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元禄料理教室  作者: 空銃(からづつ)
81/100

大勝利

くちコミ


前回からの続き


一夜明け風は有るが快晴に恵まれた。


商人あきんどは船の甲板に商品を並べて老人を待った。


船長

大旦那はん、夕方やなかったんやないんですか?昼過ぎたばっかりでっせ


商人あきんど

どやろな?こう言うんは意外に早めに動きが有るもんやで

ま、準備万端な事にはええんちゃうかな?


商人あきんどは若い頃に行商人として修行で山から海までの村々へ商いにおもむいた経験上、人の心理として良い品は先に無くなるのでは?と言う考えが働く事を見越しての準備であった。

村とかに着くと先ずは豪農や漁師の親方や村長の庄屋の招かれて庭先を売り場に提供し、声掛けもしてくれる。

その代わりに先に買い物をするのが一般的で有る。また、その時、売りたい品を見る事でその村の特産品や今の売り手市場が分かり、値踏みにもなるので有る。


船員が商人あきんどに声を掛ける。

「昨日の方が手ぇ振ってまっせ!」


商人あきんどは船上から見ると老人が多くの人々を連れて手を振ってるが見えた。


船長

うお!団体さんやで大旦那はん!


商人あきんどは手を振りながら欄干らんかんを降りて老人を迎える。


商人あきんど

えらい、仰山ぎょうさんの方、連れて着てもうておおきに!


老人

はははっ、これはまだ第一陣、息子、息子嫁に孫、孫嫁と連れて来る手筈になっておる。

その他にも友人、知人も連れて来るぞ。


商人あきんど

おお!これは大商おおあきないや

通訳、お願い致します。


老人を案内し大勢の人々を船内に招き入れる。


皆、老人に何か喋っている。


老人

うん、砂糖や塩、酢に酒が欲しいそうだ。


どうやら、調味料類は交易所が押さえており高値で取引され、家庭用に作るのも文句を言われるそうだ。


物々交換の品はバシと言う名のサトウキビで作る鋳造酒、タプイと言う炒った米で作る酒、トゥバと言うヤシの樹液からつくる醸造酒、トゥバを蒸留したランバノグと言う酒にフルーツ酒等の交易所を通してない密造品が多く持ち込まれた。


最初はジュースでそれが発酵し2、3週間で酒になり、更に放置すると酢になるそうだ。


老人

この品を見てもらえぬか?


そう言うと5つの壺を見せられた。


商人あきんど

それ、呂宋ルソン壺やおまへんか!


呂宋ルソン壺とは安土桃山時代後期に大流行した大名物であり、特に豊臣秀吉が欲した事で有名で有る。


老人

高山右近ジェスタ様に習い父上も茶の道に凝っておりましてな。

何度か話を聞いておったのでな。

ここが売りどころかと

まあ、作ってる所は呂宋ルソンでは無く、みんしんで有るがなw


商人あきんどはジックリと目利きをする。

「流石は利休七哲の高山右近様に使えてただけの事は有る!コレはみん代の壺や、この状態、この大きさが五つ・・日本では千両箱なんぼいるんやろ?」


商人あきんどは塩、黒砂糖、黒酢、味噌、小麦粉、乾物に緑茶、日本酒、焼酎、泡盛、老酒を壺や樽ごと渡し、西陣織に大島紬の着物、螺鈿細工の小物入れ、日本刀を脇差しと手入れ道具付きで渡した。


老人

幾ら何でももらい過ぎであろう


商人あきんど

何を言いますか、まだお付けしたい所でっせ!あ、この博多織の着物もお付けします。

お納め下さいませ


老人はかたじけいとお礼を言い受け取ってくれた。


次から次に多くの方々が押し寄せ、ここで、老酒、泡盛、焼酎、日本酒が無くなり、その30倍以上の量の地酒に変わった。


そして、ヤシの実と共にココナッツオイルとココナッツミルクも手に入れる事が出来た。


商人あきんど大勝利である!


商いが終わり客人が降りると面倒毎めんどうごとを避ける為、港から少し沖に停泊し、品を船倉に片付けて早めの夕食を摂っていると武装した南蛮人達が小舟でやって来て喚いている。


おそらく欄干タラップを降ろせと言ってるのであろう


商人あきんど

なんやねん、ええ気持ちで食べてる所に面倒くさいなぁ、ほんまに

沖に出て停泊までしてんのに銃まで持って来よって!


南蛮人達と一波乱起きそうな予感が・・どうする商人あきんど!?

不定期UPです。

誤字脱字等は小まめに訂正して行きます。

ブクマからの「しおり」機能をお使い頂ければ幸いです。   空銃からづつ

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