ルーティーン
決戦前夜
遂に料理御前試合の入り日を迎え、食器や調理器具等を大八車に乗せて試合会場となっている江戸城の半蔵門入り口に侍とお香、平田の三人で向かった。
御前試合の書状を門番に見せると案内の者が来て「こちらに付いて参られよ」と連れて行かれる。
案内役はお香のロングツインテのメイド姿を珍しそうにチラチラと見る。
開けた場所に沢山の調理台と竃と薪木が並んでいる。
案内
「鳥屋」殿は六番と書かれた所を使われよ
門は一旦、夜には閉じられる、朝は夜明けと共に開門で御座る。
明日は遅くとも正午の半刻前には料理は完成させよ、毒味役が実食後は味を変える事は禁止じゃ、混ぜたり火加減を調整する場合は吟味役が立ち会う
くれぐれも無礼無き様に!
何か質問が有れば聞くが良かろう。
侍
あい分かった。
今日は食器と調理器具の搬入だけである。
明日、食材を持参致す。
そして、平田と侍、お香は調理台や竃をチェックする。
平田
どうですか?
行けそうですか?
侍
ふむ、ごく普通の竃が三つじゃな。
炊飯に一つ、かれぃの煮込みに一つ、ほうれん草等の灰汁抜きで充分に数は足りる。
それ以外の食材は店で切って灰汁抜きもするから実質は炊飯と煮込みだけじゃな。
平田
お香ちゃんは問題はなさそう?
お香
はい、お椀も木匙もいつも通り、湯呑みが陶器になっただけですので大丈夫です。
平田
よし、では戻りましょうか
案内役に質問は無く、帰ると伝えると門まで案内され、帰路に着く
店に戻ると商人と町人、おかよの三人だけだったので客が溢れ、てんやわんや状態でイカンと平田達は合流する。
忙しいのが幸いし余計な事も考えずに一心不乱に働いた。
閉店後、賄いで平田が作ったオムカレーを食べているとピカッと女神様が顕現した。
女神様
一応、伝えておくね。
侍は今日はお酒飲んでガーって寝ちゃってね。
お香ちゃんはいつも通りに風呂入ってアニメ見てぐっすりね。
余計な事は考えないで、体が覚えてるから体の動くままにね。
侍
今日は禁酒しようかと思っておりましたが・・分かり申した。
お香
はい
平田
明日は四人なんでおかよちゃんは注文利きと配膳とお会計ね。
おかよ
はい
女神様
みんなもいつも通りね。
下手に違う事しなくて良いからね。
みんなが頷く
女神様
じゃあ、勝利の報告を待ってるからね
バイ!
そう言うとスッと消えた
その夜はいつも通りに侍、町人、商人は風呂に入って、マッサージチェアでほぐされて、趣味の音楽やTV、Youtubeを楽しみながらツマミと酒を飲んで寝た。
平田とお香、おかよも同じ様に風呂に入り、アニメを見て歯磨きして少し早めに就寝したのであった。
料理御前試合を前にしたが女神様の言う通りにいつも通りのルーティーンをする事でプレッシャーも少なくグッスリと眠れた面々であった。
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