王の依頼
王
前回からの続き
商人は首里城の謁見の間にて琉球の王の御前に傅いていた。
書状を側近の者に渡すと王に渡し何やら耳打ちをしている様だった。
王
面を上げよ、わしが王の尚質である。
で、鳥屋とやら・・島津家の先代、光久公に何やら料理の腕を奮ったそうじゃな?
商人
奮う程の腕ではおまへん、懇切丁寧に調理をさせて頂きました。
尚質
ああ、そう言う謙遜は良い
ワシにも作れ、の?
光久公同様にワシも娯楽と言えば食ぐらいじゃ
女神様
まあ良いんじゃ無い?
気軽には食べれない感じで価値観付けとけば、なんか有るかもよ
商人
「えー、女神様ぁ、いきなり勿体付けろって」
ええっと、尚質様、この料理は人ならざる女神様のお力添えが無いと出来ない物で、お釈迦様が食べてた料理で有りまして・・そのぅ
尚質
光久公には奮ってワシには出来ぬと申すか!?
商人
あ、材料も無く、その・・女神様に相談してみます。
「女神様、これ以上は無茶やって」
その時、謁見の間で女神様の声が響く
女神様
神に物を強請るとは何事か!
本来なら天変地異じゃぞ!
尚質が驚いていると眩く光った瞬間、上から手元にお盆がゆっくりと降りてくると受け取る。
お盆には丼にカレーライスと木匙、水の入った湯呑みが乗っていた。
尚質
おお、こ、これは?
商人
かれぃ丼です。
「今回は作らんでええんやな」
女神様
心して食べよ。
商人への配慮を頼むぞよ
尚質
え!?あ、はい
頂きます。
膝の上にお盆を置くと尚質は丼を持ち匙で掬い口元へと近付ける。
尚質
なんと言う香り!!
そのまま口に運ぶ
尚質
ウマ!美味い!!
周りの目も気にせずに一気に掻き込む
ふーっと食べ終わり、水をグビグビと飲み干しお盆に湯呑みを置くとピカッと消えた。
尚質
夢か幻か?・・いや、辺りに漂う香り、口内に残る味が現実の物だと教えてくれる。
正に神域の味覚であったわ。
ふー、鳥屋よ女神様にお礼を伝えておいてくれ、それと感謝の証として停泊、寄港、宿泊、交易、免税の自由を与える。
宿は城にて泊まるが良い、余は満足じゃ
商人
有り難き幸せに御座います。
尚質
先程の料理の材料を手に入れるべく、海外へと帆を進めるとの事
余から一つ、依頼を受けてはくれぬか?
そう難しい事では無い、海外で食べた美味い料理を教えてくれるぬかの?
商人
え、そんな事でよろしいんでっか?
尚質
まあ、これも娯楽の一つ
期待、しておるぞ。
そう言うと支度金としてズシリと来る金子の入った袋を渡された。
案内された城の一室で暫く休憩し、商人は机の上で勘定をしていたが金子の多さに驚く
商人
めっちゃ入ってるやん!かれぃ飯の礼を含んでたとしても多いなぁ!
コレは尚質様の依頼、性根入れて本気でやらなあかんなぁ、しっかり記録取らな。
そう言いつつ商人はまだ見ぬ異国の味にワクテカするのであった。
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