突然の大江戸LOVEストーリー
大奥2
昼下がり、鷹乃と女中達が話し込んでいた。
ここ最近、専ら、お香とおかよの話題と美味しかった食事の話しである。
鷹乃に女中がこそりと話す。
女中
御局様、お元気が無い様ですが?
鷹乃も見ると確かに元気が無い。
溜息をつきながら手に持った紙を見ている。
鷹乃
あれは確か・・
私は置いて来ましたが、あの店で使用した紙で出来た前掛
女中
やはり、あの味が恋しいのでしょうか?
鷹乃
されど、お忍びの外出は直ぐ様に知れる所となり、本来で有れば外出など許されぬ!と厳重注意を受けたばかり・・流石に今暫くは無理であろう
女中
そう言えば、持ち帰りの品もありました!
鷹乃
おお、持ち帰りかえ?
それは良い、早速、誰かを買い出しに!
そわそわして待つと女中見習いが戻ってくる。
鷹乃
おお、よう戻った!
早う、こちらに
鶏かつぱんはさみ・鶏味噌かつぱんはさみ・鶏味噌焼ぱんはさみ・鶏照焼ぱんはさみ・鶏塩焼ぱんはさみの五種類が揃う
鷹乃
御局様、こちらにご用意致しました。
ささ、こちらに
女中はお茶の用意をする。
御局様もサンドの前に来ると女中見習いに訊く
「店は繁盛しておったか?」
女中見習い
はい、大層な人出でした。
女中が気付く「あ、何やら良い匂いがする、こいつ食べおったな」
鷹乃も御局様も気付く
鷹乃
何を食べたのじゃ?
女中見習い
新作で話題の「ふわふわ玉子鶏ソースご飯」を・・
鷹乃はキツ目で美味しかったか?と尋ねる。
女中見習い
あ、はい・・それはもう滅法、美味しゅう御座いました・・
御局様
鷹乃、良いでは無いか、小間使いの最中の買い食いは御愛嬌じゃ
鷹乃
そうですね・・
〔可笑しい?いつもなら御局様が烈火の如く怒るから、先に私がやんわりと言ってるのに〕
御局様
折角じゃ、頂こうと致しましょう。
この量じゃ、女中見習いの其方も食べて行くが良い
女中見習い
あ、有り難き幸せに御座います。
食べながら色々と店の事を尋ねていく
鷹乃と女中はどうも合点がいかない。
御局様の質問に違和感を感じる
そして、様々な質問の中に一つの真実を見出す。
御局様
その、店長殿は息災そうであったか?
女中見習い
あの、どの方が店長様か存じ上げないのですいません。
御局様
そ、そうか
「はぁ」っと溜息を洩らす。
鷹乃と女中は合点がいった。
〔そうか、そう言う事か!御局様は店長に「ほ」の字!〕
江戸時代は三十路になればお役御免となり御局になり、異性との面識も格段に減る。
数年後、そこに、満面の笑みで紙エプロンを背後から優しく着けるお殿様、その瞬間、恋に落ちる音がしたのであった。
御局様は胸を軽く抑えると「キューン」と何かがなっていたw
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