儚い雪景色
過去編です
あれから少し経って…、学園祭の時期だ。
この頃には霧ヶ峰先輩は生徒会が忙しくあまり部には来れないでいた。
三木先輩はそんな部長を支えるべく、なるべく部の活動はしない方向で動いていた。
幸ヶ谷先輩は文化祭でのピアノ演奏のため、音楽室へ通っている。私たちの邪魔にならないようにと。静かに出て行く。
三木先輩も部活動は少しの間、中止ねっと言って部活動は学園祭が終わるまで行わないことになった。
「ねえ?もえちゃん。」
杏果は私にたずねる。
「どうしたの?キョーカちゃん」
「学園祭…部活動無いのさみしいね」
杏果は少し寂しそうに言う。私も寂しい。でも元々この部は勉強のための部であり、無理に活動はしていない。そのため、文化祭でも出し物がないんだ。
学園祭自体は体育祭のほうでならもしかしたら奉仕部でもでれるかもしれない。
でも、運動系の部には勝てない。
だから、奉仕部として活躍できる文化祭のほうが出たいと思う。けど、やっぱりそれは難しい。
私はキョーカちゃんに仕方ないよと言って、その日は帰った。
そして。学園祭の日まで部活動は行われず、学園祭がはじまっていった。
学園祭当日。
生徒会として、霧ヶ峰先輩は大活躍だった。みんなをフォローしつつ、自分の役回りを完璧にこなす。流石は先輩だ。と思っていると、幸ヶ谷先輩の演奏が始まる。素敵な音調で流れる曲がみんなを包み込む。聞いていた生徒や先生、学園祭に来ている人々を魅了したいった。
やがて、自由に回れるようになると、三木先輩が写真をとりたいとみんなに会いにきた。
奉仕部としての活動はできなくても思い出はつくれるでしょ?と、言ってカメラを手にニコニコしている。奉仕部のみんなもそれには賛成で、写真をとった。その後は奉仕部のみんなで学園祭を回ったんだ。
次の日は、体育祭。こちらは三木先輩が大活躍。すごく足が速くてびっくりだった。
奉仕部としては何もしなかったけど、三木先輩の活躍は嬉しかった。
それからはまた勉強会が開かれた。
だけど、部活動をしようと杏果は話す。
みんなの楽しい思い出づくりのために。
みんなも賛成して部活動にも積極的になっていった。
そうして、月日が流れ、霧ヶ峰先輩の退部の日。みんなが悲しくて泣きそうになりながらもお別れ会をしたんだ。
その日に霧ヶ峰先輩が話したことは今でも覚えている。
「私はね、この部活には入れてよかったと思っているよ!三木ちゃんにはすごく迷惑かけたけど、いつも支えてくれたし、幸ヶ谷ちゃんは無理を言って入ってもらったけど、いつもこの部活に来てくれてた!そして、一年生の2人はとても可愛い後輩でした。生徒会とかであまり構ってあげれなかったけど三木からいつも聞いてたよっ!2人はとても仲良しでいつもこの部活動をたのしみにしていたって!」
そんな感じで、先輩は部活動を卒業した。
その後は三木先輩が部長。幸ヶ谷先輩は、忙しいのもあって副部長にはならなかったけど、この私、椎名萌華が副部長になったんだ。それからは、またいつも通りの部活動と勉強会。
そして冬が来る。辺りは真っ白、雪景色の中明日は霧ヶ峰先輩の卒業式。
「もう。泣かないで?来年からはあなたが3年生なんだからしっかりしなくちゃ。幸ヶ谷ちゃんも泣かないで」
2人の先輩が泣いているのを初めて見た。でも、霧ヶ峰先輩も泣いていた。泣きながらも堪えて2人を励ましていた。それ以外にもいろんな生徒が泣きながら先輩を見送る。やっぱりそれだけ霧ヶ峰先輩はすごい人だったんだと改めて思い知らされた。と、同時に寂しさがこみ上げた。
「先輩卒業しちゃったね…」
キョーカは泣き声で呟いた。私は気づかないふりをしながら返す。
「そうだね。先輩がいなくなっちゃうね」
悲しいけど、先輩は大学へ進学するんだ。無理してでも笑顔で見送ろうと思い、笑って送り出した。
やがて白い地面は無くなって行き、芽が出てくる。春がやってくる。私たちの終業式の少し前。
「三木先輩、私…」
私は打ち明ける。この部活動について…
奉仕部編のダイジェストです。奉仕部の詳しいお話はまたいつか奉仕部メインで書けたらとおもいます!
今回は一応、奉仕部編ではありますが内容としては萌華と杏果の物語にしているのであまり詳しくは書いてませんっ!
次回辺りで、ひとまず過去編は終了になるはずです




