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元禄料理教室  作者: 空銃(からづつ)
88/100

王になった男

御返し


前回からの続き


翌日の昼前・停泊地の船上


昨晩、給仕の男に良くしてもらった商人あきんどは昼食に招待した。


料理係と昨晩話し、昼食の献立は地場産の様々な野菜の天ぷら、二種の焼き魚を西京焼と照焼、地鶏と筍と切干大根と里芋の煮っ転がし、わかめと豆腐の味噌汁、お香の物「※ 漬物の事」と箸休めの小皿には甘納豆、麦配合の御飯の布陣であった。


明日が出航予定日なので船員達は街に繰り出していて船内は少人数であった。

中にはメニューをどこかで聞いたのか昼食だけ戻ってくる者もいたのはご愛嬌である。


そこに給仕の男が少し早めにやってきた。


商人あきんどは快く笑顔で招き入れ、昼食まで時間があるとの事だったので刀の手入れに長けた者と共に給仕の男の錆びた刀を手入れをしつつ、やり方を見せていくと一生懸命に覚えていく。


日本刀がピカピカに仕上がると給仕の男は非常に喜んだ。


ここでこの刀の経緯を給仕の男がポツリポツリと話し出した。


給仕

私の名前、山田です。


商人あきんど

え?生粋の現地の方かと思てた!


給仕

お爺さんは山田長政と言います。

駿河の国の沼津藩からきました。


商人あきんど

へー、駿河の国は沼津藩でっか!


話を聞く所、山田長政は1612年に一旗揚げようと海外に出た。

朝鮮の役や関ヶ原、大坂の陣以降、流出した武士が海外では屈強の傭兵として大人気であり、それに倣って傭兵家業に身を置いたそうだ。

そして二度のスペイン艦隊の攻撃を退けアユタヤ王朝内のリゴール王国の王まで登りつめ、この地では知らぬ者がいない程の偉人であった。


商人あきんど

王様の孫って事でっか!


給仕

そうね、でも気にしないで、国は今は無いからね。

ただお爺さんの武士の魂が錆びる、悲しかった。

でも、綺麗になった。

凄く、嬉しいね!


そう言うと眩しいくらいの笑顔を見せた。


そこへ昼食が出来たと報せが届きランチタイムとなった。


給仕は様々な日本の話しを聞きながら、和食に舌鼓を打った。

天婦羅が天つゆ、塩で二度美味しく、同じ魚でも照焼と西京焼では全く味が変わる。

初めて食べる和食の繊細な味をどこか懐かしく感じた。


給仕は天婦羅の作り方を熱心に聞いていた。

天婦羅屋をするとの事だった。


商人あきんど

王様の孫は商人あきんどやなw


そこから色々な商いの話しをした。


そこで面白い話を聞く


給仕

お母さんから聞いた

お爺さん、南西の大きな大陸まで交易に行った。

凄く跳ねる動物や人より大きな鳥がいるって聞いたよ


アユタヤの南方の胡椒諸島のアンボン「現 インドネシアの都市」から東南東の諸島部「現 パプア・ニューギニア」を南に進んだ先との事だった。


胡椒諸島とその大陸「現 オーストラリア」は昔から交易があるそうだ。


商人あきんど

大陸!?

ちょ、船長、聞いた事ある?


船長

いやー、そもそもアンボンって地名、初めて聞きましたわ

胡椒諸島もあるんちゃうかって程度やったし


未知なる大陸に未知なる動物にそわそわしつつも今回は逆方向と言う事もあり断念せざるを得なかった。


楽しい時間はアッと言う間に過ぎ給仕は帰り支度を始めた。


別れ際に給仕は麻の小袋を渡してきた。


給仕

これ、刀の砥石と手入れ道具とお昼ご飯のお代ね。

楽しかった、ありがとね。


そう言うと給仕は笑顔で去って行った。


麻の小袋の中身は赤や緑に黒、紫、青、黄、無職に濃紺などの色取り取りの宝石類が入っていた。

ルビー、エメラルド、オニキス、アメジスト、タンザナイト、トパーズ、クリスタル、サファイヤである。


商人あきんど

え!もらい過ぎやって・・これは帰りにお土産持って天婦羅食べに寄らなあかんなぁ

高ぅつくで、ホンマw


それ相当のお返しを覚悟する商人あきんどであった。

不定期UPです。

誤字脱字等は小まめに訂正して行きます。

ブクマからの「しおり」機能をお使い頂ければ幸いです。   空銃からづつ


山田長政

https://www.hirogin.co.jp/lib/kaigai/bangkok/report/b2107/#:~:text=日本人町とは,と言われています%E3%80%82

「直飛びしませんのでコピペをお願いします。」

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