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元禄料理教室  作者: 空銃(からづつ)
52/100

勝利の栄光を君に!

粘り



料亭 森善もりぜん

ここで寺社奉行と3代目となる森善が話し込んでいた。


寺社奉行

こうなれば実力で鳥屋に勝って見せるぞ!


森善

でも、御奉行様

勝てそうに無いですよぅ


寺社奉行

情け無い声を出すで無い!

まだ、吟味役に和尚殿がいる事は発表されておらぬ

これを活かすぞ!


「使え!」


そう言うと小さな木箱を渡す。


森善

これは?


寺社奉行

鳥屋が薬膳を使うなら、我らもこの薬膳の柚子胡椒を使って対抗するぞ


森善

柚子胡椒を何に使うんですか?


寺社奉行

ええい、お主は料理人ぞ!ったく・・

いか、仏僧が口に出来る物の中でも喜ばれるのは豆腐じゃ!

豆腐をこうしての・・


森善

さ、流石は兄貴だ!


寺社奉行

おうよ!

こうなれば意地でも勝ちに行くぞ!

早速、試作してみよ


森善は「へい」と言うと厨房へ飛んで行った。


寺社奉行

何とかこれで食らいつけられる筈だ。

変わった料理で来るなら、こっちは高級料亭らしく高尚な品を少量づつで行く


森善

あ、出来ました!


寺社奉行

良し、先ずは見た目だ


目の前には綺麗な大皿に葉が敷かれ、その上に一口小の賽子さいころ型の焼き豆腐が二股に別れた松葉に刺されて物が何種類か乗っていた。


赤い松の実の乗った物、おろし醤油の乗った物、柚子胡椒の乗った物、紅葉おろしの乗った物、塩と石蓴あおさの微塵切りが乗った物、赤味噌の乗った物、白味噌の乗った物煮、照り焼きの物、麹の乗った西京焼風の物に煮込んだ物に高野豆腐


二種類づつ、それらが綺麗に盛り付けられていた。


寺社奉行

うむ、見た目は良し、食べて見るぞ!


森善

はい!


寺社奉行

うん、小さい分、飽きる事無く全部食べれるな

これを煮豆や煮浸しで飾り付けて主菜に昇華させよ


森善

は、はい!

他は?


寺社奉行

お前なぁ、ワシは侍ぞ?

まぁ、よい、京風に昆布出汁のお吸物には鞠生まりふと三つ葉、米は水分多めの餅米で行くぞ

あとは煮物じゃな・・定番だが椎茸、筍、大根、里芋、さやえんどうをあっさりとじゃな

御香の物「※ 漬物類の事」はこれを見本に使え


そう言うと鉄砲漬、野沢菜漬、味噌南京豆ミソピーナッツ、奈良漬、守口漬、高菜漬、らっきょの酢漬を出しつつ最後にワシが漬けた沢庵じゃと言って渡す。


森善

有難う、兄貴ぃ!!


寺社奉行

らっきょは住職殿には出すなよ、禁葷食きんくんしょく五葷ごくんになってはいかぬからの


森善

わかりました。

ここまでやってくれたんだ、勝って見せるよ兄貴!


寺社奉行

そうだな、勝てよ!

参照 禁葷食きんくんしょく

仏教の思想に基づく菜食の一種。

精進料理では避けるべきと考えられている食材が大きく分けて2つあり、1つは三厭さんえんと呼ばれる動物性の食材、もう1つは五葷ごくんと呼ばれるネギ属などに分類される野菜である。また、五葷の扱いは時代や地域によって異なる。


不定期UPです。

誤字脱字等は小まめに訂正して行きます。

ブクマからの「しおり」機能をお使い頂ければ幸いです。   空銃からづつ

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