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初めて刺さる最高の音楽

主人公の使う曲は全てYouTubeで聞くことが出来るので、是非流しながら読んでみてくださいね!


あと、敵キャラの使う音楽は随時募集中です。

TwitterのDMや小説の感想にでも好きな曲を書いてください。

聞いてみて、何か湧き出してきたら小説にします。

曲名と一緒にどんな感じに使えるかなどを書くと採用されやすくなるかもしれません。

竜生歴三百二十年。第一世界でいうところの西暦二千七百五十年。

この世界では今、音楽が発展し、音の波で生活し、戦い、死んでいく。

街中には常に音楽が流れ続ける。にぎわいあふれる街にはjポップ、貴族階級の街には優雅なクラッシックなど種類は様々。

又、戦いの能力に優れた『音楽家ミュージックマスター』として生まれてきた人間は自分の音楽を使い戦争に参戦したり、決闘をしたりする。

しかし、音楽を上手く扱うには相当の訓練が必要なので、学校に通う必要がある。

世界中にある音楽家学校の中で有数のマンモス校『The Inter National Music Master Scool』通称『TM』には今日もたくさんの生徒が登校してくる。

その中に一人、最強とも思われた少年が一人、眠そうに目をこすりながら登校してきている。

彼の名は【ウル・サントラ】。

彼の音楽家としての能力値は最高レベル。

容姿、性格言うことなし。

頭脳、最高。

「はぁ、学校とかくそだりぃ。ったく、俺には音楽の才能なんてねぇんだよ」

彼がそう嘆く理由……それは……。

「ウル・サントラ!」

クラス中に響く先生の声。

「ウル、君は本当に優秀だ。しかし音楽家を目指すのはお勧めしない。君がなぜこの学校に入れたのかは知らないけど、もう今日以降来なくていいよ。永遠の落ちこぼれさん」

クラス中の眼差しが軽蔑になりウルを刺す。

「おい、嘘だろ?」

「嘘? とんでもないさ。いいかい? 音楽家に必要なのは音感、リズム感、記憶力、演奏力、呼吸法。そして最後に『か! しょ! う! りょ! く!』それがないと、TC『Track Card』は手に入らんぞ?」

TCとは、戦うために流す音楽のCDみたいなものだ。音楽家に配布されている『M OUTPUT』というメディアプレイヤーのようなものに差し込んで使う。

先生は厭味ったらしく強調して言った。

そう、彼は尋常ではない音痴なのだ。

カラオケ? 二十点以上出したことないさ。

そう豪語する彼の能力値シートはやはり歌唱力の部分だけぽっかりと抜けている。

誰もが練習を繰り返せばウルの歌唱力は何とかなると思っていた。

しかしそれは間違いだった。

TMに入学して早三年。今年で十七になる彼だが、歌唱の授業のせいで永遠の留年生。

彼は首根っこつかまれて学校を追い払われてしまった。

行く当てもなく延々と街をさまようウル。

両親は遠い小さな村で暮らしている。

東の国のほうで起こっている大きな戦争のせいで物価は上昇しまくり、今じゃ水一杯九百ぺス。

昔は九百ぺスあればそこそこ豪華な昼食がとれただろう。

僕の財布の中身三千ぺス。

水三杯分ほどしか残っていない。

道の端に座り込み体操座りで小さくなる。

冬の夜空の下、歯をがちがち言わせながら小さくなる少年。

しかし、事件は突然起きる。

「大変だー! 世界が崩壊するぞー!」

街の男が叫びながら街を走り回る。

「東の国の戦争で『Break World seed』が使われたらしいぞ!」

「なんだと! 竜生歴百三十一年以来じゃないか!?」

街の人間の会話を盗み聞きしながら情報収集に努める。

「亀裂だ!! 急げ! 逃げ……ワー!!」

黒く深い亀裂が音を立てながらウルに一直線。

「う、うわーーーーー!」

彼は暗く果てしない闇の世界へと落ちて行った。


しばらくして目が覚める。

薄暗い小さな部屋。緑色の草を編み込んだような床。紙でできた横にスライドする扉。上から吊られ揺れる丸い光。

「ごめんねぇ、うちは貧乏だから狭いのよねぇ……」

紙の扉が開きおばさんが現れる。

「坊や、けがはないかい?」

「ここは一体……」

「おや、記憶がないのかい? 困ったねぇ……。 名前は分かるかい?」

おばさんは氷の入った茶色い液体を持ってくる。

「俺は……ウル……ウル・サントラ……。」

「おやまぁ! 外人さん!? どうりではっきりした顔たちなわけだわ! にしても日本語上手ねぇ!」

おばさんは枕元に液体を置き、正座をする。

「二ホン……?」

「おや、本当に思い出せないのかい……?」

おばさんは困ったように顎を撫でる。

彼の目にふと入り込んでくるカレンダーの西暦二千七十三の文字。

「ここは……第一世界なのか!?」

ウルは勢いよく布団から飛び出す。

「第一世界? もしかしてあなた異世界人さんなの?」

おばさんは驚きの表情を示す。

「おばさん、異世界のこと知ってるんですか?」

「えぇ、ちょっとだけね……。昔主人がよく第二世界って言っていたからね……」

おばさんは悲しそうに背後の仏壇を見た。

彼が黙っていると

「じゃあ君は異世界に返る方法を探しているのかい?」

「い、いえ、それが……」

ウルは世界が崩壊したことを話した。

「おやまぁ、それは災難だったわね……。もし行く当てがないならうちに泊まっていきなさい!」

「ほ、本当ですか!?」

ウルは気持ちが楽になった。

「それと……ウル君だっけ? 何歳?」

「十七」

「それは! 学校に行かせなくちゃ!」

「えっと……おばさん、そこまでしなくてもいいよ……見ず知らずのましてや異世界人になんて……」

「子供が遠慮してるんじゃないわよ! それにね、私言われたの。あの人に『異世界人に会ったら助けてやれ』ってね!」

彼は非常に驚いた。

第二世界では第一世界の情報は出回っていたけど、まさかこちらの世界にも知られていたなんて……。

「ありがとうおばさん……ちょっといろいろ整理したいから外に出ともいいかな……」

「いいわよ! 行ってらっしゃい!」

彼はゆっくりと立ち上がり家を出た。


見慣れない光景が眼下に広がっていた。

石造りではない建物群。

ゆっくりと歩き回る彼の前に突如最高の音楽が流れこむ。

「!? なんだ!?」

音に沿って行くと姿を現したのはクラブ。

「これは……第一世界にしか存在しないといわれるEDM!?」

それを聞いた瞬間、調べようと左腕に浮いているMO(M OUTPUT)を取り出す。

「M、EDMを調べてくれ!」

ウルは一生懸命検索を開始した。

この音楽、人を飲み込む。

彼はさらに帰りながらも帰ってからも検索をかけ続ける。

そして次の日。

「この曲……いい!」

彼は生まれた初めて音楽の楽しさを知った。

すぐさま聞き込みをはじめ、一生懸命リズムや少しの歌詞を覚える。

そして三日後。

公園で音楽をかけようと思ったその時、空から強い黄色の光が降りてくる。

「なんだ!?」

初めて見る光景に思わず目をつぶる。

「へへへ、見つけたぞ!」

公園のどこからか声が聞こえる。

その声に警戒したウルは光が消えて現れたカードをすぐさま取る。

「これがTC……!」

「そこのガキ! 身包み全部置いてきな! ミュージックスタート! 『〇さな恋の歌』!」

発動しながら現れたのはボロボロの服の男。


『広い宇宙の数ある一つ……』


歌に合わせて男の足元はステージと化し、ギターが現れる。 白色のスポットライトが現れウルの目をつぶす。

「ま、まずいよ……! 俺は戦闘なんて……あぁ、もうイチかバチかだ!」

ウルは一度呼吸を整え、

「ミュージックスタート! 『Trum〇sta』!」


「……Im a trumpsta mother f*cker……」


ウルの背後に現る二つの巨大コンポ。

地面はだんだん水を打ち始め、巨大な魚影が映し出される。

「『Tr〇mpsta』ごときに俺様の『小さな〇の歌』が負けるとでも?」

男の体から黄色いオーラが現れ、辺りを包み込む。

明かな戦力差。

EDM等は外道の外道。

バンドの曲などは強くて当たり前。歌こそが最強の武器。それがこの世界の常識……。

「常識など知ったことか!!!」

ウルの叫び声に共鳴するように青白い波が生まれ、男のオーラと衝突する。

「なに!? EDMがそんな力……!? 馬鹿な……! 『EDM』だぞ!?」

「フンッお前は今からその『EDM』ごときに敗北するんだよ!」

男は心拡声器エナジーマイクを左胸から抜き取るように出す。

「ほぉら、あなたにとって大事な人ほどすぐそばにいるの!!!」

歌とともに体をそらせる男。

すると、地面が白く光り、黒く光るゴーレムを召喚する。

男は必死に大声で歌い続ける。

その声を聴いたゴーレムはゆっくりと動き出し、

「オオオオオオオオオオオオオオ!」

と腕を広げる。

「クッ……」

ウルも頑張って心拡声器を取り出す。

「Im Mr trumpa AKA get her number……」

行ける! 音痴でも歌える!

ウルの心が躍りだす。

自然と体が共鳴しあう。

「Im a trumpsta mother f*cker!」

自然と腕が上がり、足でリズムを取り始める。

「お、おい嘘だろ……!?」

男の目に映るウルの姿。口角は上がり、全身で音楽を感じる少年の足からはリズムと同じように共鳴し、波を発している。

波は地面に伝わり、足元の魚影に伝達される。

「クソ! やるしかないな!!」

男は大きく息を吸い込み、

「あなたは気づく! 二人は歩く! 暗い道でも日々照らす月!」

男は息を絞りながら顔を真っ赤にして歌い続ける。

「クックック! 無駄よ! 『Im Mr Trumpa AKA get her number!!!!!!!』」

ウルはどんどんテンションが上がる。

地面の中から水しぶきをあげながらステージが現れる。

更に、ミラーボールに炎が現る。

低音に合わせてウルが足を打つと、地面を突き破り水しぶきを上げ、巨大なサメが突きあがる。

「な、なんだコイツ……!」

男は腰を抜かした。

ウルも初めて使ったのでこの光景に驚きを隠せない。

しかし、音楽に乗っている僕の足踏みは止まらない。

腰を抜かした男の歌声はピタッと止まり、ゴーレムの動きも鈍くなる。

「Im trumpsta mother f*cker Im so gudda!」

彼が勢いで中指を立てると、サメは一度水に落ち、一気に飛び出す。そして、落ちる。

バシャーン!

大きな音と共に水しぶきが立ち上る。

「ゴー……レム……」

男が驚愕していた理由はすぐに分かった。

サメがゴーレムの右腕を食い千切って行ったのだ。

「クッ!! 負けるか! 『ほぉら! あなたにとって! 大事な人ほど!』」

「Im a trumpsta mother f*cker!!!」

中指の先を天に突き刺す。

サメは再度飛び上がり、今度は地面と垂直に飛んでいく。

口を大きく開け、ゴーレムの上半身を飲み込んでいく。

ビリビリと電気がゴーレムの下半身から出ている。

「嘘だ……」

男は尻を付きながら後ずさり。

ゴーレムは立ったままうんともすんとも言わなくなってしまった。

男の下のステージはさらさらと光の塵となり消えて行った。

ウルの下のステージやサメなども消えて行った。

「て、てめぇ! 何者だ!」

「俺か? 俺はウル・サントラだ」

「……! ボットムのウル……!?」

「……そうだな……」

ボットムとは底辺を表す言葉だ。

ウルは確かに天才的な能力の持ち主だが、『音痴』は向こうの世界ではもはや差別用語に値する。

音痴はすぐに噂を広められ、社会的差別を受けてしまうほどなのだ。

「う……嘘だろ……? 音痴の雑魚に負けるなんて……」

雑魚。誰が言われても傷つく言葉。その言葉を生まれた時から言われてきたようなウル。こっちの世界では平和に生きることができる。そう思っていた矢先の戦いだったこともあってきっが動転していたのだろう。

彼は早歩きで男に近づいていく。

「俺が……てめぇみたいな奴に負ける……?」

ウルは男の鼻に指を突っ込み男の頭を上に向ける。

「てめぇ……著し乗ってんじゃねぇよ! てめぇの敗因でも教えてやろうか! てめぇらみてぇな音痴を差別するようなまじめ人間は音楽を『楽しむ』ことを忘れてんだよ!!」

自分でもびっくりするほどの八つ当たり。

それでも男は股間を濡らして気絶していた。

「チッ……少し落ち着かなきゃな……」

夕日の入り込む公園に人影が一つ。

かと思われたが入口の草むらに人影が一つ。

「誰だ!」

ウルはカードを構えた。

「キャッ!」

草むらから現れたのは黒髪の美しい少女だった。



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