#25 転機
ネレーロ皇子が司令部を出て、新たな人生を歩み始めてから4日経った日の夕方。僕の家の玄関のドアを叩く音がする。
チャイムではなくドアを直接叩くあたり、ペリアテーノの住人であることは明白だ。
防犯カメラの映像で、そこにいるのは女性だと分かっていた。案の定、ペリアテーノの住人だ。あのテーブルクロス風の服を着ている。しかも、かなりの美人の範疇に入るほどの容姿。
そんな人物がこんな時間、僕の家に何の用だろうか?
僕は少し警戒しつつ、ドアを開ける。
「あの……どちら様で?」
不思議とその人物、どこかで会ったことがある。だがそれがどこだったか、すぐには思い出せなかった。
「あ、あの、こちらはヤブミ様のお屋敷だと伺ったのですが……」
「ええ、そうですが」
屋敷と呼ぶほどの家ではないが、そんなことはどうでもいい。それよりもこの声を聞いて、僕はピンときた。
「あの、つかぬことを伺いますが、もしかしてあなた、ネレーロ皇子の侍女ではありませんか?」
「はい、その通りです。元侍女のロレッタでございます、ヤブミ様」
やはりそうだった。だがちょっと待て。今、元侍女だと言ったな。ということはもしかして、クビになったってことか?
なんだか、嫌な予感がするなぁ。とりあえず僕は、ロレッタに尋ねる。
「その侍女さんがこんな時間に、何の御用です?」
また僕に、あの船に乗せてくれというんじゃないだろうな?そういう前例は、どこぞの元皇女で経験済みだ。
「あの、無理なお願いであることは承知でお話しいたします。私を、この街で働けるようにしてはいただけませんか?」
ああ、やっぱりだ。ただし、船ではなく、街ときた。どちらにしても僕は、就職斡旋業者ではない。お断りだ。
が、そこにレティシアが出てきて、さらにややこしいことになる。
「おう、お前、確かネレーロ皇子んとこの侍女じゃねえか。久しぶりだなぁ」
「ああ、レティシアさん。お久しぶりです」
「まあいいや、話があるんなら上がれや」
あげちゃったよ……おい、どうするんだレティシア。レティシアの手招きに応じて、家に入ってきたロレッタ。
レティシアはそのロレッタの前にコップを置き、ペットボトルからお茶を注ぐ。そのコップのお茶を一気の飲み干すロレッタ。よほど喉が渇いていたようだ。さらにコップにお湯を注ぐレティシア。
「で、どうしたんだ?こんな時間にここにくるってことは、何かあったんだろう?」
レティシアが尋ねると、急にロレッタは涙目になり、持っていたコップを置く。
「うう……」
急に泣き出したロレッタに、慌てるレティシア。
「お、おい、泣くほど辛れえことがあったのかよ!?」
「わ、私……皇宮にお仕えできなくなりまして……」
予想されてはいたが、やはりクビになったようだ。それはそうだろうな。ご主人だったネレーロ皇子ですら、皇宮を追われる身だ。その侍女が、あそこにいられるはずがない。
「なんでぇ、そんなことくらいで泣くことはねえだろう。そんなもん、なんとかならぁな」
と言いながら、僕の顔をチラッと見るレティシア。要するにこいつは、僕になんとかしろと言いたいのだろう。いや、さすがにこの元侍女はまずいだろう。すでに我が艦でネレーロ皇子が彼女を侍らせて歩き回っていたから、あまりイメージが良くない。それに彼女は、賜物を持っている訳でもない。我が艦に乗せる理由がないぞ。
そうだ、侍女と言えば……ふと思い出した僕は、ロレッタに尋ねる。
「ところで、ネレーロ皇子にはもう一人、侍女がいただろう。彼女はどうしているんだ?」
「ああ、ロレーナのことでございますね。彼女は……とある貴族の妾となることになりまして」
「……こう言ってはなんだが、あなたにも同じ道ならば、あるのではないか?この街で働き口を探すよりも、そちらの方がいくらか保証された生活が……」
僕がそう切り出すと、ロレッタは突然、テーブルを叩く。僕はその勢いに押され、手に持ったコップを落としそうになる。
「嫌です!あのような古臭い慣習に振り回される生活はもう、たくさんです!」
こんなにアグレッシブな侍女さんだったか? ネレーロ皇子に付き添っていた時は、ただ黙って寄り添うだけの侍女というイメージだったが、一瞬見せたその姿は、ダニエラを彷彿とさせる活発ぶりだ。
「……失礼しました。ですが私……せっかく星の海からもたらされた新しい世界、女が自分の力で、自由に自分の生活を見つけられる時代。そんな世の中になったというのに、貴族のお飾りに成り下がるなど、嫌なのでございます」
聞けばこの元侍女、実はとある貴族の娘だが、その美貌を買われてネレーロ皇子の元に仕えることとなったという。
だからもちろん、自身の実家に帰ることも、もう一人の元侍女と同様に他の貴族の妾になることも可能だが、その先にあるのは旧態依然の生活。それが嫌だと、ロレッタはいう。
「……あの星の海を渡る船に初めて乗せられた時、私は知りました。貴族、皇族であっても、自分で給仕しなくてはならないという決まり。稲妻のような恐ろしい武器を持っている船だというのに、そんな船の中で、男を相手に張り合う女子もおりました。そのような場所を見せられた私は、是非ともそのような世界で生きて参りたいと願っていたのでございます」
「なるほど……で、そのチャンスが訪れた、と」
「ですが私には、皇宮でネレーロ様にお使えしたという経験しかございません。このままでは私、あの古臭い場所で暮らすしか道がないのです。そこで私は、ヤブミ様に頼ろうと思い立ったのでございます」
どうして、そこで僕に頼ろうと思うのかなぁ……僕は斡旋業者じゃないんだけど。たった300隻を従える、単なる艦隊司令官だよ?
「分かる、分かるぜ、その気持ち」
が、その話を聞いて頷く我が妻。で、そいつは再び僕の顔を見る。だから、僕は斡旋業を営んでいる訳じゃないんだが。それを一番分かっているはずだろう、レティシアよ。
「……とはいっても、今日はもう遅え。明日にでも考えようぜ」
レティシアの言う通り、今日はもう動きようがない。明日の土曜日にでも軍司令部に出向いて、地球042司令部になんとかしてもらおう。ネレーロ皇子を匿っていたくらいだから、なんとかしてくれるだろう。
「ところでロレッタ。お前、帰るところはあるのか?」
「えっ? あ、はい。今は平民街の一室に住まわせてもらってますが……」
「その口調じゃ、満足した暮らしは送れていねえってとこだな」
「はい……」
「それじゃあ、ロレッタ、今日はうちに泊まってけ」
「えっ!?」「は?」
ところがこのレティシアの突然の一言で、2人は同時に声を上げる。
「おい、レティシア。いくらなんでも、泊めるのはまずいだろう」
「ダニエラやカテリーナを泊めたこともあるじゃねえか。今さら、何言ってるんだ」
「だがな……」
「ほれ、2階は使ってねえから、そこにある布団で寝ろ。んで、明日はお前の職探しだ」
「は、はい、それじゃ、お言葉に甘えて……」
ということで、ロレッタを泊めることになった。
「で、こっちが風呂で、こっちが洗面所。この辺の使い方は分かるな」
「はい、分かります」
元侍女を、わざわざ風呂場まで案内するレティシア。今僕が、脱衣所に行こうものなら、大変な現場に出くわすことになる。僕はリビングで風呂場の方に背を向けたまま、スマホを開く。
ちょうどダニエラが報告を送ってくれたところだ。ネレーロ皇子は今、地球042へと向かったとのことだ。
そのネレーロ皇子の近況を伝える写真が添付されている。背広姿で、すっかりこちら側の人のような格好で、共同経営者である男性とにこやかな顔で並んで写っている。他にも、数人の貴族らと写るスナップもある。
命を狙われていたことを思えば、一件落着なのだろうが、一方でネレーロ皇子の皇室内での失脚に伴い、幾人かの人の人生が狂わされていることを自覚しているのだろうか?その1人が、まさにこの家にいる。
しばらくすると、ロレッタがタオル一枚姿でリビングに現れる。しばらく風呂とは無縁の生活をしていたようで、久々にスッキリした様子で僕の向かい側に座る。
「はぁ、良い風呂でした」
そういえばこの星は、男女混浴が当然だった。きわどい姿で僕の前にいることを、まるで厭わない。仮にも、ペリアテーノ帝国皇室で働いていた、国内でもトップクラスの美人である人物が、タオル一枚だけで覆った身体を僕に前に晒している。もちろん、身体のラインは丸見え、僕にとっては相当刺激の強い格好だ。それを見てレティシアのやつ、ニヤニヤしながら僕をからかい始める。
「ふふふ……いやあ、カズキよ。お前、この内側が見てえんじゃねえのか!?」
おい、妻が自ら他の女性の際どい姿を夫に見せびらかしてはダメだろう。僕はスマホで目の前を覆い、その挑発行為をかわす。
「ああ!」
と、その時、バサッと何かが落ちる音が聞こえる。その音は12時方向、距離1メートル半、ロレッタ級艦影より発信された。これがどういうことか、僕はよく理解している。
「あーあ、取れちまったよ、タオルが。丸見えだなぁ、おい」
わざわざ実況するな、レティシア。僕は何も見ていない。もちろん、レティシアの顔も見えない。が、間違いなくニヤニヤしながら僕を見下ろしていることは確実だ。
しかし、もしもだ、ここで僕のスマホのカメラアプリが起動したら、どうなってしまうのだろうか。スマホで覆い隠しているその向こう側が、僕の眼前の画面に映し出されてしまう。するとそこには……いや、間違っても、そういう事態を招かぬよう、僕は細心の注意を払う。が、ちょうど親指のあたりに、カメラのアイコンが……この指から僅か2ミリ先にあるアイコン。もしあと2ミリ、この親指が動いてしまったら……その2ミリの葛藤を、僕はどうにか乗り切る。
で、翌朝。同じテーブルで、昨夜のうちに洗濯し終えて綺麗になったテーブルクロス……いや、あの服はトーガと言うんだった、そのトーガをまとい、僕の向かい側に座って、出されたパンと目玉焼きを食べている。
「ん〜、ここのお料理は美味しゅうございます!」
ロボットアームが作り出す目玉焼きと、ショッピングモールの食料品売り場で買った安いパンだが、この星の人々にとっては、それでも美味しく感じるらしい。
「さてと、それじゃあまずは、軍司令部に行こうか」
僕はロレッタに言う。するとロレッタは、やや困惑した顔で応える。
「あの、私、戦いを生業とするところにはちょっと、抵抗が……」
贅沢なやつだな。そんなことを言える立場でもないだろう。
「おい、ロレッタ!なんでぇお前、そんな贅沢言える身分かよ!」
「で、でも……」
レティシアも同じことを言い出す。だが、思えばこの侍女は、元は貴族で、しかも働いていた場所はといえばこの国でも最も安全で清潔な場所。しかも以前、駆逐艦0001号艦に乗って砲撃戦も経験している。あれが、トラウマになったのだろう。
「まあいい、レティシア、軍以外にも働く場所はある。」
「あるって、どこだよ?」
「そうだなぁ……ショッピングモールなら、もしかするとどこか、求人を出しているかもしれないな」
「ああ、そうだな。近頃は繁盛してるらしいから、人が足りねえっていう店はたくさんあるだろうよ」
ということで、お馴染みのショッピングモールへ行くことになった。
「へぇ〜、このようなところがあるのですね」
箱型の大きな建物を見上げて、感動するロレッタ。それにしてもこの元侍女、何を浮かれているんだか。これから先、自身が生きられるかどうかの瀬戸際だという感覚がまるでない。
「誰……この人……」
一方で浮かない顔をしているのは、カテリーナだ。せっかくの休日に、いつもの味噌カツ&パフェのコンボを楽しもうとしていた矢先に、訳の分からない女が割り込んできた。そういう気分なのだろう。
いや、だったらお前、これを機にナイン中尉と一緒に行けばいいじゃないか。なぜ僕らと行動を共にする?あと一歩の勇気を絞り出せば、気になるあの人との甘酸っぱい関係が始まるというのに、何を躊躇しているんだ。
そろそろ指揮官として、ガツンと命令してやった方がいいのだろうか。そういう衝動が、いつ具現化するか分からないほどの苛立ちを感じる。
そんな2人のこの星の住人を引き連れて、ショッピングモール内に入る。ロレッタが、お約束の一言を放つ。
「まあ、まるで戦艦の街のようです!」
そういえばこの元侍女、戦艦の街には行ったことがあるんだよな。確かネレーロ皇子に付き添って、あちこちに行ったと聞いたな。ということは当然、あの店にも……
「おい、まずは腹ごしらえだ。いつもの店に行こうぜ!」
と、レティシアが、いきなりその店に行こうと言い出す。いや、とんかつ屋とは言っていないが、この組み合わせであの店に行かない日など、ありはしない。
「腹ごしらえ、行く!」
カテリーナもやる気、いや、食う気満々だ。で、僕らはいつもの店へと向かう。
店に入ると、とんかつ屋の店主がお出迎えだ。
「い、いらっしゃい……」
が、この店主、明らかに様子がおかしいな。どうしたのだろうか?僕は尋ねる。
「どうした? 見るからに元気ないぞ?」
「あ、ああ、大将。実は、困ったことになってな」
「困ったこと?」
「それよりも、ええと、いつもの座敷でいいかい?」
と、いつもに座敷に通されて、そこでいつもの注文をする。
「……あれ? よくみりゃあそちらの方、ダニエラさんじゃねえんだな。誰ですかい?」
「ああ、彼女はロレッタと言って、ペリアテーノの人だが」
「はぁ……ペリアテーノの、ですか」
なんだかいちいち元気がないな。気がかりだ。僕は店主に尋ねる。
「何かあったのか? さっきから妙に様子がおかしいぞ」
「ええ、正確には、これから何かがあるところなのですけどねぇ」
「これから? どういうことだ?」
「実はですねぇ……」
店主から明かされたのは、明日の話だった。明日の朝早く、ペリアテーノの宮殿に出向くことになったということだ。
「宮殿? なんだって、そんなところに?」
「いえ、そこで行われる社交界の会場に、うちの味噌カツを出したいってラヴェナーレ様がおっしゃるんですよ」
「なんだ、名誉なことじゃないか。何を悲観するようなことがあるんだ?」
「いや、俺はそんな高貴な場所に行ったことなんですぜ? しかも、その場の参加者というのが大問題で」
「大問題? で、誰なんだ、その参加者というのは」
「それが、皇帝陛下なんですよ、大将」
いきなり帝国最上位の大物との対面をすることになってしまったということか。なるほど、それは緊張して当然だ。
「ですが、俺はこの帝国の習慣も作法も知らねえですし、何かとんでもねえ失態をやらかしたらどうしようかと、昨日あたりから寝られなくてよ」
「あー……それはそうだろうな。いきなり皇帝陛下直々に、味噌カツを振る舞うのか」
「いや、うちのカツ自体は既に召されているんだよ、陛下は。ただ、今までは宮殿の炊事場を間借りして納めていたってだけで、それが今度はいきなり直接ご対面だ。どうやってお出しすりゃいいのかも分からねえし、相談する相手もいねえしで、困っちゃってよ」
味噌カツを作っていたら、皇帝陛下と対面することになった。ありのままをいうと、こういう状況か。混乱して当然だな。しかし、僕もこの国の皇室の礼儀作法に詳しい訳ではない。どうアドバイスすればいいのか……
「あの、私、分かります」
と、そこで声を上げたのは、ロレッタだった。
「……あの、あんたは……」
「私、ネレーロ様の侍女だった者で、ロレッタと申します」
「えっ!? ネレーロ……皇子の、侍女?」
「はい。つい最近まで、皇室に仕えておりましたから、礼儀作法ならば一通り、心得ております」
「ああ! そういえばあんた、ネレーロ皇子のおそばにいた人だ! 思い出した!」
よく覚えているな、そんなひとときの出来事のことを。それだけ印象的だったということか。
「陛下の社交界なら、私も何度もネレーロ様と共に足を踏み入れたことがございます。陛下に料理を差し上げる前に、まず毒見役がその料理をいただくことになっております。その時の料理の渡し方ですが……」
「おお、なるほど!」
いきなりとんかつ屋で、皇室の社交会セミナーが始まってしまった。しかし、さすがに皇子の侍女をやっていただけあって、細かな礼儀作法まで心得ている。さっきまではただの贅沢娘としか見えなかったが、これほどまでに頼れる人物だとは思わなかった。
「いや、ありがたい。だが、やっぱり一人じゃうまくやれる気がしねえな……なあ、あんた。もしよければ明日の社交会、一緒にきてくれねえかな?」
「えっ!? 明日ですか!?」
「いや、やっぱり無理か。そうだよなぁ……ネレーロ皇子の侍女だからなぁ」
不意に飛び出したこの一言。僕はそれを聞き逃さなかった。僕は店主に提案する。
「ちょうどいい、こいつを雇って欲しいんだ」
「えっ!?」
僕のこの一言があまりに意外だったのか、店主は一瞬、言葉を失う。
「……いやあ、大将よ、いくらなんでも、とんかつ屋が侍女を雇っちゃダメだろう」
「大丈夫だ。もう彼女は侍女ではない。それに今、ロレッタの就職先を探していたところなんだ」
「ええっ! それは本当かい!?」
まさかいきなりロレッタの引き取り先が見つかるとは思わなかったな。実にタイミングよく、とんかつ屋の店主が皇室の内情に詳しい人物を求めていたものだ。これで店主も明日は安心だし、僕もやっかい払いができるというものだ。ウィンウィンだな。
店主の喜びようは、料理にも現れる。いつも以上にサクサクと歯応えのある衣に包まれたトンカツに、甘辛の味噌ダレがよく合う。レティシアはもちろん、ロレッタもカテリーナも、この7000光年彼方から伝えられたこの食材に舌鼓を打つ。
ところで、ロレッタの住処も同時に見つかった。たまたまこのショッピングモールでは、現地人の雇い入れ運動を展開していて、雇った人のための住処も確保していた。なんと、運のいいことだ。
僕とレティシアは店主とロレッタに手を振り、とんかつ屋を後にする。で、カテリーナをいつものフードコートに連れて……行こうかと思ったが、カテリーナは先週立ち寄った、あの喫茶店に行きたいと言い張る。
カテリーナも、少しづつだが変化しているんだよな。今回は店が変わっただけだが、いずれこの店に行く相棒ができて、僕らから離れていく日も来ることだろう。
とんがり帽子に古風な服、茶色のマントを身につけるこの痛い娘が傍にいなくなる時のことを思い描いたら、僕の心にふと寂しさがよぎるのを感じた。




