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46.隠しパートに隠しキャラ

 RPG系のゲームで女性主人公オンリーとは珍しい。

 それに養女って……。

 私の家名は元より『リリアンタール』だ。

 軟禁される前のロザリアが家名を名乗った覚えはないが、初めてステータスを表示した時点ではすでに『ロザリア=リリアンタール』だったはずだ。


 あの村の人達とは血が繋がってなかったということだろうか?


 5~10歳までのロザリアちゃんが小屋の中で助けてと手を伸ばし続けた相手は、実の姉でも母でもなかったのかもしれない。



 捨て子か何かだったのかな?

 だとすれば、雑草スープと堅いパンでも食事を出してくれた彼らにはもう少し感謝すべきだったのかもしれない。それと同時に私を捜索する公爵様への嫌悪感が募っていく。

 私の力が目当てでも、グルメマスターと近づくための駒としてでも知ったこっちゃない。

 絶対に見つかってやるものか! とまだ見ぬお貴族様に舌を出す。


『本作』がどの作品を指すのかは分からないが、私の人生では私が主役なのだ。いっそこの世界のヒロインにでもなった気分でいようではないか。



 来るなら来いよ! と喧嘩腰になりつつ、次のページへと手をかけた。けれど右下に記された数字は1ページ前よりも7も増えている。どうやら一気に飛ばしてしまったらしいと指を擦りつけるようにめくったのだが、やはり結果は同じ。


 おかしい。

 この本、一体どうなっているのだろうか。

 今度は束を引き裂くように開こうと試みる。

 すると何やら目の前にステータス欄によく似た表示が浮き出てきた。

『ここから先は未解放事項となります。特定のイベント発生後にお試しください』


「ここに来てまたゲーム風になるのか……」

 未解放事項って何?


 この先、私の身に起こることでも書いてあるの?

 7ページで終わる未来って長いのか短いのか全く予想が付かない。


 まぁいいや。

 悩んだところでどうせ特定のイベントとやらが発生するまでこの先を読むことは出来ないのだ。

 とりあえず読めるところから、と初めに戻ってパラパラとめくり続ければいくつかのページで同じような表示が出てきた。

 発生ポイントの共通点はそれが人に対する項目だと言うこと。

 名前とイラスト、所属以外の情報を得ることが出来ない相手が数人。また名前やイラストすら公開されない相手も存在した。

『隠しパート』と章立てされたその項目は、目次にある見出しすらもアスタリスクで隠されているという周到ぶり。隠されたそれが人名だと分かったのは、ご丁寧にも末尾に(隠しキャラ)と書かれていたからだ。


 隠しキャラがいることは隠されていないらしい。

 前世には隠しキャラがいることを売りにしていたゲームもあったし、真相ENDが存在するものもあった。大体2周目以降で特別な選択肢かイベントが発生し、それを突破することで辿り着くことが出来る。


 けれど私の人生は一度きり。

 ある意味人生は二周目だが、世界がまるで違う。

 死んだらリセットされて小屋に戻るというなら話は別だが、少なくとも今世の私にそんな記憶はない。


 つまり隠しパートに隠しキャラとは縁がないと考えていいだろう。


 どうせ隠されすぎてて何がなんだか分からないし。

 そんなことよりもなぜか付いている学園の構内図と隠しアイテム一覧、そして何を基準にセレクトされたか不明の授業一覧に目を通す。

 シラバスに校内図は乗っていたのだが、こちらはなんと場所ごとに隠しアイテムや取得可能スキルまで記されている。食堂の入り口から右にテーブル2つ分横、そこから5席分進んだ座席の裏に『温室の鍵』があるなんて誰も気づかないでしょ……。

 この書物は学園専用ガイドブックのようなものなのだろうか。

 それならもう少しわかりやすいタイトルにしておいて欲しかったのだが、文句を言う相手もいない。一度しまったシラバスとペンを取り出し、書物に書かれたアイテムの場所を記していく。


 もちろん『温室の鍵』のように入手後の使用先が分かっているものはそちらも印を付けておく。

 ちなみに温室は特定のルートを歩くことでたどり着ける隠しスポットらしい。隠されている割に一度たどり着けば二回目以降はストレートに行けるのだから便利なんだか、不便なんだか分かったものではない。


 後で何かに使うかもしれないし、一応解放しておくけど。

 気をつけるべきは校舎内をうろうろしている時に人目を気にすることくらいだろう。

 道順を間違えないように確認しつつ、書き記すと今度は取得可能スキル一覧に視線を動かす。


 こちらはアイテムと違って見つけるのではなく、授業を受けることにより身につくものらしい。


 なんともゲーム的だ。

 めぼしいものはないけれど、授業一覧の説明はシラバスで見るよりもずっとわかりやすかったので参考にさせてもらった。その情報を元にいくつかの受講予定を組み直し、今度こそシラバスを閉じた。




 それにしても取得可能スキルが回復系魔法に偏りがあるのは何か理由があるのだろうか?

 生産系魔法や攻撃系の魔法も取得出来るが、回復系のバリエーションの多さには負ける。


 どれも初級も初級のものばかりだし。

 転生者でなくても取得出来るにしては、魔法が使える人口が少なすぎる。


 意外と冒険者よりも貴族の方が魔法使えるのかな?

 学園で上級生のステータスを見てみようと心に決め、眠りの世界へと旅立つのだった。


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