合体技
同意
夕暮れ前には米とパンとチキンカツのタネが無くなったので平田は「完売御礼」の札を出すと暖簾を中に入れる。
そこに侍の息子の中年侍が「御免」と入ってくる。
中年侍
ご主人、あい済まぬが父上に少し話しをさせて頂けぬだろうか?
平田
わかりました。
お好きなお席にお座りください。
そのまま厨房に入ると終業準備にかかっていた侍に声を掛ける。
侍
え?またきているのか
師匠、済まぬが少し良いだろうか?
平田
ええ、どうぞ
私は賄いの準備に入ります。
侍は町人と商人に「些と済まぬ」と声を掛ける。
商人は賄い用の米を炊飯する所であり、町人は売上の計算を始める所であったが、二人は何も言わずに数回侍に頷く。
それを見て侍は厨房を出た。
侍
来ておったのか?
ワシは戻らんぞ
中年侍
いえ、父上、そうでは御座らぬ。
実は今日、「鶏かれぃ飯」なる物を食べ申した。
あの味は神仏の域の味、感服致しました。
侍
おお、そうであったか。
美味じゃろう
どうじゃ、まだ、料理人の真似事と申すか?
中年侍
あれ程の料理に携る事が出来るのは最早、真似事などと言う段階はとうに終えておらねば可笑しい。
父上、真似事など言い、誠に申し訳御座らぬ。
侍
ふふ、許そう
ワシはあの味を自分の物とし、後世に残したいと思うておる
それに我が師はまだまだ技を隠し持っておる
もっと引き出してもらって全て物にするつもりじゃ
中年侍
そうで御座いますか、存分におやりください。
家の事は俺がやります、ただ・・
侍
ん?ただ?
中年侍
たまには戻ってきてくだされ
侍
お、そうじゃな、わかった、その内、戻る
そして中年侍はまた食べに来ると言い残すと去って行った。
侍は戸締りをし厨房に戻ると賄いが完成する所であった。
平田
唐揚げカレーです!
侍
おお、かれぃに唐揚げを乗せるとは!!
町人
こいつぁ堪んねぇ!
商人
早よ食べましょ!
お腹、空き過ぎや
四人は頂きます!と言うと唐揚げカレーライスに舌鼓を打つ
商人
これも美味いなぁ
お師匠はん、これ、新しい品として出すんでっか?
平田
いや、今の所は考えて無いけど。
そこに女神様からの天啓
「明日から二十一 文で!!」
平田
だよね、そうなるよね。
町人
後でお品書きに追加しねぇとなw
四人は笑いながら唐揚げカレーを食べるのであった。
現在のお品書き
鶏かれぃ飯 十二 文
鶏かつぱんはさみ 十六 文
鶏かつ定食 十八 文
鶏かつかれぃ飯 二十 文
鶏唐揚定食 十九 文
鶏唐揚かれぃ飯 二十一 文
不定期UPです。
誤字脱字等は小まめに訂正して行きます。
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