューと聞き歓喜するのであった。
不定期UPです。
誤字脱字等は小まめに訂正して行きます。
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なろう、小説100万掲載突破おめです。