待ち伏せ
大渋滞
前回からの続き
翌日の早朝、日の出前にアユタヤの日本人街を出航した。
くねくねと曲がるチャオプラヤー川を流れに任せて下るとタイランド湾へと出る、右手のマレー半島が大陸の様に見える。
ここからは女神様の御加護で一気にスピードアップである。
グングン進むと昼前にはマレー半島の先シンガポール海峡に達し、いよいよ海上交通の要、マラッカ海峡に近付くと多くの船が帆や錨を下ろして停泊しており、海上は大渋滞となっていた。
商人
何や一体?混み過ぎや無いか!
船長
これはまともに進めまへんで!
女神様
うーん、ここで速度を落とすよ。
近くのジャンク船の船乗りと情報交換を試る。
商人が紙に「何、問題」と見せると船員が紙を寄越せとジャスチャーをする。
商人は紙飛行機にして一枚紙を飛ばす。
ジャンク船の船員が紙に何かを書いて見せてくれた。
そこには「海賊」と書かれていた。
商人は手を合わせて「おおきに」とお辞儀をすると向こうは気にするなと手を上げた。
船長
海賊でっか・・この狭い海峡で陣取られたらキツイなぁ
女神様
とりま、前に船をだしな!
女神様に何か良案があると信じて前に船を出す。
商人
海賊の好き放題や無いか!
しっかし、おっかしいなぁ?
マラッカ言うたら、南蛮人の総督府があるって聞いてるで!何やってんねん。
暫くして女神様が「あー、なるほどねー」と呟く
商人
何がなるほどなんでっか?
女神様
ガレー船が5隻
待ち構えてる海賊は南蛮人って事
しかも、ルソンで痛い目に見せたスペイン人がチラホラだねw
商人
アユタヤで休んでる間に先回りされたんかいな!
面倒なやっちゃなぁ・・
女神様
どうも白人様が日本人にやられたのが頭に来たんじゃね?
最後は大笑いしながらドボンさせたしw
商人
えー、南蛮人の神様は人は平等って言うてますやん。
女神様
それ、あーしじゃ無ぇーしw
船長
女神様、どないしますんですか?
女神様
うーん、とりま、お昼だし御飯っしょ!
船長
まぁ、確かに腹が減ってはってやつでんなぁ
商人
ちゅー訳で御飯にしよか
商人達の船も帆と錨を下ろし、昼食の準備を始める。
料理長
今回は会心の作でっせ!
机には色取り取りの野菜や肉にスイートチリソースがペーパーライスに包まれた「生春巻き」にジャスミンライスと蒸し鶏のナンプラーベースソースの「カオマンガイ」、鶏肉の甘辛焼きの「ガイヤーン」、鶏がらの「野菜スープ」に大根の酢漬である。
アユタヤで技術と食材を仕入れたとの事だった、鶏がら野菜スープは台湾で習得したそうだ。
商人
へー、やるや無いかぁ!
寄港地の料理をモノにしてくるとはなぁ!
料理長はへへっと誇らしげである。
で、何やかんやで海賊を余所に昼食を楽しむのであった。
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