驚異(小)
毎日起こっている様々な事件それに自分が巻き込まれる、と考えたことはあるだろうか?
俺、逢坂零はテレビでこのような事件を見るたびに思うのだ。
「ああ、恐ろしい、こんなことには絶対に巻き込まれたくない」と
しかし俺の両親は平然と食卓につき飯を食っている。
まるで山の上から地滑りを見ているように・・・自分の足元が崩れる可能性だってあるというのに
俺は『鬼』の仕業であると考えている
人は自分の視界の中に非現実をみると心の奥に『鬼』を創り出すのだ。
現実を直視したくないという強い思いから。
俺はそれを『俯瞰鬼』と呼んだ、人の心に巣食う鬼、人の心を喰いやがては身近に起きたことにすら反応しなくなり結果として自身の過ちにより命を鬼に喰われる。
なんて
ここまで冷静に説明してきたけど我慢の限界だわ
「なんで俺にしか見えないんだよッ!」
おかしい、おかしすぎる
なんでこんなにもでかいバケモノが家をうろついているのに誰も指摘しない!
母よ、あんた近所じゃ潔癖で有名だろ?家の中にデカイゴミがあるぞ。
父よ、あんたは武闘家だろ?よくわからないけどかなり腕が立つらしいけど化け物相手はお手上げなのか?散々俺のことをしばいてたくせに
妹よ、お前家に蟻が出たくらいで大騒ぎだよな?もしかして化け物には耐性があるのか?
「はあ、なんでかなぁ」
考えても仕方がない学校に行くか
ああ学校に行ったらもっとヤバいんだったな
そこいらじゅう鬼だらけ
唯一安心というか安らげるのは登校中だけだ
「・・・・・」玄関を開ければ、あらかわいい妖精さんのご登場だ。
「・・おはよ」
銀髪がよく似合う碧い目の女の子、背はだいたい145cmくらいかな?胸の方は・・うん何も変わってないし、なにもない。
「・・朝から人のコンプレックスを見つめるのやめて」
「おう、すまんな」
こいつは俺の彼女『荒耶蓮華』この町で一番デカイ神社に住んでるお嬢様っぽくないお嬢様。デカイ神社ってのも並大抵の大きいではない、敷地の大きさは山10個分全て私有地で神を祀っている霊山らしい。ちなみにこいつとは幼稚園から現在高校生まで付き合い続けている、地域じゃ有名なカップルになりつつある。
「はやく学校行こ、遅れちゃう」
いつものように急かされる
「ゆっくりでいいじゃん神様も遅刻くらいじゃ怒りゃしないだろ?」
学校には数えるのが嫌になるぐらいには鬼がいる行きたくないのが正直な感想だ。
「だめ神様は許しても蓮華が許しません」
「ですよねー」
仕方なく家を出た
なんで登校中が一番安らぐのかというと蓮華には鬼が寄り付かない
そしてなによりこいつには俯瞰鬼が憑いていない
俯瞰鬼は一人に一匹ではなく、宿主の体から出張していることがよくある。(実際うちの家族の俯瞰鬼は父→母→妹のように順番に入れ替わっている)
俺には俯瞰鬼が憑いていないため稀に襲われることがある。そんな時こいつの近くにいれば俯瞰鬼は近寄らずにどこかへ消えていくのだ。神社の神様のおかげかな?
いやホントに助かります蓮華ちゃん。
そんな感じでいつものように学校につけばまた災難
「よォ逢坂ァまた女と登校してきやがったのか?」
こいつは竹山、学校でアタマハッテル?よくわからないが俺と蓮華以外の生徒はこいつのことを恐れている。
「ああ、そうだけど何か問題ある?いつものことながら遅刻しそうだしそこをどいてくれないかな」
こんなんでやりすごせるよな・・・?
「いつもなら見逃してやるが今日はそうもいかねえぜ!」
とりあえずこいつは放置しておいて
「蓮華、先に教室行っててくれ緊急で授業が入った」
「・・・・早く来てね」
準備はこれでいいな
「竹山悪いが人を待たせてるから早く終わらせるからな」
冗談抜きで怖い蓮華の前ではかなり強がったけど大丈夫かこれ?噂じゃ地域で一番喧嘩強いらしいし数分前の自分を恨むよ
「体育館裏来いよ、誰にケンカ仕掛けたか後悔させてやるぜ」
このテンプレヤンキーめ
体育館裏
ここは竹山の縄張りで教師ですら見回りに来ない、増援(教員)は望めないなあ
「ひとつ質問がある、てめえいつも俺が恐喝してるところみてるだろ?」
「ああそれで?」
「俺はてっきりセンコウにチクるのかと思っていたが、お前はそれをしなかった。なんでだ?」
「べつに俺が恐喝を受けたわけでもないのになんでわざわざ君に目を付けられるような真似をしないといけない?俺は蓮華か俺が危害を加えられない限りは俺からは何もしない予定だったよ」
「つまりお前は俺のことを下に見てたってことだな!?調子乗るんじゃねえぞ!」
「・・・・」
なんでそうなるんだろうこの手の人間は理解に苦しむよ
仕方がない、ここからは真面目にやってこう
まずは相手がどんな攻撃をしてくるのか・・・体の重心的にボクシング経験者かな?三歩目に右腕から最短のパンチか左手で顔を隠してるってことは左利きではなさそうだ。
「なんだ来ねえならこっちから行かせてもらうぞォ!」
こいつ以外と早いな・・・!予想通り右腕からの顎を狙ったパンチ
それをわずかに頬にかすらせながら回避、即座に相手の顎にショートアッパー
脳に振動でも与えればぶっ倒れてくれるだろ
オヤスミ
だが予想外を食らったのは俺のほうだった
竹山は回避しなかったもののインパクトの瞬間に打点をずらしダメージを軽減、それだけではなくアッパーの衝撃を利用してムーンサルトを放ってきた・・・!
さすがにこれをもらうわけにはいかないのでバク転で距離をとる
「まさかこんなにも強いとは思わなかったよ、手加減できないかもな」
竹山は眉をしかめて言った。
「・・・お前なんでこんなに強いんだよ・・ここいらの奴らはだいたい一撃で決まってるのになんでお前は避けられた?」
まあ俯瞰鬼が憑いてるやつの感想はこんなんだろうとは思ってたし正直に言っておくか。
「俺は怖いんだよ」
次の投稿内容は舞台の設定について書いていきたいと思ってます