上意
上から下へ
剣豪の客はデムグラスソースのオムライスとふわとろトマトソースオムライスを食べ終わると満腹になった腹をさすりながらレモン水を飲んでいた。
剣豪
うむ、美味かったのう、余韻を楽しめる程の美味なぞいつ以来かの
確かにこの味で有れば、一度食べれば忘れられぬな。
さて、十中、八、九、店主はあの物腰の柔らかい平田であろうな、されど、話しが早いのは侍御仁であろう
こちら側が無茶を言うのじゃ、客が引くまで待つと致そう。しかし、水まで上手いとは、畏れ入るのう。
暫くしてして客が引き気味になると、食器を下げてる侍に剣豪が話し掛ける。
剣豪はお勘定の代金を渡しながら話す。
「忙しい所、申し訳御座らぬが、後で少し、話しを宜しいかの?出来れば、店主殿と共に・・」
侍
丁度頂く
話しで御座るか?では後でお伺い致そう。
食器を下げに厨房に戻ると平田に伝える。
「何やらお客が話しがしたいとの事じゃ」
平田
え、閉店前でそんなに忙しくは無いし、いいですよ。
話しって何だろう?
侍と平田は剣豪の所に行くと剣豪は立ち上がり、懐から折りたたまれた紙を出す。
その紙には「上」と書かれていた。
上の字を見せながら剣豪は大きめの声で言う「上意で御座る!」
侍
じょ、上意!ははぁー!
そう言うと侍はその場に正座し頭を下げる。
それを見た平田もその場で慌てて土下座する。
剣豪は折りたたまれた紙を「ばっ」と広げて読み上げる。
「御上主催の料理試合への参加の命を告げる、日程と場所は決まり次第に伝えるものとする。一汁三菜をもって試合に挑まれたい。」以上
そう言うと紙をたたみ上が下になる様に侍に渡す。
侍
は、はぁ!
御命令、承り申し上げる。
剣豪
有無、確かに申し付けた。
では、これにて御免!
そう言うと剣豪は退出した。
平田は初めての経験にドギマギしていた。
侍は立ち上がると平田に話しかける
「お師匠、もう普通に立って大丈夫で御座るよ」
平田
えっと、何がなんだか?
侍
ううむ、大変名誉な事であるが、面倒な事でもあるなぁ
その日、そのまま店じまいにした。
厨房では侍が皆に説明をしていた。
侍
大変な事になった、将軍家主催の御前料理試合に選ばれた。
町人
天下に名を売る絶好の機会じゃ御座いやせんか?
商人
ここの味なら天下無双や!
侍
であるが、問題はどこでするのか解らぬが調理器具や食材の持ち込みが出来るのか?後、礼儀作法とか・・
町人
あ!礼儀作法かぁ、あっしが礼儀作法を言うのもアレで御座ぇやすが、それ以上にお師さんは浮世離れしてるからなぁ・・
商人
そやな、お師匠はんは南蛮人みたいなモンやしなぁ
平田
あれ?俺ってそんな感じなの?
侍
師匠は丁寧な接客では御座るが、礼儀作法は別物で御座る。
商人
お師さんは少し、毛色が違う作法やから
お香とおかよも頷いていた。
味自体には何の不安も無いのだか、平田以外は調理方法や御上の前での所作に不安を感じていた。
平田自身はちゃんと出来てると思っていたが、礼和の礼儀作法は元禄から見るとかなり異質であるのであった。
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