#143 突発
『随分と、潔かったじゃないか』
「はぁ……」
僕はいきなり、第1艦隊総司令官、コールリッジ大将に呼び出される。降伏した連盟軍と別れ、第1艦隊の横を通り過ぎようとしたら、大将閣下直々に通信を受ける。
『まあ、安心したまえ。別に責めたりはせんよ。我々も戦時条約を批准しとる以上、あの対応は至極真っ当だ』
「はっ、おっしゃる通りです」
『だが、あそこは連盟軍の及ばぬ場所。ならば、その気になれば100隻程度、特殊砲撃にて始末することも可能だったのではないか?』
「いえ、そのような考えには至りませんでした。我々の目的とは、あまりに反する行為だからです」
僕は思わずムッとしながら反論する。が、コールリッジ大将はこう続ける。
『その通りだ。私とて、貴官と同じことをしただろう。しかし、上手いこと考えたものだな、戦艦にくくりつけて、目隠ししたまま運んでくるとは』
「それは、航路を知られるわけにはまいりませんから。」
『そうだな……ところで、その連盟軍の指揮官は、どんな人物であったか?』
「はい、極めて冷静沈着、感情に流されることのなく、先の手を考えつつ状況判断を行う人物。僕にはそう見えました」
『なるほど。でなければ、1発も撃たずに降伏など、するわけがないだろうな。連盟軍にしては珍しいタイプの人材だ。貴官の配下にも、加えてやりたいところだな』
これは皮肉で言っているのか、それとも本心なのか?確かに、そういう冷静沈着な戦隊長が一人くらいは欲しいものだな。うちにいるのは、猪突猛進型か発狂型、反抗期まっさかり、シロップ好き、そして重機に乗って戦隊を放り投げるタイプ、誰一人として、冷静沈着とはとても言い難い。
ジラティワット少佐が唯一、冷静沈着型の士官だな。早く出世させて、戦隊長に格上げした方がよさそうだ。コールリッジ大将との会話を通じて、僕は考えさせられる。
「では大将閣下、我々はこれより、地球1019へと戻ります」
『うむ、承知した。航海の安全を祈る。では』
敬礼しつつ、通信を切るコールリッジ大将。これをもって、ようやく連盟軍降伏に関する軍務のすべてが完了する。僕はシートにどんと腰掛ける。
「お疲れさまでした」
ジラティワット少佐が、僕にねぎらいの言葉をかける。
「いや、少佐のアイデアがなければ、こうも穏便に事は収まらなかっただろう。感謝する」
「いえ、私のやったことなど、単なる思い付きです。あれが最善であったかどうかも分かりませんし」
いや、あれはとりあえず、最善だっただろうと僕は思っている。ああでもしなければ、彼らの艦を破壊した上で、中立星経由で帰す方法しか思いつけなかったかもしれない。
ただ、航路の秘密は守れたものの、いくらか情報が漏れてしまった。まず、我々の艦隊が地球001の第8艦隊であるということ、僕が指揮官であること、そして僕に2人の妻がいて……まあ、これはばれてもたいして影響はないか。
地球1019の存在と姿も知れてしまった。もっとも、こればかりはたいして意味はないだろう。中立星を通じて、地球1019の存在自体は知れているわけだし、そもそも別銀河にある地球型惑星の存在が知れたところで、そこにたどり着く方法が分からなくては意味がない。
しかし、倍の半径の地球など、ここにはない特徴を持つ惑星だ。関心を持たざるを得なくなるだろう。もしかしたら、あのゴーレム山の上に浮かぶ浮遊船などの「原生人類」に関する情報も、伝わっているかもしれない。
そういえば、ダニエラが思わずビスカイーノ准将の前で「賜物」という言葉を口にしていた。おまけにレティシアが怪力魔女として、旗艦0001号艦に乗り込んでいることも知られてしまった。あれをどう解釈されるか、そちらの方が気がかりだ。
とはいえ、今さら口封じなどできない。仮にこちらの機密に迫る結論を得たところで、彼らが何かできるものではない。
「ジラティワット少佐、全艦に伝達!前進半速、地球1019に直行する!」
「了解!全艦に伝達します!」
少佐はそういうと、そばにいたヴァルモーテン少尉に合図を送る。少尉は敬礼し、すぐさま電文を入力する。
しかし、なんだかよく分からない茶器を抱えたまま、器用に入力するものだ。どうしてわざわざツボや茶器を抱えていないといけないのか、僕には全く理解できない。
が、その茶色の茶器を見て、僕はふと思い出す。
「ああ、そうだ、リーナを呼んでくれ」
「えっ?リーナさんを?何をなさるのです?」
僕は、ジラティワット少佐に命じる。
それから、数時間後。
僕らは地球1019手前、500万キロの位置にいた。
「なあ、カズキ殿よ。なぜ、こんなものをわざわざ連れてくる必要があったのだ?」
いぶかしげな顔で尋ねるリーナ。
「いや、地球1019に来た目的が、魔物を含む瘴気の排除と、それらの謎の解明だからな。せっかくだから、こいつらも解明しておこうかと思ってな」
「ふーん、そういうものか……」
そう、僕はリーナに頼んで、あの「岩の艦隊」を随伴させた。これを軌道上に展開しておき、エルナンデス隊あたりに調査させようかと考えた。
あれも、謎の存在だ。どうしてエネルギー補給なしにあれほどの砲撃が可能なのか?この宇宙の物理法則は、どうなっているのか?まったくもって、謎だらけだ。
こうなったら、100隻の内の一つくらい分解して、中を調べることにしよう。何らかの技術的解明がなされたなら、この第8艦隊が持つ機関や武器よりも、さらに発展したものが作れることは間違いない。
いや、武器への転換はあまり望ましくないかな。あまり突出した技術というやつは、かえって地球001内部の武闘派を刺激しすぎてしまう。この第8艦隊の持つ武器ぐらいが無難だ。
「……といっても、あれに手を出すということはつまり、パンドラの箱に手を出してしまうことになるのかもしれないな……決して、開けてはならない、パンドラの箱に」
僕は、ぼそっとつぶやく。するとヴァルモーテン少尉がそれに猛然と突っ込む。
「提督!パンドラの箱ではありません!パンドラのツボです!」
なぜ、そんなことにムキになる?いや、別にどっちだっていいだろう。些細なことだが、ツボマニアとしては、気になるのだろうか?
「あと1時間ほどで、ヘルクシンキに到着いたします。」
「そうか。それじゃ少し、席を外す。万が一、何かあったら、艦内放送で呼び出してくれ」
「はっ!了解いたしました!」
僕はジラティワット少佐に言い残し、艦橋を去る。
そうは言ったものの、そうそう何かが起こるわけではない。つい先日、連盟軍がワープアウトしたばかりだ。あんなことがしょっちゅう起こるはずがない。
で、僕とリーナは、エレベーターを降りる。僕は部屋に向かおうと6階のボタンを押すが、リーナは食堂のある8階を押す。
「なんだ……また食堂か?」
「文句あるか?腹が減っては、戦さはできぬ!」
いや、二重の意味でおかしいぞ。別に戦さをやるつもりはないし、お前、さっき食べたばかりじゃないのか?
「ということだ、カズキ殿も行くぞ!」
「えっ?いや、おい!」
が、リーナに手を引かれて、僕まで食堂に連れ込まれる。リーナよ、どうして僕も行く必要があるのだ?僕はレティシアのところに行きたいんだが……
「おう、カズキ!リーナも来たか!」
だが、そこにはレティシアもいた。なんだ、お前、部屋にいるんじゃなかったのか?
「レティシア、お前てっきり部屋にいるものだと思ってたが」
「んなこたねえだろう。腹が減っては、戦さはできねえっていうじゃねえか」
こいつもリーナと同じことを言い出した。なんだそれ、また戦さでも起こるというのか?こんなところで、妙なフラグは立てないで欲しいな。
が、今のところ、何もない。連盟軍が出てきたとか、見知らぬ戦闘衛星が攻撃してきたとか、そんな気配すらない。そんなものが接近しようものなら、リーナが呼び寄せたあの「岩の艦隊」が黙っちゃいない。
「なんですか、提督。こんなところまで来て、変態を振り撒かないでください」
グエン少尉が僕に苦言を呈するが、僕はまだ何もしてないぞ。ただ食堂に現れただけだ。もはや存在するだけで、文句を言われてしまうのか、僕は。
が、グエン少尉の向こうには、カテリーナとザハラーがいる。この2人がここにいて、何も食わないはずがない。
「なんだ、カテリーナよ。お前、今日はあの腐った豆ご飯ではないのだな」
リーナの問いかけに、うなずくカテリーナ。そういえば、この2人が会話するところを見たことがないが、あの調子で上手く話せてるんだろうか?
僕はさっき食べたばかりだから、お茶だけもらって席に着く。リーナは……おい待て、なんだあの量は?リーナよ、いくらお前でも、そんなに食えるのか?
「なあ、リーナよ」
「なんだ!」
「……そんなに食えるのか?」
「いつも通りの量だ。問題ない」
そう言ってしまえばそうなんだが、それでも毎回、心配になる。特に今日は多い気がするぞ?どうなってるんだ。まさか、あの岩の艦隊を呼び寄せるのに、力でも使ったのか?
で、このままがつがつと食事をするリーナとレティシアを眺めながら、僕はヘルクシンキ到着まで過ごすつもりでいた。
が、突然、緊迫した艦内放送が流れる。
『提督!ヤブミ提督!至急、艦橋へ!』
いつになく、険しい口調だ。僕は慌てて立ち上がる。
「な、なんだ?カズキ、何があったんだ?」
「分からない、が、何かあったな」
まさかとは思うが、また連盟軍が現れたのか?しかし、それならば敵艦隊発見と、戦闘準備の放送が先にかかるはずだ。だが今の放送は、僕を名指しで呼び出しただけだ。しかし、そんな呼び出し方の緊急事態は、まったく想像もつかない。
「あ、ヤブミ提督!」
慌てて艦橋にたどり着くと、辺りは騒然としている。僕はジラティワット少佐に尋ねる。
「何が起こった!まさか、敵か!?」
「いえ、地球1019、ヘルクシンキ司令部より緊急通信です!」
「ヘルクシンキ司令部から?読み上げろ」
「はっ!岩の浮遊船が突如、機関始動し加速を開始、現在、衛星軌道上に向けて進行中、以上です!」
「は?浮遊船って、あのゴーレム山のそばで浮いているあれか?」
「はい、あれです」
確かに、緊急事態だ。たまたまこの近くに、僕らの艦隊がいる。あの船、ただの岩の塊かと思っていたら、機関が搭載されていたのか?そんなもの、どこにもなかったぞ?
が、異常事態はそれだけでは収まらない。今度は、我々の周りにいる「岩の艦隊」が動き始める。
「岩の艦隊、100隻、一斉に加速を開始!」
「な、なんだって!?おい、リーナを呼びだせ!」
「はっ!」
おかしいな、今、リーナは食堂でピザときしめんを食べているところだ。にもかかわらず、あの100個の岩の塊は突然、加速を開始し始めた。
「おい、なんだカズキ殿!今、飯を食っている……」
「それどころじゃない!岩の艦隊が100隻、突如加速を開始した!」
「なんだと!?私は何もしていないぞ!」
「とにかく、呼び戻せ!何か悪い予感がする」
「分かった!呼びかけてみる!」
「ジラティワット少佐!」
「はっ!」
「艦隊を前進させる!横陣形に転換しつつ、最大戦速!」
「了解、横陣形にて、最大戦速!」
リーナは窓際で必死に呼びかけているようだが、まるで応じる気配がない。レーダーサイト上には、あの100隻の塊と、そして地球1019から上がってきた、あの浮遊船が映る。
その両者は、まさに最短距離で互いに接近しつつある。距離は大体、130万キロまで接近しつつある。
「ジラティワット少佐」
「はっ!」
「貴官は、どう思う?」
「どう考えてもこれは、軍事行動です。互いに接近し、まさに対峙しようとしつつあるようにしか見えません」
「そうだな……やはり、そうとしか見えないよな」
ジラティワット少佐も薄々、あの両者が戦闘態勢にあるのを感じたようだ。だが、どちらもこの星、もしくは周辺にあった原生人類のものと思われる遺跡。
どうしてそれが、戦闘態勢のまま互いに、接近し合うのか?
「両者、まもなく50万キロです!」
「あの両者までの距離は!?」
「岩の艦隊までは70万、浮遊船までは120万キロです!」
随分と引き離されたな。だが、我が艦隊は新型機関を搭載しているんだぞ?その艦隊が全力で追いかけて、追い付かないどころか引き離されるなど、とても受け入れられ難い事実だ。
「おい、『オオアタケ艦隊』!私の声が聞こえないのか!?」
が、もはや両者の接近を阻止できない。リーナの言うことすら聞かない。さらに接近しつつあるその岩の艦隊は、まさに横一文字に並んでいた。
それが、艦隊戦闘の構えであることは、疑いない。
「双方の距離、45万キロ!」
確か、あの岩の艦隊の射程は、我々と同じ45万キロだったはずだ。ということは、そろそろ発砲開始か?と思った矢先、予想通りの報告が飛び込む。
「高エネルギー反応、多数!発信源は、あの岩の艦隊100隻!」
その矛先には、地球1019を発進した浮遊船がいる。その浮遊船1隻に向かって、ついにあの岩の艦隊は発砲する。
「岩の艦隊の、発砲を確認!目標は、浮遊船の模様!」
「弾着は?」
「はっ!全弾命中!」
なんてことだ。全弾命中だと?たかだか3200メートルほどの岩の塊に向かって、100隻の砲火が集中する。あんな岩では到底、もつはずがない。
いや、はずだった。
「浮遊船、健在!ほぼ無傷の模様!」
「はぁ!?なんだって!?あれだけの砲を食らって、無傷なのか!?」
「依然として前進中!第2射、発射されます!」
どういうわけか、ほぼ我々の砲撃と同じ威力のあの岩の艦隊100隻の砲撃を、はじき返したらしい。つまり、我々と同じバリアシステムが搭載されているということになる。いや、それ以上かも。
しかし、執拗にあの岩の艦隊は砲撃を続ける。受ける浮遊船。光学観測の画像が映し出されるが、あの浮遊船が、奇妙な防御姿勢をとっていることが分かった。
甲板かと思われた、あの真っ平な面を斜めにして、岩の艦隊からのビーム束をはじき返している。これまで、バリアシステムによる防御というものは見たことがあるが、物理的にビーム光をはじくなど、見たことも聞いたことも、想像すらしたこともない。どういう仕組みになっているんだ、あれは?
だが、あれでは防戦一方だ。反撃がなければ、岩の艦隊からはいいように攻撃され続ける。いずれあの甲板も、撃ち抜かれるだろう。
と思った矢先、思いがけない報告が入る。
「ふ、浮遊船から、高エネルギー反応!」
「なんだと!?どの部分だ!」
「分かりません、ですが、明らかにエネルギー反応値と温度が上昇しつつあります!」
今度は、浮遊船から高エネルギーが発せられる。それが示すところは、反撃だ。だが、あの船体のどこに、砲身があるというのか?
僕は、光学観測の映像をじっと見つめる。この先、見せるであろう、今のこの疑問の答えを、僕は見落とすまいとモニターを凝視する。
しばらくの間は、あの奇妙な甲板で防戦の構えを崩さない。岩の艦隊からの間断なき砲撃に、さすがの浮遊船もなかなか反撃には出られない。
が、一瞬、そのビームの雨が止んだ。その瞬間を、あの浮遊船は見逃さない。
急速に下方へ移動しつつ、船体を起こす。そしてその矛先は、あの100隻の岩の艦隊へと向けられている。
しかし、どこから攻撃をするんだ?どう見ても、山から切り崩した、ただの岩の塊としか……
が、一瞬僕は、目を疑う。
その岩が真ん中から二つに分かれ、中心部から真っ黒な砲身らしきものが顔をのぞかせる。
直径は、ちょうど戦艦キヨスに搭載された大型砲並みの100メートルはあると推定される。その先端部は、すでに青白く光っており、充填が完了していることを示す。
「まさか……発砲する気か?」
と、そう思った矢先だ。
まさに、その砲が火を噴いた。
青白いビームの光が、100隻の左翼側に着弾する。あっという間に光に包まれる、その岩の艦隊。
だが、恐るべきことにその浮遊船の砲火はすぐには消えない。
そのビームの束を、まるでサーチライトのように振り回し、横一線に並んだ岩の艦隊をなぞり始める。
それが艦隊右翼側に達したところで、ようやく光は消える。
その間、約10秒。
僕は、その砲撃と持続時間に、思わず身震いがした。
「おい、なんだあれ……まさに、特殊砲撃そのものじゃないか……」
すでに砲撃を終えた浮遊船は、再び船体を戻しつつある。砲身は再び、岩の割れ目の間に隠れていく。やがてそれは、上面が異様に平らなただの3200メートルの岩の塊へと戻る。
一方の岩の艦隊は、どうなったのか?
「い、岩の艦隊、全隻……消滅」
タナベ大尉の報告が、静かに艦内に響き渡る。それを受けて、オオシマ艦長が叫ぶ。
「砲撃戦用意!」
「はっ!砲撃戦用意!」
僕は、オオシマ艦長に尋ねる。
「艦長、なにゆえ、砲撃戦に備えるのか!?」
「あの岩の艦隊を倒してあれは、今度はこちらに向けて撃ってくるかもしれません。しかも相手は、我々と同じ、持続砲撃ですよ」
「そ、そうですね……が、戦闘は極力回避する。ヴァルモーテン少尉!全艦に伝達、浮遊船の右側面に回り込みつつ、接近する!」
「了解!」
相変わらず、妙な茶器を抱えたまま、全艦へ命令を伝える少尉。第8艦隊は、その場で大きく反時計回りに回りつつ、浮遊船への接近を開始する。
が、浮遊船は動かない。我々が右側面をとらえても、回頭する気配すらない。ただの小惑星が、ぽつんと宇宙空間に浮かんでいるだけだ。
「動きがないな……」
「はい、ただの岩のようですね」
「だが、接近と同時に、攻勢に出るかもしれない。」
「そうですね。ここは100隻を接近させて、様子を伺うのが得策でしょう」
「そうだな……で、どの隊がいいか?」
「そうですね……回避能力が高い、メルシエ隊がよろしいかと」
「そうか……ならば、メルシエ隊に連絡。浮遊船右側面へ接近、攻撃の気配あれば、直ちに回避せよと」
「はっ!」
メルシエ隊が、その船体に接近するも、何の変化もない。さっきまで砲撃を放っていた相手とは思えないほどの、静けさぶりだ。
「提督、いかがいたしましょうか?」
「うーん……動かない以上、放置するしかないだろう。後日、調査するとして、今は地球1019へ向かう」
「はっ!」
実に奇妙な戦闘を、目の前で見せつけられた。
が、あれは一体、なんだったのか?いや、それ以前に、あの岩の艦隊と浮遊船は、仲間ではなかったのか?最初から、敵対する者同士の動きだ。理屈は分からないが、互いに捕捉し、攻撃した。この事実からは、何が分かるというのか?
もやもやとした気持ちを抱えたまま、僕は、そして第8艦隊は、地球1019へと着陸する。




