みっちゃん
擦った揉んだで
前回からの続き
商人は運ばれたお茶に口を付ける。
誰も居ないのをいい事に胡座座りであった。
商人
ほう、ええお茶使うとる、流石は雄藩の島津様やな
鹿児島は有名なお茶処やからな
とっくにお茶を飲み終わった。
待てども待てども大目付は来なかった。
商人は大の字になって天井を見ながら呟く
「こりゃあ揉めとるな、暫くは鶴丸城「※ 鹿児島城とも言う」の城下町で足留めかも知れんなぁ」
その時、誰かが板廊下を歩いて来る足音が聞こえ、慌てて正座し直し、頭を下げる。
「御免」と違う声が入ってきた。
謎の男
ああ、楽に致せ、楽に致せ!
商人が恐る恐る頭を上げると穏和そうな年配の男が座っていた。
バリバリの侍と言う感じは無く、ラフなスタイルであった。
格好だけの短めの脇差しを付けただけの御意見番と言った感じに見えた。
にこやかなのに恐ろしさも感じる御仁であった。
商人
お初に御目に掛かります「鳥屋」で御座います。
謎の男
おお、鳥屋殿か
わしは・・わしは「みっちゃん」と呼ぶが良い
商人
え!みっちゃん様ですか?
みっちゃん
様は要らぬ
堅苦しいのは無しじゃ
商人
えっと、みっちゃん殿、話は纏まりましたでしょうか?
みっちゃん
殿も要らぬがまあ良しと致そう
話?ん、ああ、まだまだ掛かるだろうな。
商人
え?では出直させて頂けば宜しいのでっか?
みっちゃん
どうかの?
わしはこの件には何の関係も無い
面白そうなのが来とると聞いてな
暇潰しの話相手じゃ
商人
ははw、話相手でっか・・
〔誰やねん、このお人は〕
みっちゃんは商人に聞いて聞いて聞きまくる。
上方の話し、江戸の話し、これまでどんな所へ行ったかとか、何を扱ったとか
次第に各地の名所、名産品の話になり、旨いものの話になって行った。
そして、ここまでの経緯を話し、話のツボである香辛料集めの話をする。
みっちゃん
ほほう、鶏かれぃ飯とは・・旨そうじゃのう、食ってみたい物じゃ
商人の脳内に女神様の声がする。
「材料用意するから、ユー、やっちゃいなよ!」と
商人
そろそろ、昼になりますなぁ、お口に合えばええんですが・・準備させて頂きましょうか?鶏かれぃ飯
みっちゃん
ほう!そうであるか
これは千載一遇の機会じゃ、わしの家の台所を使ってくれ
後で迎えを寄越す!おお、米は炊いておくぞ!
そう言うとみっちゃんは飛び出して行った。
商人
即決、即行動・・頭の切れるお人やな
商いでも成功するお人やな
女神様
いやー、危なかったよ
怪しかったら切ってやろうと考えてたみたいだねw
みっちゃんが鶏好きで良かったね。
商人
ええ!めっちゃ危ないや無いですか!
女神様
気にすんなし、助け船出したじゃん
もう大丈夫だから
商人
た、頼んまっせ女神様
おー、怖っ!
で、話の結果はどうなるのだろうかと冷や汗を拭いながら考える商人であった。
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