野盗のリーダー
「あぁ~、だめだぁ。案の定、診療所は全焼しちゃってるよぉ! その周りを、黒い
服着た兵隊さんたちが、うろうろしてるぅ! 」
その間の抜けた声は、言わずと知れた、マリリンのものである。
空間の狭間で、一旦ストップし、ネックレスのようにぶら下げている小さい水晶球
を、見ているところだ。
「カイルとクレアは、いったいどこに……? 」
ケインとマリスは、顔を見合わせた。
「マリリン、軍服の男たちは、町中にはびこっているのか? そいつらのいない
ところは、わかるか? 」
ケインに尋ねられ、マリリンが目を閉じ、水晶球に念じる。
「町中にいるよぉ! あんたたち四人の人相書きまであって、完璧『お尋ね者』に
なっちゃってるよぉ! 」
「……ってことは、カイルたちは、まだやつらに見つかっていないみたいね。
マリリン、他の周辺の町はどう? 」
今度はマリスが尋ねる。
「門のところに、おんなじような人たちがいるよぉ。うわあっ、変なバケモノみたい
なのを連れてるぅ! 」
「ふ~ん、随分、広範囲見張ってるのね」
例の組織が、彼女たちの想像以上に大きいことが表われている。
「カイルだって魔道士じゃないから、重傷のクレアを連れて、一気に遠くに行ける
はずはない。俺たちの帰りを待っているだろうし、やっぱり、あの村からは出てない
んじゃないかな」
ケインの言うことに、マリスも頷いた。
「それにしても、いったい、どこに隠れたのかしら? ……もしかしたら……!
あのカイルのことだわ。うまく、ウラをかいたのかも! 」
「ああ、そうかもな。そして、それは、俺たちにもわかりやすいところで」
マリスとケインが、嬉しそうに瞳を輝かせる。
「マリリン、村の周辺の、野盗のいる場所を探してくれない? 」
「野盗ですか? 」クリスが不思議そうにマリスを見る。
「ええ、お願い」
しばらく目を閉じていたマリリンが、顔を上げた。
「ああ、二人とも、いたよぉ! しかも、野盗たちの真ん中に! 」
「ええっ!? それって、まさか、野盗に捕まってるんじゃ……! 」
驚いたクリスは、思わず身を乗り出して、彼女の小さな水晶球を覗き込み、目を
凝らした。
「よぉ、おめえら、久しぶり! よくここがわかったじゃん」
ごうごうと大きく焚かれた火。周りには、人相の悪い、見るからに野盗の男たちが、
うろうろしている。
その前には、けろっとしたハンサムな顔があったのだった。
「カイル! 」
「無事だったのね! 」
ケインとマリスが走り寄る。
「ああ、もちろん。クレアも、ちゃんと無事だ。そこで寝ているぜ」
彼の親指が示す方には、寝袋に包まり、横たわっている美しい黒髪の娘の姿が
あった。
「おめえらも、一緒だったのか」
カイルは、ケインとマリスの後ろで、ぼう然と立ち尽くしているクリスとマリリン
を見た。
「カカカカカイルさん、あなた、野盗に囲まれたこんな場所で、よくそんな平気な顔
してられますね? お友達だったんですか? 」
「バカ言ってんじゃねーよ」
ビクビクしながら尋ねるクリスに、カイルが腕を組んで、ふふんと笑った。
「魔法剣によると、ここが一番安全らしいから、ここに居座ってたんだよ。と言って
も、たったの一日だがな」
言い終わると、今度はカイルの口調は、真面目になった。
「魔道士の医者は、いなかったみたいだな」
「ああ。だが、マリリンちゃんも、心を入れ替えて、クレアを治してくれるんだって
さ。さあ、マリリン、約束通り、お願いするぜ」
熱で火照ったクレアの顔を、心配そうに見てから、ケインがマリリンの背を
押し、すぐ隣で見張る。
「あなたが正しく呪文を唱えてるかどうかは、あたしにはわかるんだからね」
もう片方の隣には、マリスがついた。
面白くなさそうなマリリンであったが、最後にはクリスにも念を押され、仕方なく
両手をクレアに向けた。
治療の呪文が唱えられる。
両手からは発光した薄い緑色の光は、クレアに注がれる。
「お頭、なんの儀式ですかい? 」
「うるせえ、黙ってろ」
「へ、へい」
野盗たちは、魔法を見慣れていないらしく、カイルに窘められ、そわそわ
しながら見入っていた。
マリスが祈るように手を組み合わせ、ケインもカイルも、静かに見守っている中、
ゆっくりと、クレアの瞼が開く。
「クレア! 」
「クレア! 」
彼女の面が、彼らを向く。
クレアの顔色は、赤みがおさまり、瞳も、もとの黒曜石のような輝きを取り戻して
いった。
「はい、終わりぃ~」マリリンが手を引っ込める。
「クレア、気分はどうだ? 」ケインが喜びを抑えられない様子で、問いかけた。
「大丈夫? 」マリスは彼女の枕元に進み、彼女が起き上がろうとするのを手伝う。
「……ケイン、マリス、それに、マリリン、クリスさんも……? なんだか、私、
今まで気分が悪かったのが、すっかり良くなったみたい……。マリリン、あなたが
『治療』してくれたのね? ありがとう」
マリスに手伝われ、身体を起こしたクレアは、立ち上がり、周りを見渡した。
「おおっ! アネさんが復活した! 」
「すげえっ! 魔法でアネさんが復活したぞ! 」
野盗たちが驚きの声を上げている。
「アネさんて呼ぶな! 」ケインが顔をしかめた。
「サンキュー、マリリン。恩に着るぜ」
カイルが、ニッと笑って、マリリンの頭をぽんぽん叩いた。
マリスは嬉しさのあまり、クレアの首に抱きついた。
「良かった、クレア、本当に……」
「マリス……」
その様子に、マリスがどれだけ心配していたかが伝わったクレアも、マリスの背に
腕を回した。二人の瞳は潤んでいた。
ケインとカイルも、ほっとして、じゃれ合って喜んだ。
「おい、そこのおめえ! 」
気を良くしたカイルは、側を通ったモヒカン刈りの男を呼び止めた。
「俺の連れに、茶出せよ、茶! 」
「へ、へい。ですが、あいにく、茶は切れてまして、酒しかありませんで……」
「バカヤロー、その方が上等じゃねえか! さっさと持ってこい」
「へ、へいっ! 」
モヒカン男は、あたふたして消えた。
クリスとマリリンは、信じられないものでも見るように、目を見張る。
マリスがおかしそうに笑いながら、片目でカイルを見上げた。
「あなた、盗賊の親分役が、ずいぶん、板についてるじゃないの。この間のお芝居
みたい」
「こういうやつらは、扱い慣れてんだ。こいつら、力の強いヤツにはへつらうから、
俺の実力を見せてやったのよ」
「普段は、疲れることは、したがらないくせに」
「俺は、お前みたいに、がむしゃらに、こいつら殴ったりはしなかったぜ。ちょっと
アタマを使って、新リーダーになっちまったってわけよ。下手に全滅させりゃあ、
デモン教の奴等にも気付かれるかも知れねえからな。奴等、まさか野盗のいるところ
には、怪我人連れて行かないと踏んで、ここには、まだ現れてねえ。さすが、魔法剣
サマサマだぜ! 」
酒を飲みながら、カイルが、それまでのあらましを語った。
ソルダルムの村から逃れてきた医師の診療所では、ケインとマリスが出て行った
直後、カイルが深刻な顔で、医師と向き合っていた。
「私にはよくわからんのだが、……つまり、きみの剣の不思議な力で、ここが危険と
わかる……というのかね? 」
中年の医師は、信じ難い表情で、カイルを見る。
「この感じは、いつもヤバイ時に現れるんだ。一刻も早く、患者を連れて、逃げた方
がいい。どうせ、重い症状の患者は、デモン教の薬欲しさに入信しちまって、いるの
は軽症の者だけで、人数もそんなにはいないだろう? これは、一刻を争う問題なん
だぜ。俺のカンでは、デモン教の奴等が、絶対何か仕掛けてくるはずなんだ」
いつになく真剣な彼の顔を、医師はじっと見る。
「先生よ、迷ってる場合じゃねえぜ。早く、患者と看護師たちを逃がすんだ。道中は
俺が護衛してやるから、皆で、野盗のいるダネン山へ行く」
「野盗だって!? そんなもののいるところを……! 」
「大丈夫だ、俺に任せておけ。いいか? あえて、野盗のいるという噂のところに
行くっていうのが大事なんだぜ」
カイルが片目を瞑ってみせた。
カイルの引率で、十五人あまりの患者と三人の看護師、医師は、二、三人ずつほど
に分かれて、診療所の裏口から、目立たないように出て行った。
クレアをおぶったカイルが、先頭を進む。
「心配しなくても大丈夫だ、クレア。辛いか? もうちょっとの辛抱だ」
熱のある彼女は、痛む腹部を気にしながら、彼の背に揺られ、励まされていた。
「全員、付いて来てるみてえだな」
後ろを振り返り、しんがりの、フードを被った医師を見つけ、カイルがホッとして
呟いた。
しばらく進むと、行く手を阻むように、焚き火を囲んだ野盗の群れに出くわした。
患者と看護師たちは、カイルの片腕に止められると、その後ろで、恐怖のあまり、
声も出せないでいる。
「おいおい、こんな大勢で、どこへ行く気だぁ? 」
「カネ目のものは置いてってもらおうか。ついでに、命もな」
野盗たちの目が、ぎらぎらと光る。
患者たちは悲鳴を上げ、ますます脅え、退くが、カイルただ一人は、不敵な笑みを
浮かべていた。彼は、医師にクレアを預けると、堂々と進み出た。
「時間がないんだ。てめえらの頭はどこだ? 交渉したい」
「交渉だとぉ? ふざけんな! 」
どすっ!
斧を振り上げた瞬間、筋肉質の逞しい手から斧が離れ落ち、男の動きは
停止した。
「時間がねえって言ってんだろ? 」
カイルが低い声になり、眉をひそめた。
瞬間で体重移動して喰らわせられた重い突きに、男は腹を押さえ、声もなく、
苦しそうに蹲ってしまった。
「被害を最小限に抑えてえから、頭と交渉してやるってのに、てめえら、全員死なな
きゃわかんねえか! 」
鋭い眼光を放ったカイルが吠え、魔法剣を抜き、野盗の飲みかけの酒瓶を割った。
そんな彼は、クレアを始め、旅の一行も見たことはなかった。
「この俺の魔法剣で死にたいヤツは、前へ出ろ! 」
剣を握っていない左手が、いつの間にか取り出した黒い小瓶を上空に放り投げた。
「ファイヤー・ブレス! 」
小瓶を、空中で魔法剣が砕き、振り下されると同時に、炎が勢いよく、野盗たち
目がけて発射されたのだった。
「ぎゃーっ! 危ねえっ! 」
混乱し、恐怖におののき、逃げ惑う野盗たちであったが、数人が軽い火傷を負い、
あとは、なんとか逃れられた。
それには、野盗だけでなく、医師や看護師、患者も、クレアまでもが圧倒された。
「……カイルが、炎の技を……!? 」
医師に支えられながら、クレアは驚愕のあまり、目を見開く。
「き、奇術だ! 奇術に決まってる! 」
野盗のひとりが、無理に笑ってみせるが、指さす手も、声も、震えていた。
「ほほ~、この俺の技が、手品ごときだと思ってるヤツがいるとはな。手品か本物か、
どうやら、てめえの身を以て知りてえらしいな」
カイルがにやりと笑うが、その切れ長の青い瞳に浮かぶのは、酷薄な笑いであった。
「ひっ! 」
思わず、野盗が引きつるほどの迫力だ。
「頭を呼べ! てめえらの頭と俺の一騎打ちを要求する! 俺が勝ったら、俺の言う
ことを聞き、この人たちを、しばらくここに居させろ。俺が負けたら、お前らの言う
ことを聞いてやるよ。仲間になってやってもいいし、……殺したかったら、それでも
構わねえ」
「……そ、そんな……! カイル……! だめよ、そんなこと! 」
クレアがよろめきながら進み出るのを、困惑しながらも、医師が止めた。
同時に、野盗と患者たちの間に、どよめきが走った。
「……とりあえず、お頭呼ぶか? 」
「……だな」
動揺しながら、野盗数人が首領を呼びに行くが、
「あっ、お頭が、いねえ! 」
「逃げやがったか!? 」
野盗たちの顔色からは、みるみるうちに、さーっと血の気が引いていく。
代わりに、カイルの表情は、ますます残酷な笑みへ変わる。
「だったら、副頭領はいねえのか? いや、俺と一騎打ちする気のある者なら、誰で
もいいぜ? 」
尻込みをする野盗たちの中からは、とうとう誰も名乗りを上げず、降伏した彼らは、
カイルの条件を飲んだ。
「よーし、貴様ら、今日から、俺が、この盗賊団のリーダーだ! 文句はねえな?
間違っても寝首を掻こうなんて、思うんじゃねえぜ? この魔法剣は、危険を
察知することも出来るんだからな。寝ている間も、俺たちに手を出そうもんなら、
遠慮なく、ぶった斬るからな! 」
「そそそ、そんな、滅相もねえ! 」
「お頭が逃げた今、あんたが俺たちの頭だぜ! 」
野盗たちは跪き、武器を置くと、ぺこぺこと頭を下げた。
「それじゃあ、まずは、この人たちに、てめえらの毛布をよこせ」
「へい! 」
カイルの命令で、野盗たちは慌てて、寝袋や毛布を持って来た。
決して、整った環境ではなかったので、患者たちは、諸手を上げて喜ぶ、とまでは
いかなかったが、ひとまず、デモン教の目から逃れられそうなことに、ホッとした。
「クレア! これで、やっと、しばらくは安心だぜ! 見てくれたか? 俺の勇姿
を! 」
普段の無邪気な笑顔に戻ったカイルが、クレアのところへ駆けつけると、倒れて
いるクレアを、医師が支えていた。
「貧血だ。病人の身には、ちょっと、刺激が強かったのかも知れんな」
「ええっ!? そんな!! 」
カイルが血相を抱えて、あたふたする。
「大丈夫だ。しばらく横になっていれば、直に目を覚ます」
「……って、わけさ」
笑いながら、カイルは酒を飲み干した。
胡座をかいて座っている彼の横から、モヒカン男が、そろそろと酒を注ぐ。
クリスとマリリンは、地べたに座り込み、肩身が狭そうに、きょろきょろしている。
「それで、お前、どうやって炎の技を? 」
ケインが、他の野盗に酒を注がれながら、興味深い目を、カイルに向ける。
「ああ、あれな。揮発性の爆薬を、先生に頼んで作ってもらったんだ。アルコールに
接触すると、ちょっとした爆発が起こるくらいの。だから、パフォーマンスも兼ねて、
先に酒瓶割ったのさ。魔法剣の『浄化』は、風の効果もあるから、爆薬瓶を割ると
同時に、『浄化』を発動させたんだよ。それで、炎の技に見せかけられたってワケだ」
カイルがウィンクしてみせた。
「はあ~! カイル、お前って、すごい勝負師だな! 」
ケインは、本気で感心していた。
「よくそんなこと思い付いたわね」マリスも目を丸くしている。
「まあ、『いかに小細工して強く見せるか』にかけては、昔からアタマ使ってたから
な」
カイルは、はははと笑った。
翌日、カイルの提案により、マリリンの空間移動の術で、医師や患者たちを、そこ
からは離れた国へ、デモン教とは無縁の地へ、連れて行くこととなった。
もちろん、ズルが出来ないよう、マリスも同行する。
「あんたたちには、逆に、世話になってしまったな」
ソルダルムの医師は、少しだけ照れ臭そうに笑った。
「いや、ほんの恩返しだよ。あんたがいなかったら、クレアはもっと苦しんでただろ
う。感謝してるぜ! 」
カイルがウィンクする。
ケインもマリスも頭を下げ、礼を言う。
「ありがとうございました。本当に、お世話になりました。このご恩は、……決して
忘れません……! 」
黒曜石の瞳を潤ませたクレアは、深く頭を下げた。
その様子に、医師も、目尻を拭う。
「いや、あんたが、こうして元気になって、動けるようになったのを見られて、
私こそ嬉しいよ。ただ、魔法治療したにも関わらず、まだ腹部に残った傷跡が気に
なるが……熱は下がっているし、元気に動けるなら、細菌の方はもう問題ないだろう。
傷跡は、徐々に薄くなっていくだろう」
「はい」
町娘の衣服の上から、クレアは腹部を庇うように手を当てる。
彼女の表情が、少し曇った。
一行が別れを惜しんだ後、医師と看護師たちを、マリリンの魔法で送り届けると、
カイルは、適当に目についた者を野盗のリーダーに任命し、いよいよ、一行が、
マリリンと供にこの町から脱する。
その予定であったが。
クレアが思い切って、打ち明けた。
「傷のところ、自分でも回復魔法をかけてみたんだけど……」
そう言って、試しに治療呪文を唱えてみせるが、なにも起こらない。てのひらから
は、わずかな光すら発していなかった。
「や、やっぱりだわ……! どうして……? 」
信じられない様子で、両の手のひらを見る彼女を、
「あぁ、スランプねぇ」
マリリンが、くりくりした目で見る。
「マリリン、ちゃんと治療したもん。元通り、元気な身体になって、魔力だって復活
してるはずなのにぃ、魔法ができないってことはぁ、スランプなんじゃない~? 」
「スランプですって……!? 」
クレアが愕然とする。
「本番ともなれば、またカンが戻るかも知れないわ。とりあえず、『小物』でも倒し
に行ってみる? 」
マリスが明るく言った。
夜になり、皆で近くの草むらへと入って行くと、ダーク・シャドウを始めとする
下等モンスターたちが、うようよと目の前に現れた。
「さあ、クレア、ここなら遠慮はいらないわ。思いっきりブチかましちゃっていいの
よ」
黒いトカゲのようなもの、黒いもやなどの妖魅たちが、様子を伺っている。
クレアがてのひらをかざすが、普段よりも、潔さが見えない。
呪文を唱える。
なにも起こらなかった。
「ああっ! 」
がくっと彼女の両膝が地面につき、両手は顔を覆った。
「クレア……」
心配になったマリスも、しゃがみこむ。
「できない……! どうしても、できないみたいなの。どうして……! 」
マリリン以外、どうして良いかわからずに、一同顔を見合わせた。
ひゅうううううっと、風が吹いてゆく。
クレアは、まぎれも無く、スランプに陥っていたのだった。
彼女が魔法を使おうと念じると、どうしても、頭の中に、デモン教のソルジャーに
襲われた時の恐怖が、フラッシュ・バックする。
戦いの中で初めて負った怪我が重傷であり、かの不気味な強敵によるものであり、
その後も、痛みの続く、辛い時間を過ごしてきた。
それまでの敵に対する彼女の闘争心とは、知らない者の強みが大きかった。
いわば、彼女は、初めての壁に、ぶつかったのであった。




