ついに…!
「湊くん…」
「●●…」
「優しくしてね…?」
「●●…っ!?」
「はっ!?」
夢…だと…?
あと少しで性交者になれたのに!
卒業できたのに!!
なんで良いところで目が覚めるんだよ!!!
昨日は岳人と飲んで、酒で高揚したまま寝た。
気分良く寝たため、見た夢も最高だった。
だが、夢だった…。
なんで本物じゃないんだよ!
ていうか相手の女の子誰だよっ!?
思い出そうにも思い出せない…。
くっそ…っ!
今日は2コマ目からだし、もう少し寝てもいいか。
もう一回寝たら同じ夢見れるかもしれないしな。
二度寝しようと横になり、俺はスマホの時間を確認する。
すると…。
「10時いいいいいいいいいいっ!?」
やべぇ!
起きろ!!
10時過ぎてるっ!!!
講義は10時45分からだから時間がない!
寝てる場合じゃねぇっ!!
急げ!性交者の夢見てて遅刻したんなんて恥ずかしくて言えねぇ!!
やべえええええええ!!!
「湊っちギリギリー。しかも寝ぐせやば」
「はぁはぁはぁ…」
ギリギリ間に合った。
開始3分前。
これでもかと急いできた。
講義の教授は厳しいことで有名な教授だから、遅刻なんてした日には…。
「悪い亜里沙。ゴム持ってないか?」
「ゴム?コンドーさんでいいの?」
「ちちちち、ちげーし!」
「湊っちウケるー!はい、ゴムね」
「さんきゅ」
ギャルっぽい見た目の松ヶ瀬 亜里沙。
俺の大学は比較的真面目なやつが多い法学部だが、ギャルっぽい見た目の亜里沙とは仲良くさせてもらってる。
最初はなんだこのギャルは?学部間違えてるぞ!と思ったけど、見た目に反して中身は頭が良い。
どうやら、伯父さんの影響で法律を学ぶために入ったようだ。
遅刻しそうだったこともあり、風呂に入る暇もなく、寝ぐせだらけの髪の毛を亜里沙から貰ったゴムで一纏めにする。
女の子がコンドーさんとか言うんじゃありません!
お母さん怒りますよ!
「ねぇねぇ、ナニしてたの?」
ナニって…何もしてねーよ!
ナニをする前に飛び起きたわ!
これでも未だに未遅刻未欠席だからな!
代返はしてもらってないぞ!
「ナニもしてませーん」
「嘘。湊っちイカ臭いよ」
「だだだだだ、誰が童貞じゃ!?」
「そこまで言ってないしー」
自家発電してねーし!
童貞じゃねーし!
リア充だし!
つーかリア獣だし!
「うぃーす」
「うぃ」
講義も終わり、学食で昼飯を食べていると、席の向かい側に岳人が座った。
相変わらず女の子がチラチラお前のこと見てるぞ。
羨ましいな…。
一人別けてくれ!
「寝坊したのか?」
「うっせ。…起きたら10時過ぎてた」
「あれだけ目覚ましかけとけつったのによ。「俺は目覚ましなんて不要だ!」とか言って消えてったからな」
「返す言葉もねぇ…」
さすが俺の親友だ。
俺が髪の毛をセットしないで結んでる時点で寝坊したと気づいている。
10年以上の付き合いは違うな!
だけど…。
なんで目覚ましセットしてくれないんだよっ!?
お前なら俺がセットし忘れて寝ることくらいわかるだろ!
「ガクトっち今日もイケメン」
「岳人な」
「はいはい。細かいこと気にしてると湊っちみたいにハゲるよー」
「は、ハゲてねーし!」
「ようハゲ」
「ハゲっち」
今日のラーメンはなんだかしょっぱい…。
おばちゃん塩入れてない?
入れてない?
クソ…涙でしょっぱいのか…。
遅れてきた亜里沙と岳人…。
美人と美女でいいなぁ。
俺にも少し別けてくれよ。
いいだろ?減るもんじゃないんだしよ。
「玲央と優駿は?」
「アイツらは今日は外」
「ふーん」
「チャーシューいただきっ」
「んじゃ俺も」
「おいいいいいいいいっ!?」
俺のラーメンがいつの間にか具無しラーメンにっ!?
お前ら!自分のおかずがあるだろ!
俺のラーメンから奪ってんじゃねーよ!
玲央と優駿は経済学部の仲のいい奴らだ。
玲央も優駿もイケメンなんだよなー。
類は友を呼ぶってね。
ん?そうすると俺もイケメンじゃね?
岳人の親友なんだから俺もイケメンだ!
「可哀相だから私のキャベツあげる」
「んじゃ、俺も絞ったレモンやるよ」
「嬉しくねーよ!」
そのキャベツはコロッケの下になってる千切りキャベツじゃねーか!
レモンもから揚げに絞った搾りカスじゃねーか!
ふざけんな!お前らのコロッケとから揚げよこせ!
等価交換だ!
「えい」
「目がー!?」
「暴れるなよ」
亜里沙にレモンを目にかけられた。
絞りカスとは思えないダメージを受けた。
某特務大佐の気持ちがわかったぜ…。