コロッケ
決戦日
朝、全員で朝食の賄いを食べていた。
昨夜作った動物性材料無しのカレーを急速冷蔵した物を人数分、温め直した物と味噌汁である。
何も言わずに女神様が食材として冷凍庫に補充してあった野菜コロッケを揚げてカレーに乗せて食べる。
平田
うん、コロッケカレー、行けますね!
そして食後、神棚に必勝祈願を全員でする。
食材や水を用意し、お香が食材を侍が水瓶を背負うと出陣した。
町人
後は吉報を待つだけだなぁ
商人
行ける筈や!
平田
そうですね。
さ!人数少ないですがいつも通り頑張りましょう!
おかよが暖簾と商い中の札を出すと客が入り出す。
あっと言う間に忙しくなり一気に時間が動き出す。
・
・
一方、料理御前試合の会場では多くの者が調理中であった。
監視役の侍に問われる
「あまり料理はわからぬが、調理はせぬのか?」
侍
あいにく、煮込んでいる間は時々混ぜるのと火加減を見るだけでのぅ
炊飯は待つだけじゃし・・後で油で揚げるのと、汁物を作るだけで有るからのぅ
事前に野菜をカットして有り、煮込み待ちのお香と侍はどっかと座っていた。
他の者から見れば試合を諦めたかと思われていた。
監視役以外にも味見役の者も物珍しさにあちこちを覗いている様だった。
そこに味見役の一人の御局様がやって来て開口一番「平田様が居らぬではないか!」と言う
侍
え?あの貴女様は?
御局様
大奥の者である、鳥屋を取立てて行こうかと思うておるのに!もう!
侍
それは知らぬ事とは言え・・午後には来ますので御容赦願いまする。
御局様
おお、来られるのか?来られるのなら良いのじゃ
そう言うと他の所へと行ってしまう
お香は監視役を横に付けて寸胴鍋を木箆でゆっくりと混ぜていた。
その隣のブースでは盛善が豆腐の焼き作業中であった。
そこに味見役の一人の寺社奉行が近寄る
盛善
あっ、兄貴ぃ!
寺社奉行
兄貴は止めよ、人の目も有る。
盛善
あ、すいません。
寺社奉行
隣の動きが無いが油断するなよ!
見た目なら我らが一番じゃ、味も負けてはおらん!
盛善
へい!お任せ下さい。
そう言うと数人の料理人と共にテキパキと作業を進めている。
寺社奉行
「何とか勝ちを拾わせてやりたい!」
敵情視察でも致すかのぅ・・
隣に移動し寺社奉行は監視役に聞く
「何じゃ?活気が無い様にお見受けするが?」
監視役
炊飯と煮込みだけとの事で、最後に汁物と揚げ物を作るだけなのでする事は無いそうだ。
寺社奉行
そうで有るか・・
〔やはり、試合を捨ててはおらんか・・こんなお手軽料理に負けとう無いのぅ〕
侍
どれ、ご飯が炊けて蒸し終わった用じゃな
コロッケ揚げて、わかめスープを作るとするかのぅ
そう言いつつ油鍋を火に掛け、米を御櫃に移す。
今回の品はカツの代わりに野菜コロッケを乗せた野菜カレーライス、わかめスープ、支那竹と搾菜の漬物
一汁三菜を考えていたのだが、いつも通りで奇を衒わないスタンダードメニューにした。
わかめスープが出来上がり、火から外し、鍋敷の上に移動させて、コロッケの油切りをしているとその時、太鼓がドーン、ドーンと鳴る。
遠くから声が聞こえる。
「上様のおなーり〜」
全員が一旦手を止め、正座すると頭を下げる。
遂に将軍様が現れた。
お付きの老中の爺やが「続けて良し!」と言葉を投げかけると、作業が再開された。
侍
お香、いつでも行けるか?
お香
はい!
出来た者から料理を出しませ!と声が掛かるとカレーを人数分用意してると隣の盛善に先を越される。
お香
あ!
侍
まあ、良い、二番手でも上出来じゃ。
いよいよ味比べが始まるのであった。
不定期UPです。
誤字脱字等は小まめに訂正して行きます。
ブクマからの「しおり」機能をお使い頂ければ幸いです。 空銃




