#76 原点(ゼロ)
『ゴーレム、全機破壊!』
「了解、ではこれより、当初の目的通り、石の囲いの調査に入る!」
状況が全く呑み込めていない。ついさっきまで、ここでゴーレムとの死闘を繰り広げていたことなど、まるで嘘のように静かだ。だが、はっきりとしたことが一つある。
それは、ザハラーの力によって、ゴーレムの発生が抑えられているという事実だ。
当初は単なるレーダーの妨害効果しかないかと思われていたザハラーの力は、賜物の強化だけでなく、こんなことまで可能だったとは……
『0070号艦2番機、ローストチキン! 石囲いに接近! これより、調査を開始します!』
「こちら指揮官機、テバサキ! 了解、慎重に接近せよ!」
にしても、ここに集まった重機のコールサインだが、この機に限らず、シューマイ、ドラヤキ、ハルマキ、リブステーキ……どいつもこいつも、食い物ばかりじゃないか。どうしてこんなことに……いや、旗艦の重機の影響なのは、間違いないか。
「提督、当機も接近、調査いたします」
「了解、任せる」
デネット大尉がそういうと、高さが5キロあるあの奇妙な石造りの囲いに接近する。一見すると、巨大な正方形のただの囲いだが、その真ん中にはワームホール帯が封じ込められている。
近づくと、表面には奇妙な模様が見えてくる。なんというか……まるで、迷路のような幾何学模様が、びっしり延々と続いている。
「何でしょうね、この模様は……」
「さあな。だが、これで確信した。やはりこれは、人工物だ。自然にできたものではない」
「そ、そうですね」
と言いつつ、デネット大尉は左腕にある削岩機を、その石造りの囲いの表面に押し当てる。
「おい、まさか壊すつもりか!?」
「いえ、違います。この構造体の材質を特定するんですよ」
ああ、そうか、そういえばこの人型重機に搭載されている削岩機は、物質の特性を調べるセンサーがついているんだった。共鳴周波数を特定し、そこから物性を割り出す。しかし、手際がいいな、デネット大尉は。
元々、この人型重機というのは、その名の通り重機だ。宇宙空間における駆逐艦などの船体材料を加工するために開発された民間用機械だ。それを軍用に一部改造して使っているに過ぎない。
だから、岩石の材質を把握して、その共振周波数を割り出し、破砕する。そういう使い方が、この重機本来の用途だ。
そして、何度かトリガーを引いて、その石の物性を調査していたデネット大尉が、いぶかしげな表情でこちらを見つめ、こう言い出す。
「閣下……妙ですよ、これ」
「妙って、何がだ?」
「あの、なんていうか……石というより、樹脂に近いんですよ、この材料」
「はぁ!? 樹脂だって!?」
それは確かに奇妙だ。こんな大きな物体が、樹脂でできている?そんな馬鹿な。
奇妙と言えば、ふと気づいたことがある。
そういえばこの小惑星は、20キロ程度のサイズだ。この石の門にしても、5キロ四方もある。
一方のザハラーのあの力は確か、せいぜい直径が1.5キロ程度しかないはずだ。にもかかわらず、この小惑星一帯から、ゴーレムが消えた。
どうなっているんだ?どう考えても、ザハラーの力がこの小惑星全域に及んでいるのは間違いない。なぜ、ザハラーの力によってゴーレムの発生が抑えられるのかという理屈は分からないが、ともかくそれは、確かに小惑星表面を静寂に変えた。
だが、ザハラーは今頃、左腕を前に伸ばしたまま力を出し続けているはずだ。あれがいつまでも持つものでもない。僕は全機に命じる。
「指揮官機より各機! 調査を終了する、直ちに小惑星から離脱せよ!」
もう十分、この表面のデータを取り終えた。第1艦隊辺りに持ち込んで、この奇妙な小惑星の存在を知らせるには十分過ぎる情報がある。再調査はまた後日に回し、帰投することとした。
で、旗艦に戻った僕は、艦橋で腕を組みながら考える。
「あの、閣下、どうされたんですか?」
珍しく考えに耽る僕に、ジラティワット少佐が尋ねる。
この石の門そのものの調査は、終わった。
が、まだ謎は残る。目下の謎は、あのワームホール帯の向こう側は、どこにつながっているのか?だ。
それを調べたい。いや、調べなければならない。僕はそう考えているところだ。
が、一隻の哨戒艦ならともかく、艦隊を率いる司令官がそんな決断などできるわけがないのだが……
「あのワームホール帯の向こうに……行くべきだと思っているのだが」
今僕が考えていることが、つい口に出てしまった。
「いや、ダメに決まってるでしょう、提督」
すると、あっさりと我が参謀殿に否定されてしまう。
「その通りなのだが、貴官はこの先がどうなっているのか、気にならないのか?」
「気になるということと、やるべきことは違います。我々の任務は、地球1010に着任し、連盟軍との戦闘に備えること。そこに未知のワームホール帯の調査という項目は含まれておりません」
至極正論を述べるジラティワット少佐。気のせいか最近、少佐の僕に対する接し方が、だんだんとグエン少尉に似てきた気がするな。この正論はまさにその通りなのだが、僕は反論を試みる。
「いや、貴官の言うことは尤もだが、連盟軍とのことを考えるなら、なおのことこのワームホール帯の先を知らねばならない」
「なぜですか? 別にこの先がどうなっていても、この戦いの大勢に何か影響があるとは思えませんが」
「そんなことはない。新たなワームホール帯の発見で、周辺星域の均衡が崩れることもある。現に、この星域にある長跳躍ワームホール帯は、ここを激戦区にしてしまった。ましてや、ゴーレムなどという不可思議なものまで使って守ろうとするこのワームホール帯のその先に、何もないと考える方が、どうかしているだろう」
「それはそうですが……」
普通に考えれば、この件は直ちに軍令部へ報告し、調査団の派遣を検討していただく、というのが正規の手順だろう。が、どうも僕は、このワームホール帯へのこだわりを捨てられない。上手くは言えないが、このまま放っておけないという気持ちが強い。自分のことながら、なぜそう考えるのかは疑問だが、この先を調査すべきであるという選択肢をどうしても諦められない。
「ヤブミ様!」
と、そこに、ダニエラが口を開く。
「何だ、ダニエラ兵曹長」
「100隻づつ率いておられる、あの5人の戦隊長らにお聞きすればよろしいのではありませんか? そこで賛同が得られれば、ヤブミ様のお考え通りになさるのがよろしいかと」
なるほど、ダニエラの意見はもっともだ。だがそれは、かえってハードルが上がったように思う。普通に考えて、あの5人の賛同が得られる気がしない。
「いや、ダニエラ殿のおっしゃる通りです。それであれば、私も同意せざるを得ません」
が、ジラティワット少佐もダニエラの意見に同意する。つまりもう、5人の代表戦隊長にこの件の同意を求めるしかない状況になってしまった。
と、いうわけで、早速あの5人と遠隔会議でつなぐ。画面上には5人、こちらにはオオシマ艦長とジラティワット少佐。計8人で、会議を始める。
まず僕が、あのワームホール帯のことを話す。先ほど、ジラティワット少佐に話した通りだ。その上で、ジラティワット少佐が参謀役として意見する。
「……ということで、小官はまず、近くにいる第1艦隊に連絡し、しかるのちに調査団の派遣を要請。我々は当初の予定通り、地球1010へと向かうべきだと具申いたします」
で、一通り話したところで、各戦隊長の意見を出してもらう。
『小官は、ジラティワット少佐の意見に同意致します。我々が飛び込んだところで、あまり意味はないかと』
まず口火を切ったのは、ワン大佐だ。保守的で、常識的な指揮官である彼は、やはり僕の提案には反対する。
『そうですな、どう考えても、調査団による調査が妥当でしょう。我々では、行ったところで何かができるわけでもない』
『確かに、このワームホール帯の先が気にはなりますが……で、あればなおのこと、専門家による調査が必要でしょう。いくら甘いシロップとて、無闇に中に飛び込めば、溺れてしまいますぞ』
続いて、メルシエ大佐、ステアーズ大佐が続く。好戦的で、積極的なイメージのメルシエ大佐といえど、今回の件は否定的か。にしてもステアーズ大佐の喩えは何だ。なぜここで、メイプルシロップが出てくる?意味が分からん。
『いやあ、面白そうですよ。哨戒艦を何隻か任命して、飛び込ませればよろしいのでは?』
やや肯定的な意見がカンピオーニ大佐から出た。だが、どちらかと言えば、本人の好奇心から出たような意見。あまり積極的な雰囲気がない。これでは、3人の戦隊長は同意などしないだろう。
さて、残るはエルナンデス大佐だ。だが、こいつの意見は決まっている。どう考えても反対だ。僕の意見に賛成したことなど、滅多にない。
そう僕は、思っていた。
『私は、第8艦隊全艦で飛び込むべきだと具申する!』
と思ったら、意外にも賛成に回った。何だ?どういうことだ。
『いや、エルナンデス大佐、いくらなんでもそれは意味がないのではないか?』
『そんなことはない! こんなあからさまなワームホール帯の先には、絶対に何かある! そしてそれは我々、連合側にとって、確実に戦況を左右するほどの何かである可能性が高い! なればこそ、艦隊で出向き、その先をまず連合側である我々が制圧すべきだ!』
『いや、制圧といっても、敵がいるわけでは……』
『そこに未知惑星があるかも知れないぞ! となれば、艦隊を先に送り込んだ方が有利だ! ましてや、こんな馬鹿でかい謎の門を作れるような連中を、味方につけなくてどうする!』
『だから、それは調査団派遣後でも良いのではないか?』
『それでは遅い! ここは、連盟軍も闊歩する白色矮星域だ! いつここを連盟の奴らに見つけられるか分からない! 悠長なことを言っていたら、奪われてしまう!』
どうやらエルナンデス大佐は、この先にこの仕組みを作ったやつがいるという前提で話しているようだ。言われてみれば、その可能性は十分にある。と、なれば、早急に向かわねばならない。
が、その先にこれを作った連中が出てきたとして、その連中が我々に敵意を向けてきたら、どうする?この艦隊は最新鋭艦とはいえ、あんなものを作るやつらからすれば、特殊砲ですらおもちゃ同然、ということはないのか。となれば、我々は一体……提案した本人が、急に行く気をなくしていく。
が、エルナンデス大佐のこの感情的とも言える発言が、その場を動かす。
『確かに、エルナンデス大佐の言にも一理ある。この先を連盟軍に奪われるリスクを考えれば、直ちに突入すべきだろう』
『うむ……そうだな。行って、そこに何があるのかを調べるだけでもいいだろう。その上で、我が艦隊がどうするかを決める。それが最善策と思われる』
『メイプルシロップを手に入れたければ、楓の森に飛び込めってことですか。確かにその通りだ』
ワン大佐、メルシエ大佐、そしてステアーズ大佐が賛成に回った。カンピオーニ大佐も、各々の意見に頷いている。
これを受けて、僕は決断する。
「ではこれより、我が艦隊はあのワームホール帯に突入する。先陣はエルナンデス隊、次いでメルシエ隊、ワン隊、カンピオーニ隊、殿をステアーズ隊に任せる。以上だ」
『はっ!』
各戦隊長が、一斉に敬礼する。僕は返礼で応え、会議を終えた。
そして、艦隊の突入が始まる。まず、先発のエルナンデス隊が突入を開始する。10隻づつ束になり、あの門を潜る。空間ドライブを作動させて、次々と門に消えていくエルナンデス隊。
次いで、メルシエ隊だ。もしこの先に攻撃的な何かいれば、メルシア隊がエルナンデス隊を掩護することになっている。そのメルシエ隊が、次々と消えていく。
いよいよ、旗艦も含むワン隊の突入を迎える。10隻づつが円形を作って、あの5キロ四方の枠の中に突入していく。
「ワームホール帯に、突入します!」
ワープの常識として、ワームホール帯などというものは目に見えない。センサー以外に、その位置を確認する方法などない。
が、このワームホール帯は、目で見える。あの石門のおかげで、あとどれくらいでそこに飛び込むのかが視覚的に分かってしまう。こんなワームホール帯は、当然ながら初めてだ。
「ワープ開始!」
眼前の門に飛び込む駆逐艦の群れ、あの囲いを潜ると同時に、航海長の号令が響き、ワープを開始する0001号艦。星ひとつない真っ暗な超空間に飛び込む。が、やがて辺りは明るくなる。
ワープアウト先は、至って普通の宇宙だ。そこには特に、地球型惑星があるわけでもない。
ただ、遠くに赤色矮星が一つ、存在する。特徴的なのは、あの天体くらいだろう。それ以外には、遠くの星が見えるくらいだ。惑星らしきものは、まだ捉えられていない。
先発したエルナンデス隊では、その星の配置から、ここがどこかを突き止めようとしている。その結果を待つ間、僕は艦長に命じる。
「艦長、ワープアウト宙域周辺の探索を」
「了解! 各センサー担当、周辺宙域の探索を開始せよ!」
ダニエラも含め、艦橋内にいる各要員が、一斉に自身の担当での探索を開始する。
が、意外にも最初に声を上げたのは、ダニエラだった。
「前方、何かいます!」
すかさず、タナベ大尉が応える。
「レーダーに感あり! 小惑星サイズの物体! 距離、30万キロ!」
「光学観測! 映像、モニターに投影します!」
まさか、またあの門か?僕はモニターに目を移す。だが、まだちょっと遠くて、小惑星であることしか分からない。が、また何かあるようだ。
「ワームホール帯を感知! 距離、30万キロ! 位置は、ほぼ小惑星と一致!」
さっきと同じパターンだ。きっとあそこにも同じものがあるのだろう。しかし、あれを調べる前に、ここがどこかを知らなくてはならない。一体ここは、どこなんだ?
その答えが、ようやくエルナンデス隊からもたらされる。
「エルナンデス隊長艦、0210号艦から入電!現宙域の場所を特定!」
来たか。僕は身を乗り出して、その結果を聞く。
「で、その場所なのですが……電文には、地球ゼロ、と書かれております」
「は? 地球……ゼロ!?」
「はっ、97パーセントの確率で、地球ゼロと判明、とのことです」
地球ゼロという、意外な星の名が出てきた。それを聞いた瞬間、僕は背筋がゾッとするのを覚える。
この報告の意味するところ、そしてあの石造りの巨大門、そしてゴーレム。この3つが示すことは、長年、この宇宙で最大の謎とされていたある事実に行き当たる。
この銀河系の端の、直径1万4千光年の円状の領域に、地球と呼ばれる人類の住む星が、すでに1000個以上見つかっている。
この1000個もの地球は、なぜか円形を描いて並んでいる。ほぼ、同心円状。その円のプラスマイナス800光年ほどの幅に、地球は全て収まっている。
だが、奇妙だ。明らかにこれは人為的な配置だ。この事実が発覚したあたりから、我が地球001ではこの人為配置には、何らかの意志が介在しているのではないか、と言われ続けていた。
そして、その意志を持つ者は、この1万4千光年の円の中心にいるとされていた。
今から240年ほど前に、この中心部に向けて、最初の調査団が派遣される。
が、見つかったのは、赤色矮星という恒星の残骸というべきもの。そこには「意志を持つ者」など存在せず、何も得ることもなく調査団は帰還する。
しかし、ここに何かがあったことは間違いない、ということで、以来その場所を「地球ゼロ」と呼んだ。
それから240年。我々はどういうわけか今、その地球ゼロにいるという。
しかも、それを導いたのは、小惑星の上に建てられた、あの未知の石造りの門。
そこから導き出される結論は、たった一つしか思いつかない。
つまり我々は偶然にも、地球ゼロの遺跡を見つけてしまった。
そしておそらく、今正面に現れたあの小惑星も、やはり遺跡に違いない。
「て、提督……?」
絶句している僕を見て、ジラティワット少佐が心配そうにこちらを見る。僕は、応える。
「あ、いや、済まない……だが、あまりに重すぎる発見で、これをどう報告すべきかと考えてしまった」
「それはそうでしょう。つまり7000光年もの距離をジャンプするワームホール帯を見つけてしまったのですから、大変なことです」
「いや、そんな程度の話では……ところで、他の戦隊長からは、何か問い合わせが来ていないか?」
「いえ、特に何も来ておりませんが」
「そうか。」
まさかとは思うが、この宇宙レベルの発見を前に、誰もショックを受けていないというのか?単なる、長距離ワープ航路が見つかった。その程度の認識だというのか。
「ついでだ、あの小惑星も調査したい。このまま前進する」
「はっ! 全艦、前進します!」
こうなると、あの小惑星の存在も気になる。ここまで来たら、あれも調査すべきだろう。
しかし、もう一つ気になることがある。あの小惑星を見つけたのは、まぎれもなくダニエラだ。そして、その小惑星の上に出現したゴーレムの動きを止めたのは、ザハラーだ。
ふと考えたが、賜物というものは、この遺跡を探知させるために与えられた能力なのではないのか?あまりにも都合の良すぎる展開に、僕はそう考えざるを得ない。
いや……それはちょっと考え過ぎだ。ともかく、もう一つの小惑星も調べる必要があるだろうな。そう思った僕は、ともかく前進を命じる。
どうやら、この小惑星の存在を、ミズキも感知していたようだ。で、再び5キロ四方の枠が、目の前に現れる。
「……そして、先ほどと同様、あの囲いの中にはワームホール帯が存在します」
「だろうな」
「いかがいたしましょう、そろそろ引き返しますか?」
「いや、このワームホール帯に突入する」
「しかし、提督……」
「この先に何があるのかを、見極める必要がある。もしかしたらその先は、地球1010から見て、地球ゼロを挟んだ反対側に出るのかもしれない。となれば、恐ろしいほどの長跳躍ワープが可能となることになる。その先の場所次第では、軍事的意味が大きく変わる」
「確かに、その通りです。では……」
「ここまで来たんだ。いくしかあるまい」
僕がそう言うと、横で聞いていた艦長もうなずく。これで意は決した。
「全艦に伝達! これより、ワームホール帯に飛び込む! 先ほどと同様、先発はエルナンデス隊!」
「はっ!」
ジラティワット少佐も、覚悟を決めたようだ。こうなったら、はっきりするところまでは調べるしかない。再び、我が第8艦隊はワープに入る。
目視可能なワームホール帯を抜ける。そこは再び、普通の宇宙。先ほどとは異なり、明るい恒星が見える。
大きさからして、地球001の太陽と同じくらいの恒星だろうか。その恒星系の外縁部に、我々は到達したようだ。そして先ほどと同様、エルナンデス隊の調査結果を待つばかり……
「か、閣下! 大変です!」
「どうした!?」
と、突然、艦橋にいる士官の一人が叫ぶ。通信士のその士官は、血相を変えて立ち上がる。
「こ、この場所が、判明しました! 識別信号を受信!」
「なんだと!? で、どこなんだ!」
識別信号が出ている、ということはつまり、既に発見済みの地球が近くにあるということになる。ということは、地球いくつなんだ?そしてそこは、連合側か、それとも敵の連盟側か?
しかし、その通信士の放った言葉に、僕は驚愕する。
「ここは……地球001星域です!」




