成功者になりたいっ!!
以前投稿しました「成功者になりたいっ!」の連載版となります。
プロットが纏まりましたので連載します!
完結まで毎日更新します(/・ω・)/
「俺は成功者になりたいんだよっ!」
俺は大河内 湊。
20歳の大学生だ。
俺は切実な悩みを親友であり、悪友でもある山脇 岳人に相談している。
そう。
俺は成功者になりたい。
一度きりの人生だ。
小説などでよくある転生なんてするわけがない。
記憶を持ったまま転生?
ないない。
そんな死後の世界を想像するより、今を生きたい。
今の精一杯生きて、成功したい。
まだ20だ。
成功者になるには、無限大の可能性が秘められている…と思っている。
「またそれかよ…」
居酒屋で俺の対面に座る岳人が嘆いている。
そう、いつものことなのだ。
俺の口癖である「成功者になりたい」は、事あるごとに俺が口にする言葉だ。
それを一番耳にしているのは親友でもあり、悪友でもある岳人だと思う。
「またかよって…。いいじゃねーかよ!俺は成功者になりてーんだよ!」
「はいはい…」
岳人も俺の扱いに慣れたものだ。
小学生から大学までずっと同じだ。
心の友だ。
子供の頃から叫んでいるこの言葉を、岳人は何回耳にしたのだろうか。
1万回?いや、1億回か?もっとあるかもしれない。
耳にタコができると言われるのもご愛敬だ。
「テンプレだと思うけど、聞いてやるよ。なんで成功者になりたいんだ?」
よくぞ聞いてくれた!我が友よ!
聞けっ!
「成功者は性交者だからだ!」
「はぁ………」
岳人が盛大な溜息を吐く。
なんでこれが理解できないんだよ!?
成功者は性交者なんだぞっ!?
性交してなくて成功者になれるわけないだろっ!!!
「お前…。それ絶対ヤリたいだけだろ」
「ちちちちち、ちげーし!!!」
「どもるなよ…」
ちげーし!
性交したいために成功者になりたいんじゃねーし!!
性交したい気持ちなんてこれっぽちしかねーし!!!
嘘だし!めっちゃあるし!!!!
「その性交者だから成功者って意味わかんねーよな」
「理解してくれよ」
「はぁ…。これだから童貞は…」
「どどどど、童貞ちゃうわ!!!」
童貞じゃないし!
嘘じゃないもん!!
湊嘘つかないもん!!!
「湊は雰囲気イケメンなんだから、頑張れば彼女できるだろううに」
「黙れイケメン。誰が雰囲気イケメンじゃ」
悔しい。
目の前の岳人は見事なイケメンだ。
ものの見事なイケメンだ。
親友なのにこの差は酷過ぎる。
神様がきっと設定を間違えているに違いない。
ちなみに岳人はのっと童貞だ。
親友を裏切りよって…。
本能寺の変を起こした光秀の気持ちが分かる。
卒業の知らせを聞いた俺は、岳人の家にカチコミをかけようとしたくらいだ。
「そんなんだから今でも童貞なんだろうが」
「褒めるなよ」
「貶してんだよ」
褒めるでない。
照れるではないか。
実際彼女がいたこともある。
だが、これじゃないんだよな。
付き合って、デートして、チューして…。
いざことに至ろうとするとこれじゃない感がするんだよな…。
「童貞が食わず嫌いしてんじゃねーよ」
「してねーし!」
俺のマイサンが反応しねーんだよ!
一時期マジで不能になったかと心配したんだぞ。
相談した岳人だって腹抱えて笑ってたじゃねーか!
不能じゃなかったけど…。
「成功者になりたいって法学部入れるくらいに頭はいいのにな。なんで恋愛になるとバカになるんだろうな。不思議だよ」
「うっせ。成功者=政治家=元弁護士=法学部だろーが」
「その方程式が成り立つお前の頭のが不思議だわ」
黙れリア充が!
爆発させるぞ!
今の俺なら岳人一人くらい爆殺できそうだ。
俺の目力で岳人爆発しろ!
…うん、しないね。
すみませーん!生追加で。
「だからよ!やっぱり性交者は成功者なんだよ!」
「うるせー!同じこと何回も繰り返してんじゃねーよ。壊れたラジオか」
岳人と居酒屋を後にして、駅へと向かう。
うへーい、ほろ酔い気分だぜ。
「だーかーらー…おっと、すみません」
「いえ…。私も前を見ていませんでしたので…」
岳人に成功者について語っていたら女性とぶつかってしまった。
岳人が聞き流すからいけねーんだろ!
「すみません。酔っ払いが」
「おーい、親友を売ってんじゃないよ」
「いえ…」
岳人テメェ!?親友を売るとは良い度胸だな!
これだからイケメンは…。
外行き笑顔で女の子も簡単に落ちますってか!?
俺だって良いところみせてやんよ!
「おねーさん!」
「…はい?」
「前向いていきましょー!下ばっかり見てると躓いちゃいますよ。ほら、笑顔で」
「え…」
「ほら、笑って笑って。おねーさん可愛いんだから」
「か、かわっ…!?」
俺とぶつかった後も目線が下のおねーさん。
前向きましょ。
前向いて進めば転ばないさ。
「その笑顔最高ですよ。どうです僕と性交者に―――」
「すみません!このバカのことは無視してください!失礼します」
「いてーっ!?」
いてー!
岳人のアホバカイケメン!
良いとことなのに殴るんじゃねーよ!
バカになったらどうするんだよ!
俺の首を引っ張るんじゃねーよ!
俺は猫じゃねーよ!
「ふふふ…。前を向いてか…。久しぶりに笑ったかも…。ありがとうございます」
おねーさんの言葉は俺には届かなかった。
お読みいただきありがとうございます。
誤字脱字報告お待ちしております。
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