プロローグ最終話
10/23 修正
内容に大幅な加筆をしました。
感想を参考にしたのでネタバレになりそうな感想をどうしようかな悩んでいます。
学校の先生の話をぼーっとしながら聞く。
ノートだけとっているが話は左から右だ。
ただ俺の視線は一点を見つめていた。
右前。七海の席だ。
いままでは『暁月さん』だったのだが付き合ってるんだから、七海でいいよという彼女の意向のもと、俺もいまは七海とよんでいる。
名前を呼び、呼ばれるだけでドキドキする。
いままでの俺には無縁だった世界だ。
彼女と付き合ってから俺は色々と変わった。
多少自分に自信を持てるようになったし、気遣いというか、周りを見れるようになったとも思う。
長い黒髪をいじりながらノートをとる七海を見てそう考える。
最初は向こうからの告白だった。
俺にはあまりに遠かった“暁月七海”にはアイドルのような、『可愛いし性格もいいけど自分には関わりがない人』のような認識だった。
好き。という恋愛感情はなかったように思う。
今は違う。
俺は七海が好きだ。
声が好きだ。仕草が好きだ。性格が好きだ。
彼女の一つ一つに俺は悶える。
幸せだ。そう思う一方で不安もあった。
俺は彼女が大好きで、常時キュンキュンしている。
だが、彼女はどうなのか。
俺に対して、かっこいい。とか好きだってまだ思ってくれているのか。
その後とくになにもなく、学校が終わった。
のだが、俺は放課後七海に呼び止められていた。
「放課後デートってやつ、しよ?」
そう言って俺の制服の裾を持って教室から引っ張っていく。
そんな時、中学校という義務の一環でルールにも厳しい中、金髪という少女。
目鼻立ちも整っており、可愛い部類だと思うがガラが悪く良く言えばギャル、悪く言えばヤンキーな、田崎に話しかけられた。
「ねぇ。村山くんだっけ」
となりで、七海がビクッと怯えたような驚いたような反応を見せる。
俺は、七海を田崎から守るように後ろに立たせ、要件を聞く。
「ななみんと、あなた付き合ってるでしょ? あれ、嘘告白だから。ね、ななみん?」
嘘告白、とは罰ゲームなどである嘘の告白のことだろう。
たしかに、そうだったらこんな俺に七海が告白してくるのも頷ける。とは思ったがそれは七海にあまりに失礼だ。今までのデートや言ってくれた言葉が嘘だというのは信じられなかった。
この田崎はなにを言っているのか。と思ったその刹那。
「言わないんじゃ……なかったの?」
恐る恐るといった様子で後ろから声が聞こえた。
それが七海の声で、言わないんじゃ、ということは事実嘘告白であったことを理解した。
『たしかに、周りの人たちが村山くんのことを言ってるかはわからないけど、私は、好きだよ。だから、自信を持ってね』とはにかむ彼女が脳内に浮かぶ。
これも、演技だったのか。
すごいな、名女優にも劣らないな。ははは。なんて心の中で自嘲する。
田崎と七海がなにか言っている。がうまく聞き取れなかった。田崎に連れて行かれた七海。二人がいなくなり、少し静かになった廊下で、女子グループの声が聞こえる。
「あっ、リカちゃん〜!」
「あの前噂になった超ヲタ後輩にに告白されたんだけど」
「リカもてもてじゃん笑うわ」
「それな」
「リカもちろんオッケーするよね?」
「しないよ〜。さすがにないわ〜」
「冗談だよー。にしてもまじおもろ」
「あ、ごめん塾の時間がやばい! また明日ね〜!」
「「「リカちゃんまたね〜」」」
俺もその超ヲタ後輩と同レベル、またはそれ以下だったのだろう。ターゲットにされるレベルの人間ということだ。
「まじリカうざいんだけど」
「それな、告白自慢まじうざ」
「顔が少しいいからって調子のってんじゃね?」
「ぶりっこばっかしてるし、ネジがどっかいってるんでしょ」
「きもいよね」
さっきまで楽しそうに、仲が良さそうに話していた女子たちが、いなくなった子の文句を言い続けていた。
俺のことではないが、とても失望のような虚無感のような、そんな気持ちに囚われた。
家に帰り、なんとも言えない気持ちでテレビをつける。
“まさに衝撃、実際にあった詐欺事件スペシャルーーー! さぁ今夜は二時間でお送りします、ゲストはーーーーーー”
詐欺、嘘告白、上辺だけの関係。
ニンゲンという存在そのものが俺は怖くなっていた。
ただ俺は七海を、七海の「たしかに、周りの人たちが村山くんのことを言ってるかはわからないけど、私は、好きだよ。だから、自信を持ってね」というあの言葉を信じたかった。
スマホを手に取り、電話をかける。
『もしもし、祐馬くん……?』
「うん、そう。嘘告白だったっての、本当なの?」
『え、えっと、その。落ち着いて聞いて欲しいんだけど。まぁ、その。うん、嘘告白だったのは本当……。でも! 私が祐馬くんに言ったことは本当だし、陸矢と出かけたのも理由があっt』
「りくや、って誰? まぁ、嘘告白だったってのは分かったよ、ありがとう」
嘘告白が本当だった。
という事実にかなりショックを受ける。
一度聞いたことではあるが、やはり七海なら否定してくれると。思っていたのかもしれない。
七海の口から嘘告白である事実を聞いたこと。俺と付き合ってる間にも他の男と出かけていたこと。
暁月さんの話し方、テンパり方から、言ったことが本当だって部分も信じられなかったこと。
小さい頃から裏切られてきた。
いじめられてきた。そんな俺にも光が最近できた。
その光が、闇に、影に変わり俺の心を飲み込んでいくのがわかる。
それは、大きかった。
こんな思いはもうしたくない。
絶対に……
もう誰も信用しない。
そしたら裏切られない。
だから関わらない。
タイトル回収が、やっと(?)できました
14日木曜からはテストが終わるのでまた毎日更新できると思います
待たせてすみませんでした。
とりあえずテスト1日目が終わったのですが。まぁ、はい。
テストに関しては触れないでください