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お礼のお弁当


 「づがれだ…」


 「湊っちおつー」


 「おつーん…」


 講義が終わり、机に突っ伏する。

 

 教授の講義が疲れたわけじゃない。

 昨日の合コンと言う名の男だらけのカラオケ大会からの飲み会のせいだ。


 岳人に騙されて、湊ホイホイに引っかかり、合コンと思ってワクワクしながらカラオケ屋に行ったが、実は合唱コンクールでしたー!というオチだった。

 その後、テンションの上がった俺たちは2次会に行き、帰宅したのは午前様。

 奥さんがいたら「あなたはいいですね。私は家であなたを帰りを待っていましたのに」とグチグチ言われただろう。

 

 おかげで睡眠時間は3時間。

 さすがに20代と言っても3時間はキツイ。

 講義中に寝ようかと思ったが、教授の講義で寝ようものなら後で何を言われるか…。

 幸いにして、本日は4コマしかないので助かるけど…。

 昼は寝るか…。

 飯食ったらそっこー寝てやる。



 「ガッキー」


 「………」


 「死んでるっ!?」


 「寝てるだけだな」


 横にいるガッキーに声をかけるが、返事が返ってこなかった。

 人型汎用決戦兵器であるガッキーが!?

 まさかケーブルが接続されていなくて稼働限界か!?

 

 「友樹は眠くないのかよ」


 「ねみーよ」


 「まったく眠そうに見えないけど」


 「これ塗ってる」


 「ん?」


 友樹が出したのはメンソレータムのスッキリする軟膏だ。

 これをどうするの?

 これで眠気飛ぶのか?


 「どうすんの?」


 「目の下に塗ると眠気が飛ぶ」


 「はぁっ!?」


 スースーするメンソレータムの軟膏を目の下に塗るっ!?

 頭おかしいんじゃないのか!?

 これ目の下に塗るもんじゃないだろっ!?

 筋肉痛とかの個所に塗るやつやで!


 「物は試しだな」


 「嫌だ!絶対に嫌だ!拒否する!」


 このままではマズイ!友樹の玩具にされる!

 俺は逃げようとするも…。


 「が、ガッキー!?」


 「やれ友樹」


 「おう」


 いつの間にか起動したガッキーに羽交い絞めにされ…。


 「大丈夫だ。痛いのは最初だけだ」


 「やだ…っ!そんな体験求めてない!」


 「ほーれほれ」


 「ぎゃああああああああああああ!?目が!?目がああああああ!?」


 眠気スッキリ。

 目がいてぇ…。











 「今日は散々だ…。厄日だ…」


 友樹にメンソレータムの軟膏を濡れら、洗い流しに行ったが、逆効果で逆にもっと地獄を味わうはめになった。

 眠気なんてものは遠く彼方へ吹き飛び、午後も目の痛みに耐えるという苦行だった。

 

 眠いなら、とゼミの教授に渡されたチョコレートを食べるも、カカオ99%という地獄の代物だった。

 苦過ぎてヤバかった…。

 舌がおかしくなり、昼飯は食っても苦くて苦くて…。

 残りの1%は何が入っているんですかね!?


 止めの一発は岳人だ。

 岳人から「煮卵失敗した」と連絡があった。

 のおおおおおおおおおおお!

 俺の煮卵!

 岳人の煮卵さえあれば、白米だけで生活できるのに!

 まさか岳人が失敗するとは…。

 今日の晩飯がなくなった…。

 


 「今日は弁当にでもするか…」

 

 帰り道に弁当屋が目に入った。

 料理を作る気力もないし、今日は弁当で夕飯を済ませよう。

 

 「いらっしゃいませ…」


 「うーん…」


 メニュー色々あるな。

 どうしよう。

 昼飯もほとんど食えなかったし、ガッツリ系にするか…。


 「すみません。大盛の生姜焼きコンビ弁当お願いします」


 「はい。大盛の生姜焼きコンビ弁当ですね。あ…」


 「ん?」


 レジの女の子に目を向ける。


 「あの…」


 「はい?」


 「昨晩はありがとうございました」


 「え?」


 昨晩?

 この女の子と何かあったっけ?

 うーん…。

 

 「あの…。昨日助けていただいた者です…」


 「あっ!」


 昨日男に絡まれていた女の子か。

 言われるまで気づかなかった。

 夜だったし、酔ってたし…。


 「無事に帰れました?」


 「はい…」


 あの後は無事に帰宅できたみたいだ。

 女の子があんな道を通るもんじゃないのに。


 「…金額は?」


 「あっ!?お、お代は大丈夫です…。昨晩のお礼です…」


 「それは悪いですよ。払います」


 女の子と払う払わないで揉めていると、厨房からおばちゃんが出てきた。

 訳を話すと、そういうことなら…と弁当をサービスしてくれた。

 お金じゃない。量をだ。

 これでもか!というほどの量だ。


 「桜華ちゃんが助けられたならこれくらい安いもんさ」


 「すみません…」


 「いいんですか?」


 「大学生だろ?これくらい食べれなくちゃ生きていけないよ!」


 店主のおばちゃんから弁当を受け取り、金額は通常の金額だった。

 まさか女の子を助けたお礼が弁当に化けるとは…。

 ありがたくいただこうと思う。


 「またのご来店をお待ちしております…」


 女の子から見送られ、店を後にする。

 美味しかったらまたこよう。

 散々な一日だったけど、最後は良いことあったぜ。

 神様ありがとう!


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