浦島太郎伝説
寄り道
前回からの続き
宝島で水の補給と休憩を挟んで琉球へと向かったいた。
交易用の品を満載していたが琉球でどれほどの価値が出るかは商人の持ち前の商才に掛かっていた。
商人は船倉で商品を見ながら思案していた。
商人
鹿児島で買うた緑茶、薩摩芋、芋焼酎や黒酢は薩摩藩が交易で持ち込んどる筈やし、これは海外で売るとして、琉球では大坂「※現在の大阪」で買うた品が主力になる筈やな。
目の前には日本酒の樽・西陣織の反物・藍の絞り染の反物・日本刀・漆塗りの木製食器・清水焼の食器・柿右衛門様式の壺や大皿・螺鈿細工の小物入れ・乾物の若布に昆布、干し柿、素麺にうどんが並んでいた。
この中の一部を交易に当てて琉球の特産品を仕入れようと考えていたのだが・・他にどうしても手に入れたい品があった。
商人
うーん、やっぱり奄美大島に寄るべきやな
無理を言って船長に奄美大島に寄ってもらうと目当ての品を手に入れる。
交易所では乾物を売ってくれと言われ、意外に法外な値段で売れた。
商人
そう言うたら、若布も昆布、柿に乾麺は南国には無い物やったな
しかも目当ての物が格安で買えたで!やっぱ本場は安いなぁ、コレは海外では高値で売れるで!
乾物と足の早い日本酒の半分を売って代わりに船倉には大島紬の反物が並んだ
商人
絹自体が高値で取引されるんは知っとる。
その絹糸を藍染にし綺麗な柄で織った大島紬の反物は行けるで、同じ絹の西陣織の反物と同じくらいの高値になる筈や
すでに心は海外に飛んでいた。
女神様
妄想してる所、悪いんだけど琉球が見えたよ
商人
おっ、すんません女神様
海外が楽しみで、へへ
そう言うと船倉から甲板に出る。
暗いの船底からだと青い空が眩しい
商人
おお、あれが琉球かぁ
どんな所やろ?
女神様
琉球ってのは当て字で本来は「竜宮」って噂があるんだよ。
商人
え?竜宮って・・竜宮城伝説の!?
ほ、ホンマでっか?
女神様
さあ、どうだろね
何万年前の話だからね
商人
何万年って・・浦島太郎ってそんな昔の話なんでっか?
女神様
時間を飛び越えて竜宮城に行ったのかもよ
助けたのは亀じゃ無くて謎の円盤だったりして
商人
時間を飛び越えて?謎の円盤?
いや、でも話的にはあり得る。
えー?女神様が言うんやったら本気にしますよ
女神様
さあ、冗談かもw
信じるか信じないかは貴方次第
と、言う訳で入港したから挨拶、挨拶!
商人
えー!めっちゃ靄るんですけど
女神様
はいはい、行った、行った。
商人は慌てて書状を胸元にしまいこんで港に降り立った。
薩摩藩の番所の侍に書状を見せる。
侍
では、琉球の役人に付いて行くが良かろう
商人
あ、はい、おおきに
侍は二、三、琉球の役人に何かを伝える
棒を持った琉球の役人が付いて来いと言う
それに付いて行くのだが、先ほどの女神様の浦島太郎の話が気になって仕方が無い商人であったのだが、お陰様で緊張していない事には気付かないのであった。
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