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麻痺無双!~麻痺スキル縛りで異世界最強!?~  作者: スギセン
4章

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83話 ラヴィの弟子入り

 沼地でのダンジョンチャレンジから数日後、いつも通り朝食を済ませ、クエストの準備をしようとした所に、思わぬ来客があった。長身で、白い毛並みの獣人がたんぽぽ亭の扉を開いた。


「よう」

「ハルヴァンさん!」


 亜獣人の凄腕拳闘士、ハルヴァンだ。ゴブリンの群れや暴走したラヴィですら軽々と相手する、底知れない実力者。普段は傭兵をしているとのことだったが――


「今日はどうしたんですか?」

「いやぁ、カウボーイ様の姿を拝んでおこうかと思ってね」


 ハルヴァンは口の片端をにいっと吊り上げ、意地悪く笑う。うわぁ、もう最悪だよ。ようやくあの屈辱的な格好と醜態を忘れかけてたのに!


「はは、それはそれは笑えないですねぇ……」

「そうか? 俺は十分笑わせてもらったぞ」

「ハ、ル、ヴァ、ン、さん?」

「悪ぃ悪ぃ」


 俺がじっと睨むと、ハルヴァンは両手を挙げて降参のポーズ。


「いや、今日来たのは、やんちゃな獣人の娘について用事があってな」

「やんちゃな……あぁ、ラヴィですか?」

「おう、この前の銀髪のやんちゃ娘だ」


 ……"やんちゃ"?それって猛牛二体を素手で倒すやつに使う単語だっけ?というか、ハルヴァンさんがラヴィに何の用だろうか。


「いや、あの娘さ。俺が修行をつけてやろうかと思ってな」

「しゅぎょ、え――?」


 動揺する俺をよそに、ハルヴァンは二ッと笑った。



* * *



「――というわけで、ラヴィ。お前はどう思う?」

 俺はラヴィを自室に呼び、事の顛末を説明した。彼女はこくりと首を縦に振る。


「お願い、したい」

「おお、即答とはやる気満々ちゃんだね」

「……うん。強くなりたい――いや、それよりも、仲間に危険な目に、あって欲しくない」

「ラヴィ……」 


 先日の暴走の一件を気にしているのだろう。ハルヴァン曰く、彼との修行を積めばあの力を制御できるようになるらしい。まあ、それ自体は嬉しいことなんだけど、なんで俺たちによくしてくれるんだろうか。


「ハルヴァンさん、どうして俺たちにそこまで? 俺たち、何もお返しできるものはありませんよ?」

「どうしてって、そりゃあ……珍しいからだよ」

「珍しい?」

「人と獣人のパーティーなんて、ほぼねぇよ。そうだろ、ラヴィ?」

「……うん。普通、ない」

「えっ、そうなのか!?」


 俺が思っていたより、人と獣人の壁は高いようだ。

 ……いや、俺からしたらこんなに強くて可愛い子がいたら、土下座してでも仲間にしたいけどな!


「お前、そんなことも知らずにパーティー組んだのか」

「まぁ、はい。でもラヴィは大切な仲間ですし!俺は何も気にしてません!」

「マヒル殿……」


 ラヴィが赤面してうつむいた。……やめろ、尊すぎて胸がキュン死する。


「ははっ! 本当に何も考えてねぇんだな。でも、そういうノリは嫌いじゃねぇぞ」

「……褒めてます?」

「半分な!」

「まったくもう……」

「冗談だって!」


 ハルヴァンは笑い、右手を差し出す。


「しばらく俺が預かる。一、二週間みっちりしごくからな」

「了解です。ラヴィをよろしくお願いします」


 俺も右手を差し出し、ガッシリ握手。……強っ!メキメキ音してるんですけど!?危うくせんべいになるとこだったわ!


「じゃ、早速行くか」

「えっ!?今からっすか!?」

「善は急げっていうだろ?まあ、夜までには返すから安心しな」

「……よろしく、お願いします」


 ラヴィが頭を下げたあと、俺に近付く。


「マヒル殿、行ってきます」

「……! あぁ、気を付けてな」

「うん。強くなるね」


 ニコッと弾ける笑顔――危ねぇ、腰抜かすとこだった。ベルがいたら鼻血を吹き出してるだろうな……

 ――ただ、なんていうんだろうか。ラヴィのその目には確かな決意のようなものな感じ取れた。


 さて、ラヴィには修行に集中してもらうとして俺は――日銭を稼がにゃならん。最大戦力が抜けたとて、金の為にはクエストは受けなきゃならない。


 ということはつまり――久々にベルと二人きりのデュオパーティー。

 ……なるほど。俺にとっても相当きつい修行期間になりそうだ。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

感想、ブクマ等いただけると励みになります。

次回もよろしくお願いしますm(_ _)m

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