音楽室の山乃さん
放課後の誰もいない音楽室。
そこで一人の女の子がピアノを弾いていた。
「ふふん♪ふん♪ふん♪」
その滑らかな手つきで鍵盤を弾くのは『山乃さん』。音楽が大好きでふと気が付くと、自然と作曲をしてしまうくらいに音楽をこよなく愛する女の子。
だけど──
「ふふん、ふん♪──ふぅ。足が……届かない」
背が低く、短足も相まってフットペダルを踏めないのが悩みである。
「出したい音が出せない……」
涙目になって俯く。
山乃さんは傷付きやすいのだ。
「でも!そのままのピアノも好きだし、それに、音は作ればいいもんねっ」
山乃さんは案外前向きでもある。
「よーし、なんか楽しい曲作っちゃお~!」
と、山乃さんが勢い付いているその頃。
音楽室の扉付近、ピアノの音に釣られてやってきた生徒一人。
「綺麗な音色……誰が弾いてるんだろう」
ピアノを弾いてるのを邪魔しないようにそっと扉を開くと、そこには──
「え……誰も、いない……?」
ピアノから流れる聴いた事のない旋律。
綺麗で心が洗われるような音の調。
だが──
「──ゆ、幽霊!?」
これは大変だ……!
生徒は逃げ足でその場を去って行く。
「……あ、ここは……うん、こんな感じかな」
何も知らずに作曲に勤しむ山乃さん。
後に音楽室に住む幽霊の怪として噂を流れるのを知るのは、また別の話である。
「~~♪ふふ♪」
山乃さんは、音楽が大好きである。




