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麻痺無双!~麻痺スキル縛りで異世界最強!?~  作者: スギセン
2章

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41話 お嬢様は今日も痛烈

 鍛冶屋の試し斬り騒動から一夜明けた朝。俺はまったく気乗りしないまま、宿で身支度を整えていた。

 昨日、俺たちが宿に帰るとベルから『実はワタクシ、新魔法を二つも会得しましたの!』と報告があった。


 前回の新魔法は、謎の高笑いと恐怖の片腕召喚……魔法と呼ぶのも憚られるような代物だ。

 いやぁ……本当、しょうもないことになりそうだ。



 * * *



 ベルはウッキウキで、街の外の平原へと先導する。

 今日のクエストは角の生えたでかいウサギ、《ホーンラビット》二体の討伐だ。クエストがてら、新魔法をお披露目するらしいが……どうなることやら。


 しばらく歩くと、日差しが心地よい、広大な草原に出た。風に揺れる草の波の向こう、ウサギのようなものがぴょんぴょん跳ねている。


「さて……着いてしまったが、いけるか?ベル」


「はい!今日はワタクシに任せてくださいまし!」


 自信満々に答え、鼻をフンスと言わせるベル。


「……!ほら、来ましたわよ!」


 草むらから、角が生えたうさぎ――ホーンラビットが姿を現した。ベルが胸を張って構えた。ベルの魔導書が唸りをあげる!


「いきますわよ!ワタクシの新魔法、【冷厳なる微笑(クリスタル・アイズ)】!」


 そう高らかに叫ぶと、その口元はまるで氷のように冷たく、不敵な笑みを浮かべている。


「……で、どんな効果だ?」


 俺が尋ねると、ベルは得意げに言った。


「これはですね、自尊心を傷つける魔法ですの。くらった相手は心が折れて、いたたまれなくなるのですわ!」


 ……俺のほうがいたたまれねえよ、と心の中でツッコミつつ、仕方なく見守る。ベルが両手を翳すと、冷たい風が吹き抜けるような空気が漂い、ホーンラビットの目が一瞬曇った。


 だが、その隙をついてラヴィが刀を抜くと、一閃で一体のホーンラビットは倒れた。


「はやっ!」


 ベルは口を尖らせて悔しそうだ。


「……うん。調子、いい」


 どうやら、ラヴィの新装備の調子は良さそうだ。彼女は嬉しそうにピョンピョンと跳ねている。

 そこへもう一体のホーンラビットが草むらから飛び出してきた。

 ベルは切り替えて言った。


「ふふ、くらいなさいな、凝縮された水の力を!【暴波泡(ブラスター・バブル)】!」


 掌から水の球体がぷかぷかと浮かび上がる。その水の塊はバレーボール大ほどの大きさで、ホーンラビットの前にぽよんと転がった。

 だが、ホーンラビットは軽やかにそれを避けて、こちらに突進してくる。


「な……よ、避けられたですわ!」


「当たり前だろ!!」


 俺はすかさず【パライズ】のをかけ、動きを止める。すかさずラヴィが切りつけ、一撃で倒した。


「……ベルぅ?今のは?」


 俺の呟きにベルは首を傾げた。


「あ、あれ?おかしいですわね?私のイメージでは、あの水の塊が強烈な一撃になるはずでしたのに……」


 はあ、"こう"なる予想はしていたけれども……そのまま素材を回収して帰ろうとした時、茂みの奥から何か大きな影が現れた。


 姿を現したのは、ホーンラビットよりもずっと巨大で、捻れた二本の角をもつウサギだった。その巨体を揺らし、まっすぐ俺たちに突進してくる。


「うおっ、なんだこいつ!」


 次の瞬間、先ほどベルが作り出した大きな泡に巨大ウサギが激しく激突――


 バァンッ――!


 爆音とともに泡は弾け、あたりに水しぶきが舞い散る。巨大ウサギは吹き飛び、その一撃で倒れぴくりとも動かなかった。

 ベルは胸を張って勝ち誇った。


「……お、お~っほっほっほ!これこそが、私の魔法の力ですわ!」


 ラヴィが感嘆したように「すごい」と呟いた。


 こればかりは、俺も納得せざるを得ない。


「使い勝手はともかく、威力は本物だな」


 ベルの新魔法はまだ荒削りだが、確かな可能性を感じた狩りとなった。

 これからどう進化していくのか、俺たちも楽しみにしている。――いや、不安も大きいけどな。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

感想、ブクマ等いただけると励みになります。

次回もよろしくお願いしますm(_ _)m

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