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麻痺無双!~麻痺スキル縛りで異世界最強!?~  作者: スギセン
3章

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69話 決起集会

 順風満帆な冒険者ライフを送る俺たち、パライジング・グレイス。

全員がDランクの冒険者となり、パーティーランクも一つ上がってEとなった。


 装備も一新、最近はDランクのクエストも難なくこなして、安定した収入も得られるようになってきた。

 だけど、俺が目指す場所はまだまだ先――冒険者としてのトップだ!その為にも、俺たちは"あること"をする必要があった。

 それは――


「おい、ベル!ラヴィ!」

「なんですの?」

「ん?」

「今夜、我々パライジング・グレイスの"決起集会"を行う……!」

「決起……集会?」


 二人とも首を傾げる。え、これ伝わんない?もしかしてこの世界には無い言葉?


「つまりだな、決意を新たに、これから頑張ろうぜー!っていう会で……」

「要するに飲み会ってことですの!?」


 ベルの目がキラキラ光る。いや違う、いやまあ近いけど!


「いや、飲み会じゃなくて、決起――」

「飲み会、やりたい」


 ラヴィまでこっち側か。お前ら……結局そうなるのか……!


「……わかったよ!飲み会やります!イエーイ!」

「イエーイですわ!」

「……いぇー」



 * * *



 こうして俺たちは決起集会もとい、飲み会をすることとなった。場所は、いつもの格安酒場「銀の猪」である。


「でも、どうしてまた飲み会なんですの?わりと頻繁にしてますのに」


 串焼きを頬張りながらベルが問う。


「いや、俺たちがパライジング・グレイスとして対抗戦を始めてから、ちゃんとしたお祝いとかしてなかっただろ?」

「まあ、ずっと特訓やら依頼やらでしたものね」

「クエスト、頑張った」

「そうそう。だから改めてこれからの方針を話そうと思ってさ」


 俺はエールをぐいっと飲み干し、ジョッキをテーブルに置いた。


「俺は、麻痺の力で冒険者のトップを目指す。冒険者ランクも、パーティーランクもだ」

「…………えっ!?」


 ベルが串焼きを落とす。


「ちょ、トップって……一番ってことですの?」

「ああ」

「数多いる冒険者の中で?」

「もちろん」

「そ、そんな無茶ですわ!」


 ベルの瞳が揺れる。動揺と、不安と……少しの恐れ。


「ベル、お前は何を目指してる? 俺はせっかくお前と一緒に冒険者になって、ラヴィも仲間になってくれて……できるなら、この三人でトップを目指したい」

「でも……」


 ラヴィがちょんちょんとベルの肩をつつく。


「拙者は、せっかくなら、みんなで頑張りたい」

「……ラヴィさん。でも、ワタクシはそんな、一番なんてとても……」


 ベルの弱音。珍しい姿だ。過去のトラウマか、はたまたコンプレックスか。でも俺は、逆に心の底から思う。


「なあベル。俺は強制なんてしない。ただ……麻痺スキルしかなかった俺に、仲間ができた。だったら、この三人で夢を見たいんだ。俺は、このメンバーじゃないとダメだって思ってる」


「……マヒルさん……」

 ベルの瞳に小さな光が戻る。


「パーティーってのは、お互いの欠点を補って、長所を高め合うもんだろ? お前の魔法は癖だらけだけどさ――俺は、そういうところも痺れると思うぜ!」

「……! ふふっ、さすが普段から麻痺麻痺言うだけあって、変なこと言いますわね」

「おい、どういう意味だそれは」


 ベルが笑い、ノールックで串焼きを掴む。ああ、これだ。いつもの調子に戻ったな。


「とにかく俺は、この力も、お前たち仲間も信じてる。今すぐ結果を出すわけじゃない。気長に、夢を見ながらついてきてくれ」


 自分で言っててちょっと照れくさいけど……まあいいか。俺は空ジョッキを掲げた。


「よし!夜はこれからだ!飲むぞー!」

「飲むぞー!ですわ!」

「……ぞー」


 追加の酒と料理を頼み、俺たちは笑い合った。

 決意も新たに――俺たちパーティーは、また一歩前へ進んでいく。


 ああ、この後二人は調子にのって酒を飲みぐでんぐでんになった。俺が腰を痛めながら運んだのは言うまでもない。いつも通りの、そんな夜だった。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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次回もよろしくお願いしますm(_ _)m

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