信号機?
ゲーン
前回からの続き
夕食の2時間前になり船員長が料理長に食事人数を伝える。
意外に半数も食事に戻っていた。
料理長は洗米に取り掛かり、献立を決めていく
現在は寄港中なので、魚等の食材も手に入っていた。
大きな盥の中には泥抜きの為、大きな鯰「レッドテールキャットフィッシュ」が泳いでいる。地元ではテーパと呼ばれていた。
現代の日本ではあまり食べられ無くなったが昔は御馳走であり、今でも南北アメリカ大陸、アジア全域にオセアニア、東ヨーロッパと多くの地で食べられている。
料理長はボソリと鯰の煮魚と竜田揚げ・・野菜のお浸し、おすまし「すまし汁の事」やな
暴れる鯰をバラして食材に変えていく、そこに交代要員の料理係が一人戻ってきた。
料理長は献立を伝え、「煮物と汁やるから、炊飯と揚げもんな」と伝える。
料理係は「へい」と小気味良く答えると浸漬してある米を水揚げし炊飯を始める。そのまま炊いてる間に鯰の竜田揚げの下準備を始める。
料理長は昆布出汁と薄口醤油で味を整えた所に野菜カットを滑らして行く、出来上がると野菜を取り出し、そのだし汁を利用し生姜のスライスと料理酒代わりのバナナ酒を入れて味変をしていきそこに鯰の肉を入れ、鷹の爪を振る。仕上げにごま油を垂らし、柚子を絞る。
白身の鯰がコッテリとした出汁色に染まり柚子の香りが良い感じだ。
横では料理係が竜田揚げをジュワーっと揚げ始めた。
料理長は鯰のアラで出汁を採ったすまし汁の調理に掛かる。
すまし汁用のお椀には水で戻し軽搾りした鞠生と三つ葉、スダチの皮の細切りを散らし、用意する。最後に竜田揚げ用にシークァーサーをぶつ切りにする。
暑い日には水分ばかり摂り食欲減退しやすいが柚子、すだち、シークァーサー等の柑橘類の清々しさが食欲を復活させる。また、船乗りの強敵、壊血病の予防にもなる。
料理長
あと、いけるな?
料理係
はい、どっか行きはるんでっか?
料理長
大旦那はんに旨いもん御馳走になってくるわw
料理係
ええなぁ、後で連れてって下さいよぉ
料理長
考えとくわw
ほな、後、よろしく
そこに商人がやってきた。
商人
鯰かぁ、美味そうやな・・けど、行くで!
料理長
待ってました!
行きましょ、行きましょ
二人は船を降りると夕暮れ間近の港町をキョロキョロしながら歩く
暫くし移動して二人は看板を見上げていた。
目当ての店に着いた、看板にはゲーンと書かれていた。
料理長
ゲーン?・・ここでっか?
商人
ここやな、間違いないなぁ
二人は暖簾を潜ると手を合わせながら「いらっしゃいませ」とニッコニッコニーっとした給仕の現地人かハーフかクオーターか分からないが浅黒い若い男に出迎えられた。
商人
二人や、緑、黄、赤の三種類頼むわ
給仕
ご飯は二人分で?
商人
うんそやね。
「かしこまり」と言うと座敷に案内される。
料理長
緑、黄、赤って何ですのん?
商人
来てからのお楽しみw
二人は用意されたお茶に口を付ける。
料理長
ほう、スーッとしまんな
商人
ほんまや!
そこにタイカレーの三色とジャスミンライスが運ばれてくる。
給仕は和かに
ジャスミン茶、気に入りましたか?
こちら、ジャスミンライスと三色ゲーンです。
どうぞ、ごゆっくり
そう言うと奥に消えた。
料理長
これ、宝島で女神様が出してくれたやつや!
ホンマに三色や!
味はちゃうんかな?
商人
よっしゃ、食べるで!
二人は急いで頂きますと手を合わせるのであった。
不定期UPです。
誤字脱字等は小まめに訂正して行きます。
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